日常生活の中で簡単にできる!
眼科医として臨床や研究に携わりつつ、現代人の健康管理に関しても数々の提言を行なっている猪俣武範氏は、できるビジネスパーソンほど「休息上手」だと語る。休みナシの働き方は疲労を蓄積させ、業務効率を落とし、ますます長時間労働に陥る悪循環を生む。仕事の効率を上げるために、日常の中できちんと休息を取る、「戦略的疲労予防術」をうかがった。
運動の状況をウェアラブルデバイスで管理
運動をすると疲れるというイメージがあるかもしれませんが、実は、適度な運動は逆に疲れを取ってくれます。運動不足になりがちな人は、ウェアラブルデバイスを活用して、自分の運動の状況を「見える化」しましょう。そのためには、リストバンド型の活動量計が便利。例えば「Fitbit」は、歩数や消費カロリー、心拍数など、多彩なデータが取れるうえ、「目標歩数までの到達度」「睡眠時間が不十分」などの通知が届いて、モチベーション管理にも最適です。
夏でもシャワーで済まさず湯船に浸かる
「1年を通じてきちんと入浴する人は、しない人に比べて、1.35倍も幸福を感じている」という論文があります。この数字にはまだ検証の余地があるでしょうが、入浴には、(1)血管を拡張させる「温熱作用」、(2)筋肉の弛緩や、筋肉による血管・臓器への圧力の低下を促す「浮力作用」、(3)水圧によって下半身の血圧循環が促される「静水圧作用」の三つの効果があることは確かです。半身浴でも、これらの効果はあります。シャワーで済ませず、湯船に浸かるようにしましょう。
お風呂は「38~39度のお湯に15分」入る
疲れを取るには、体温より少し高い38~39度のお湯に15分浸かるのが理想です。額に汗が出てきたら、それは身体が体温を下げようとしているサインなので切り上げましょう。サウナも同じく低温がお勧め。60度程度の低温で15分入るのが、最も疲れが取れやすい入り方です。岩盤浴も同様。39度の低温の岩盤浴で不安軽減効果が出たという研究結果もあります。
アスリートも実践している「交代浴」をする
アスリートの間で近年人気なのが、温水と冷水に交互に入る「交代浴」。温水に入ったあと、いったん冷水に入ってから、もう一度温水に入ると、血管がより拡張し、疲れが取れると言われています。この簡易版として、「足だけ交代浴」を試してみるのもいいでしょう。方法は、自宅の浴室に桶を用意して、冷水を張るだけ。お湯で温まった足を桶の中の冷水に浸けて、また湯船に戻す、ということを繰り返して疲れを取り除きましょう。