叱る範囲を決めておこう!
叱ることは部下を育成する過程において必要なこと。「叱ってもらえたことで、大きく行動を変えられた」という経験を持つリーダーであれば、必要に応じて部下を叱ろうと思うはずだ。ポイントは、部下を「叱るか叱らないか」ではなく、叱った側も叱られた側も気持ちよくなれる「正しい叱り方」を知ることだ。
※本稿は、吉田幸弘著『リーダーの「やってはいけない」』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
「叱ること」ではなく「叱り方」が問題
できるリーダーは叱るのも上手です。
しかし、リーダーの中には、「部下を決して叱ってはいけない」と考える人も多くいます。
とある部署のリーダーAさんも、そんな「部下を叱っていけない」と思っている1人でした。
しかも、Aさんの場合、内心では部下への怒りが溜まっていました。そのストレスからか、通勤中の電車でぶつかってきた乗客を「謝らないのはおかしいだろ」という目でにらんでしまったり、あるいは家庭でも、家族の言動に対して強い口調で接してしまったりと、明らかに悪い影響が出ていました。
これはAさんにとって非常に良くないことです。
Aさんのように「絶対に叱ってはいけない」と思っている人は、過去に怒られて嫌な思いしかしたことがない、あるいは、叱られることでいい経験をしたことがない人です。
「叱ったら会社を辞めてしまうのではないか」
「部下が嫌な気持ちになるのではないか」
このように、叱った後、部下との関係が悪くなることばかり考えてしまうのです。