コミュニケーションの相手はお客様だけではなかった

当時、超人見知りの筆者。接客業に就いたのも、「自信のない自分を変えたい、接客業をしていると明るい自分を演じられる」という理由があったのも事実。

CAの場合、初めて会うチームメンバーと力を合わせてフライトをするということは、コミュ障の筆者にとってはこれでもかというくらいにハードルの高い環境。つまりCA職においてコミュニケーションを取ることは「対お客様」だけの話だけではなく、「対CA仲間」のほうがむしろ大事だったのです。

積極的でも受け身でも通用しないリアル

実際に起きたフライトでの話です。

チーフパーサーのAさんは、CAの台所と言われるギャレーについて強いこだわりのある方。

基本的に、CAは機内に到着するとそれぞれ定位置に荷物を入れ、安全確認をし、各担当業務の準備にかかります。この日は、本来なら筆者がギャレーの準備担当。しかしながら、Aさんはギャレーのセッティングに自身のスタイルがあるため、触らないでよいと言うのです。

搭乗時刻も迫っている中、パイロットとの打ち合わせもある多忙なチーフパーサーに細かい作業をさせる時間はもったいない。「Aさん、私、やりますよ」 と伝えたところ、「いいの!余計なことしないで!」 とのこと。

それと対極だったのが、機内中央エリア担当の先輩CAのBさん。

筆者は指示を受ける業務担当でのフライトだったのですが、機内に入り搭乗準備に取り掛かるも、のんびりゆっくりとお茶を飲んでいるご様子。(あれ?準備作業は大丈夫なのかな……)と感じ、「Bさん、〇時にお客様の搭乗開始ですが機内販売の搭載在庫チェックって終わっていましたっけ?」 「あっ、そうだ! ごめん、一緒に見てもらっていい?」という回答。