遺産分割協議書とは

まず、遺産分割とは相続発生によって相続人の共有となった遺産について、共有状態を解消するための手続きをいいます。

相続によって発生した遺産の共有状態解消が遺産分割です。この遺産分割の結果を書面にして残したものが遺産分割協議書です。売買をしたらその証拠として売買契約書を残すように、遺産分割協議をしたらその証拠として遺産分割協議書を作成するということになります。
遺産分割は法律上、書面でしなければならないとは決まっていません。

そのため、相続人全員が納得した上で、遺産を分ければ(次に述べる登記や相続税等の手続きがなければ)遺産分割協議書は作成しなくとも法律的には全く差し支えはありません。遺産分割協議書の作成をしなければならないという法律上の義務はありません。実際、遺産分割協議書など作成せずに故人の遺品を「形見分け」をして遺品の整理を終えるというケースも極めて多いと想像されます。

しかし、遺産において不動産や預金、株式、各種金融商品など多数の種類の遺産があったり、負債を負っていたり抵当権の債務者になっていたりした場合などは、一つ一つを形見分けというわけにはいきません。遺産は単発の売買等とは異なり、多くの資産・負債のコンプレックス(複合体)ですので、その複合体を解体して相続人各人のものに分けるためには、「誰がどの権利を得て・義務を負うか」という内容を明確にするために遺産分割協議書を作成したほうが良いといえます。

このような場合、遺産分割協議書は、第一に、遺産分割協議の結果を証拠として残すという意味があります。