叱っても関係性を悪くしないためには?

できないリーダーの叱り方には、次のような共通点があります。

1. 部下の人格に触れて叱る

「こんなこともできなくて恥ずかしくないのか」
「よく○○大学を卒業できたな」

このようなミスと直接関係のない、部下のパーソナリティに触れるような叱り方は、決してやってはなりません。あくまで「部下の行動」にフォーカスするようにしましょう。

2. 誰かと比較して叱る

「同期のBさんにはずいぶん差をつけられたな」
「君以外は全員できているのに」

他人と比較されてミスを指摘されると、叱られた部下の側も感情的になるので、その後の行動の改善につながりません。比較するなら、以前のその人の行動と比べるようにしましょう。

3. 叱る内容に一貫性がない

「先週の時点ではやっていいと言ったのに、その通りにやったら叱られた」
「同じ遅刻でも、若手のA君は叱るのに、ベテランのBさんには叱らない」

叱る内容に、一貫性と平等性がなければ、部下の行動が変わることはありません。どうしても、朝礼暮改で言っていることを変えないといけない場合は、部下に「主張が変わった理由」を伝えれば、問題ないかと思います。

一方、部下が育つリーダーは、「何をしたら叱るのか」=叱る範囲を明確に決めます。

とえば、次のようなイメージです。

・挑戦して失敗した部下は叱らないが、挑戦しない部下は叱る
・ミスしたこと自体を叱ることはないが、ミスの報告を怠った部下は叱る

「これは叱る」「これは叱らない」という範囲を決めて、部下と共有しておけば、叱った部下との関係性が悪くなることはありません。

部下を叱るのが怖い、というリーダーの方は、ぜひ参考にしてみてください。

*リーダーの「やってはいけない」
吉田幸弘 発売日: 2019年03月19日
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リーダーの「やってはいけない」
(画像=THE21オンラインより)

吉田幸弘(よしだ・ゆきひろ)
リフレッシュコミュニケーションズ代表
1970年、東京都生まれ。大手旅行代理店を経て、学校法人、外資系専門商社、広告代理店で管理職を経験。「怒ってばかりのコミュニケーション」で降格を経験したことからコミュニケーションを学び、2011年に独立。現在はコーチングの手法を駆使し、経営者や中間管理職向けにコンサルティング活動を行なう。(『THE21オンライン』2019年10月18日 公開)

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