毎月、新たに発売されるビジネス書は約500冊。いったいどの本を読めばいいのか、迷ってしまう方も多くいるかと思われます。
本稿では、読書家が集まる本の要約サイト「flier(フライヤー)」で、7月にアクセスの多かった書籍ベスト5を業界ごとにご紹介。金融業界を銀行関連・証券関連・保険関連の3つに分け、それぞれのユーザーがどのような本を多く読んでいるのかを解説いたします。
目次
金融業界ユーザー別ランキング(五十音順)
銀行業界ランキング
第1位:『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(井上皓史著、小学館)
第2位:『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』(名取芳彦著、リベラル社)
第3位:『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』(山口謠司著、ワニブックス)
第4位:『フューチャーワーク』(高砂哲男著、河出書房新社)
第5位:『パン屋ではおにぎりを売れ』(柿内尚文著、かんき出版)
証券業界ランキング
第1位:『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』(名取芳彦著、リベラル社)
第2位:『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(井上皓史著、小学館)
第3位:『パン屋ではおにぎりを売れ』(柿内尚文著、かんき出版)
第4位:『理不尽に逆らえ。』(堀江貴文著、ポプラ社)
第5位:『2020年6月30日にまたここで会おう』(瀧本哲史氏、星海社)
保険業界ランキング
第1位:『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』(井上皓史著、小学館)
第2位:『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』(名取芳彦著、リベラル社)
第3位:『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』(山口謠司著、ワニブックス)
第4位:『驚異の「紙1枚!」プレゼン』(浅田すぐる著、日本実業出版社)
第5位:『豊田章男』(片山修著、東洋経済新報社)
※本の要約サイト「flier(フライヤー)」の有料会員を対象にした、2020年7月の閲覧数ランキング
早起きは「三文の徳」どころじゃない
まず3つの業界すべてでランクインした書籍からご紹介いたします。今月の銀行・保険業界ランキングで第1位、証券業界ランキングでも第2位と、『昨日も22時に寝たので僕の人生は無敵です』が大きく注目を集めました。
「早起きには人生を変える力がある」と、朝活コミュニティ「朝渋」の代表である著者・井上皓史氏は言います。それは実際に、早起きで人生を変えた人びとを何人も見てきたから。リモートワークが推進されて外出の機会が減り、ともするとメリハリのない日々を送ってしまいがちな昨今ですが、そんなときこそ意識的に早起きをしてみることで、豊かな「自分だけの時間」を確保できるかもしれません。
「周囲に振り回されてしまっている」「忙しくて余裕がない」と感じているのなら、ぜひ本書をお読みいただければと思います。「早起きは三文の徳」という言葉がありますが、早起きがもたらす価値は、三文(=今でいうとだいたい100円)どころではありません。
発売日:2020年04月01日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理
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「どうでもいい人」ではなく「気持ちのいい人」になる方法
『他人のことが気にならなくなる「いい人」のやめ方』も、3業界すべてでトップ5に入りました(証券:第1位、銀行・保険:第2位)。 私生活でもビジネスでも、他人からの評価は気になるものです。ですがそれに振り回されていると、自分が本当は何をしたいのかもわからなくなり、やがて心を病んでしまいます。
空気を読まない人や怒りっぽい人への対応方法や、人を気にせず自分自身を大切にする視点など、本書では気になるトピックがたくさん取り上げられています。もちろん「いい人」をやめるといっても、自分勝手になれというわけではありません。ですが無理なことに対してはっきりノーと伝えたり、悪影響を及ぼす人に対して一線を引いたりすることは、精神衛生上きわめて重要なことです。
誰にとっても当たり障りのない「どうでもいい」人になるのではなく、自分の人生を生きる上で「気持ちのいい人」になるためのヒントが満載の一冊。誰にでも「いい顔」をして疲れてしまっているのなら、本書を読むことで、状況を打開するヒントが見つかることでしょう。
発売日:2020年05月30日
ジャンル:自己啓発・マインド、健康・フィットネス
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銀行員が不透明な未来を生き抜くために
ここからは業界別ランキングから、それぞれ注目したい書籍をピックアップします。
まず銀行業界ランキングの第4位、『フューチャーワーク』にご注目ください。AIやロボティクスの発達によって、今後いくつもの職業がなくなっていくと言われています。銀行業務も、AIやロボティクスの影響を受ける代表的な職業のひとつ。では、どうやって今後生き延びていくべきなのでしょうか。
本書は、これからの仕事がどうなるのかを分析しつつ、パフォーマンスを2倍にする方法を解説しています。重要なのは、本書で記されている「5つのトレンド」を意識すること。これらを意識して実践するだけでも、時代の変化に取り残されないだけの実践力が身につくはずです。
業界再編が進むなかで、未来に対して不安な気持ちを募らせるのは自然なことです。ですがいまから未来の働き方をしっかり意識すれば、たとえ未来が不透明であっても、たしかな軸を持てるのではないでしょうか。ぜひ本書を手元において、いまの自分の仕事にどう生かせるか、試行錯誤していただければと思います。
発売日:2020年04月30日
ジャンル:スキルアップ・キャリア、自己啓発・マインド、生産性・時間管理
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賢く「怒り」を表現せよ
証券業界ランキングでとりわけ目につくのは、『理不尽に逆らえ』です。その他のランキングではベスト5圏外だったにもかかわらず、証券業界のユーザーを対象としたランキングではトップ5に入りました(第4位)。証券パーソンの琴線に触れた一冊と言えるでしょう。
著者は、何かとメディアを騒がせるホリエモンこと堀江貴文氏。本書では「怒り」をテーマに、理不尽なことには堂々と逆らうべき(そして最終的には怒りを生まない環境に身を置くべき)と説いています。
「怒り」というとネガティブなイメージが強いですし、特にビジネスの場で感情を表に出すことは推奨されません。しかし「怒れない人」はいずれ潰れてしまいます。自分の人生を守るためには、賢く怒り、正しく闘うこともときには必要なのです。
この本もそうなのですが、興味深いことに証券業界の方は、ある種の「タフ」さが求められる本を好んで読まれる傾向があります(第5位に入っている『2020年6月30日にまたここで会おう』もその一つです)。それは、証券パーソンが生き馬の目を抜くような環境に身を投じていることの表れなのかもしれません。
「これまでの延長線上に未来はない」
一方で保険業界では、コミュニケーションに関する書籍がより上位に入りやすいようです。たとえば保険業界ランキングの第3位『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』と第4位『驚異の「紙1枚!」プレゼン』は、どちらも意見の伝え方について論じたもの。新型コロナウイルスの感染拡大によって、テレワークやオンライン会議が当たり前になるなか、コミュニケーション上の難しさを感じている人が増えてきたことも、これらの本が多く読まれた一因だと考えられます。
そのなかで第5位に『豊田章男』が入ったことは、注目すべき点でしょう。トヨタの代表取締役社長である章男氏は、さまざまな障壁にぶつかりつつ、「失われた30年」と言われる平成の時代において、見事な成長を実現させました。
「これまでの延長線上に、トヨタの未来はない」と断言した章男氏の発言からは、創業家の精神を重視しつつも、従来のあり方をダイナミックに変革する姿勢が見て取れます。保険業界も大きなパラダイムシフトを迎えようとしており、本書から得られる示唆は少なくありません。
発売日:2020年04月23日
ジャンル:リーダーシップ・マネジメント、経営戦略、起業・イノベーション、産業・業界、グローバル、テクノロジー・IT
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編集後記
各業界のランキングは、重なるものもあれば異なるものもあり、それぞれの業界の特徴を表しているようで、非常に興味深いところです。来月はどのようなランキングになるのか、いまから非常に楽しみです。
本の要約サイト「flier(フライヤー)」は、「書店に並ぶ本の数が多すぎて、何を読めば良いか分からない」「立ち読みをしたり、書評を読んだりしただけでは、どんな内容の本なのか十分につかめない」というビジネスパーソンの悩みに答え、ビジネス書の新刊や話題のベストセラー、名著の要約を1冊10分で読める形で提供しているサービスです。通勤時や休憩時間といったスキマ時間を有効活用し、効率良くビジネスのヒントやスキル、教養を身につけたいビジネスパーソンに利用されているほか、社員教育の一環として法人契約する企業も増えています。
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