(本記事は、スティーブ・シムズ氏の著書『なぜ私は「不可能な依頼」をパーフェクトに実現できるのか?』大和書房の中から一部を抜粋・編集しています)

絶対にあきらめなかった人たち

最悪
(画像=Yury Zap/Shutterstock.com)

ウォルト・ディズニーは、ディズニーランドを建設するときに、出資の依頼を300回も断られている。それにカーネル・サンダースも、今では世界中で大人気のフライドチキンのレシピをひっさげて融資してくれる人を探したが、1000回も断られた。有名な話なので知っている人も多いだろう。

その場にいて聞いたわけではないが、おそらくサンダースは、1000回目の依頼が断られたときに、妻からこう言われただろう。「もう他の仕事を探したら?うまくいくわけないわよ」

それでもカーネル・サンダースはあきらめなかった。

私はなにも、現実を見るなとか、知性を捨てろと言っているのではない。私が言いたいのは、自分の目標に向かって熱狂し、絶対に実現できると確信しているなら、実現しない可能性を考えるなど、まったくの時間のムダだということだ。

これが私の信念だ。私はこの考え方がたまらなく好きだ。だからあなたも失敗の危険なんて、存在することすら忘れてしまおう。

それではここから、あなたの頼もしい仲間たちの名前をリストにしたいと思う。みな「失敗」という言葉を自分の辞書から捨てた人たちだ。だからといって、彼らがまったく挫折を経験しなかったというわけではない。彼らは拒絶され、笑われ、批判された。屈辱も味わった。それも1回や2回ではなく、数え切れないほどだ。

挫折は誰でも経験する。彼らはただ、挫折のせいで立ち止まらなかっただけだ。

真実は、たいてい想像とは違う姿をしている。失敗は失敗ではなく、発見だ。他人の考える「あなた」は、他人の頭の中に存在するあなたであり、本当のあなたではない。そして壁は壊すことができる(それにそもそもその壁は、あなたの頭の中にしか存在していないかもしれない)。

可能性を信じることのできる人たちだけが、現状を超え、さらに上のレベルを目指すことができる。

あなたは1人ではない。頼もしい仲間たちに囲まれている。

あきらめてはいけない。

頼もしい仲間たちのリスト

・小説家のスティーブン・キングは、最初の小説『キャリー』の出版を30回も断られた。キングは原稿を捨ててしまったが、妻がゴミ箱から拾い、最終的に出版されることになった。

・自動車王のヘンリー・フォードは、5回も破産し、お金も知識もないのだから自動車産業からは手を引いたほうがいいと助言された。

・物理学者のアルバート・アインシュタインは、4歳になるまで言葉を話さず、7歳になるまで字が読めなかった。学校の先生からはまったく期待されていなかった。

・第34代アメリカ大統領のドワイト・アイゼンハワーは海軍兵学校に入学できなかった。

・ジェームズ・ダイソンは、サイクロン式掃除機の失敗作を5126個作り、資金も底をついた。そして今では、45億ドルの価値のある男になっている。

・映画監督のスティーブン・スピルバーグは、南カリフォルニア大学の受験に3回失敗した。

・画家のファン・ゴッホは、生きている間にほとんどまったく絵が売れなかった。

・ウォルト・ディズニーは、ウォルト・ディズニー・ワールドへの出資を300回以上も断られた。また、新聞漫画の仕事も解雇されている。独創的なアイデアも、想像力も皆無だからという理由だった。

・スティーブ・ジョブズは、自分が作った会社を解雇された。

・マイケル・ジョーダンは、高校生のときに実力不足でバスケットボール部に入れなかった。

・ハリソン・フォードは、映画『アメリカン・グラフィティ』に出演した後に役がもらえず、また大工の仕事に戻らなければならなかった。そして、『スター・ウォーズ』への出演が決まった。

・ビートルズは5つのレコード会社のオーディションに落ちた。

・ビル・ゲイツは大学を中退した。

・小説家のマーク・トウェインは破産を経験した。

・ドクター・スースの最初の本は、27の出版社から断られた。

・オプラ・ウィンフリーは、「感情的になりすぎるのでテレビ向きではない」という理由でリポーターの仕事をクビになった。その後「オプラ・ウィンフリー・ショー」という自分の番組を持ち、25年も続く長寿番組に育て上げた。

・登山家のピーター・アサンズは、最初の4回のエベレスト登山でやってはいけないことを学び、その後に7回の登頂に成功した。

・大女優のメリル・ストリープは、監督から醜すぎると言われたときに女優をやめそうになった。

・エルヴィス・プレスリーは、歌手になるのはあきらめてトラック運転手の仕事に戻れと言われたことがある。

・J・K・ローリングは福祉に頼って暮らすシングルマザーだった。そして『ハリー・ポッター』のシリーズを書き、歴史上もっとも稼いだ作家になった。

・元イギリス首相のウィンストン・チャーチルは、勉強が苦手で、吃音があり、両親からも相手にされていなかった。

・エイブラハム・リンカーンは選挙で8回も落選している。

・ベートーベンは音楽の先生から作曲の才能はないと言われた。

最悪の事態とは、1年後も今とまったく同じ場所にいることだ

人はみな、独自の個性を持つ存在として生まれてくる。しかしそれからの40年間で、どんどん個性を捨て、周りと同じになっていく。

考えてもみよう。自分以外の誰かになるためにエネルギーの80パーセントを使っているなら、本当の自分のためのエネルギーは20パーセントしか残っていない。ただの「自分」でいれば、ムダなエネルギーはまったく使わずにすむ。

しかも、無理に別人になろうとするよりも、ありのままの自分でいたほうが周りの人に好かれる。それは、あなたが「偽物」でないからだ。人は偽物に敏感だ。誰かが自分以外の誰かのふりをしているかどうかは、すぐに見抜くことができる。

たとえばあなたが、保険会社の中間管理職に新しく雇われたとしよう。初出勤の日、あなたがまず目にしたのは、巨大なオフィスに400ものデスクが並んだ光景だ。自分一人で占領できる角部屋のオフィスはとても少なく、出世競争は熾烈を極める。そんなとき、あなたはどうするか?

最善を尽くして働くのは当然だが、それだけでは十分でない。自分の存在をアピールする必要もある。そして、それを達成する最短の道が、「自分自身である」ことだ。

とはいえ、自分をアピールするのは怖いことでもある。目立つ存在になり、周りからとやかく言われるのは楽しい経験ではない。

しかし、これだけはぜひ覚えておこう。最悪なのは、何かに挑戦して失敗し、笑いものになることではない。考えうるかぎり最悪の事態とは、1年後も今とまったく同じ場所にいることだ。ずっと400人の中の1人のままで、同じ仕事を何年も何年もくり返す。いちばん恐ろしいのは、立ち止まったままでいることなのだ。

恐怖の対象を変える

いわゆる「リーダー」や「グル」と呼ばれる人は、口をそろえて「恐怖を捨てろ」と言う。しかし、それは不可能だ。人間であるなら、恐怖を感じるのは自然なことだ。そもそも人間は、恐怖を感じるようにできている。

怖がるのはいいことだ。人は怖いと思うと、その瞬間にすべての感覚が研ぎ澄まされ、200パーセントの力を出すことができる。アドレナリンが体内を駆けめぐり、集中力が極限まで高まる。もう誰にもじゃまされない状態だ。

しかし、問題もある。それは恐怖を言い訳にして、前に進まなくなってしまうことだ。ここで考え方を変えてみよう。恐怖で立ち止まるのではなく、怖いと感じるポイントを変えるのだ。

本当に怖いのは、前に進むことではなく、1ヵ月後も今とまったく同じ場所にいることだ。

人が現状から抜け出せないのは、たいていの場合、現状の居心地がいいからだ。慣れ親しんだ環境は安心できる。次に何が起こるか予測できる。金曜にはその週の分の給料をもらい、そして月曜までにもろもろの支払いでその8割が消えている。そのため木曜になると、たいていお金がピンチになる。いつもこのパターンだ。

このパターンを守っていれば、生き残ることはできるだろう。しかし、それだけだ。私に言わせれば、これほど怖いことはない。同じことのくり返しは、まったく成長していないということだ。ただ立ち止まっているだけだ。

火事で自宅が全焼する、バイクで事故を起こして大怪我をする、破産する、お金を失う、だまされるなど、ピンチの状況になったときの選択肢は2つしかない。逆境に負けるか、または逆境から学んで成長するかだ。

逆境ですっかり意気消沈し、いつまでもその状況にとどまる人はたくさんいる。逆境を言い訳にしてずっと立ち止まっている。私の父がよく言っていたように、「水の中に落ちるから溺れるのではない。ずっと水の中にいるから溺れるのだ」ということだ。

不幸な出来事が人生のすべてではない

私の暮らすカリフォルニアには、バイクで走るのが世界でもっとも楽しい道路がある。たとえば、エンジェルズ・クレスト・ハイウェイと呼ばれる道がそうだ。ずっと山を登っていく道で、雪をいただく高山を見ることができる。とても美しい景色だ。

とはいえ、問題もある。夏の間は山火事が頻発し、数ヵ月にわたって道路が閉鎖されてしまうのだ。

しかしこれも、考えようによっては問題ではないかもしれない。毎年9月になり、道路が再開すると、焼け野原に新しい命が芽吹き、一面緑色のとても美しい景色が広がる。山火事の灰が、これから育つ植物のいい肥料になる。

バイクで走っていていちばん楽しいのは、激しい炎から新しい命が生まれるのを目撃できるこの季節だ。何か問題が起こっても、そこで人生は終わりではないということを思い出させてくれる。

立ち止まることへの恐怖が、私の原動力になっている。何か挑戦したいことが見つかると、私はまず「挑戦した結果はどうなるか?」と考える。挑戦して成功したら、結果は「成功」だ。悪くない。挑戦して失敗したら、結果は「成長」だ。これも悪くない。

しかし、まったく挑戦しなかったら、「成功」も「成長」も手に入らない。ずっと同じ場所に立ったままだ。

停滞するものは腐敗する。成長していないなら、死に向かっているのと同じだ。

不安な状況に不安を感じるな

今から何十年も前、まだ先も見えずに香港でくすぶっていたころ、私にはお金も、未来も、アイデアも、何もなかった。とはいえ正直なところ、だからといってそれほど悩んでいたわけではない。「たしかにカネはない。仕事もない。将来の計画もない。でも、それがどうした。昔からずっとそうだったじゃないか」と考えていた。

そこで私は気がついた。当時の私は、すでに「不安な状況に不安を感じない」状態になっていたのだ。私にとっては、不安な状況のほうがずっと自然だった。なぜなら、不安になるのは、何か新しいことに挑戦しているからだ。

挑戦すると、止まっていた車輪が回り出す。これは、自分がもっと大きくなるチャンスだ。もちろん、もともとの性格も関係あるだろう。私は根っからの競争好きで、いつもスリルを追い求めている。探検に出て、新しい土地を発見するタイプだ。

現在、私はハリウッドの山の中に住んでいる。外からはまったく見えないような場所だ。誰にも見つからない。たいていの人は、ここに家があることさえ気づいていないだろう。

この場所を見てまず気に入ったのは、椰子の木だった。とてつもなく高い木で、風が吹くと右に左にそよいでいる。強い風が吹けば大きく揺れ、弱い風なら小さく揺れる。そもそも木とはそういうものだ。強い風にさらされても、体を揺らしてやりすごすようにできている。風に抵抗したりしなければ、幹が折れることはない。頑強で柔軟性のない木は、風が吹けば折れてしまうだろう。しかし、私の椰子の木は、そんな木ではない。

初めてこの土地を訪れた日は、とりわけ強い風が吹いていた。大きく揺れる椰子の木を見て、私はすぐに考えた。「あの木は私だ。不安な状況にまったく不安を感じていない。風に吹かれて揺れるぐらい、私にとっては何でもない。また起き上がれるとわかっているからだ」。椰子の木の存在も、この家を買うことに決めた理由の1つだった。

私にとって、怖いのはむしろ何も変わらないことだ。私のような人間は、まず水に飛び込んでから、水が冷たいかどうか考える。だからよく失敗もする。調子に乗ってやりすぎて、さんざんな結果に終わったことも何度もある。

しかし、たとえ失敗しても、また明日がやってくることはわかっている。明日になれば、今度は失敗はしない。なぜなら、すでに失敗を経験し、そこから学んでいるからだ。

私はこれまでに、何度も水に飛び込んできた。冷たくてたまらなかったこともあれば、熱すぎて火傷をしたこともある。水に飛び込んだつもりが、水がまったくなかったこともある。しかし、その経験を通して、私は自信を手に入れた。どんな失敗をしても、私は絶対に立ち直ることができる。

なぜ私は「不可能な依頼」をパーフェクトに実現できるのか?
スティーブ・シムズ(Steve Sims)
ロンドンのレンガ職人の家に生まれ、レンガを積み続ける10代を過ごす。19歳の時に仕事を辞め、朝はケーキ配達、午後は保険の営業、夜はクラブのドアマンと3つの仕事を掛け持ちする生活に。数年後、香港で銀行の仕事を得るが2日で解雇され、やむを得ずドアマンの仕事をしたところ頭角を現し、富裕層からパーティの企画を依頼されるようになる。その後、顧客の生涯の夢を叶える高級コンシェルジュ・サービス「ブルーフィッシュ」を創設し、20年にわたって経営している。顧客のリストには世界の名だたるセレブが名を連ねる。ブルーフィッシュは世界各地にオフィスを構え、「フォーブス」誌、「ニューヨーク・タイムズ」紙、「アントレプレナー」誌など数多くのメディアに取り上げられてきた。また、ハーバード大学や国防総省などで基調講演を行った経験を持つ。

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