2020年の8月時点で、何を考えていて投資しているかをこの記事でつらつらと書いていきます。

この記事のポイント

  • 20年8月時点の保有株はハイテク中心だが、コロナ後に業績を回復させるはずの非ハイテク株の比率を少しずつ上げていく。
  • コロナで経営が悪化した企業はしばらくしてから倒産する恐れがあるので、航空・ホテル・石油などへの投資は2021年前半までは慎重に進める。
  • 長期金利が上昇すれば、理論的には株価は下がる。でも、実際に金利上昇を理由にした株価下落が起こればFRBがすぐに国債の買い増しして対処するはずなので、金利上昇の株への悪影響は現段階では気にしない。
  • FRBが金融緩和をためらうのは、インフレ率が2%を大きく超えて上昇した場合。金利と同様にインフレ率にも要注意だが、8月時点ではどちらも問題ない。
  • ゴールドは長期金利が1.0%前後に収まるなら、保有を続けて問題なさそう。国債は期待リターンが小さいので保有は避けている。

非IT銘柄の比重を上げていく

2020年にハイテク株は大きく値上がった背景には、新型コロナウイルスの影響があったと思っています。

世界中で外出禁止令が出ても、アマゾン(NASDAQ:AMZN)やマイクロソフト (NASDAQ:MSFT)などのハイテク企業は安定して成長できたため、投資家の資金がハイテク企業に集中して流れ込む動きがありました。

でも、この1ヶ月ほどは新型コロナウイルスの流行に苦しんだアメリカでも少しずつ感染拡大を抑え込んでいる兆候が見られています。

Investing.com
新規感染者の増加を抑えつつあるアメリカ(画像=Investing.com)

新型コロナウイルスから少しずつ日常を取り戻しつつある段階なので、これからは非ハイテク企業に少しずつ資金を振り向けていこうと考えています。

秋や冬に感染拡大の第2波が来たら再びハイテク株が買われる可能性もあるのでハイテク株を全て売却するような極端なことはしませんが、秋から冬に感染拡大をしてもその頃にはワクチンの開発も進んでいるはずなので、新型コロナウイルスの影響を受けていた非IT企業を増やして良い時期だと思っています。

航空・ホテル・エネルギー銘柄は慎重に小さく投資

新型コロナウイルスでダメージを受けた業界の代表例に、航空・ホテル・エネルギー業界があります。

「これらの業界の株を買えば、これからの景気回復期で株価が上昇するかも」という考えも浮かびますが、配当減額や倒産などのリスクもあるので、当面は投資するにしても少額に抑えて慎重に動きたいと思っています。

JPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOは、通常と違って2020年は不況の効果がいつもよりも遅れてやってきていると言って、2020年後半から2021年前半に倒産などのリスクが上る恐れを懸念しています。

また、前回のリセッションではアメリカの住宅価格がピークをつけたのが2006年、リセッション入りしたのが2007年12月、リーマン・ブラザーズが破綻したのが2008年9月なので、企業はある程度の期間持ちこたえてから破綻することがわかります。

新型コロナウイルスの拡大の勢いが衰えたといっても、航空・ホテル・エネルギー業界の企業はまだ破綻のリスクがある点には注意です。

長期金利の上昇はまだ心配ない

理論的には長期金利が上昇すれば株が下落します。

8月に入ってから長期金利(10年米国債利回り)が0.5%から0.7%へと上昇して、金利の上昇を気にする投資家の声も聞こえますが、この程度であれば問題ないと思います。

実際に6月には米長期金利は0.9%まで上がっていますが、株価に悪影響はでませんでした。新型コロナウイルス前では、今と同じような株価で長期金利は1.5%〜1.75%で推移していたので、1.5%くらいまでの上昇であれば株価への悪影響はそれほど大きくないと思っています。

もしも、株価に悪影響がある場合には、FRBがすぐに国債を大量に購入して金利を抑えにかかると思うので、いずれにしろまだまだ金利上昇の悪影響は考えなくて良い気がします。

中国の米国債売却リスクもそれほど気にしてない

また米中の対立の結果、中国が保有している1兆ドルの国債が売却されれば金利上昇を招くというメディアの論調もあります。

しかし、20年4-6月のアメリカはコロナ対策で3兆ドルの国債を発行してもFRBの国債購入などで乗り切っているので、中国が万が一米国債を1兆ドル全て売ったとしても、乗り越えられない壁ではないはずです。

インフレ率が2%を大きく超えるかは少し要注意

金利よりもむしろ気になっているのはインフレ率です。

長期金利が上昇してもFRBは国債を買って金利を引き下げに来るはずですが、ためらう事情があるとすればインフレ率が目標の2%を超えてしまっている場合です。

インフレ率が2%超えている状態でさらに国債を買って金融緩和をすれば景気の過熱と、インフレ率のさらなる上昇を招きかねないので、”通常時のFRBなら”国債購入をためらうはずです。

しかし、2020年8月時点の消費者物価(コア)は前年比1.6%程度なので、まだ問題ありません。2%を超えてきたら、FRBがどういう態度に出るか注目してみたいと思います。

ゴールドは恐らくそのまま保有でいい

ゴールドについては既に別の記事でも書きましたが、2020年8月は特に売る予定も買う予定もありません。そのまま保有を継続しようと思っています。

一つの目安ですが、金利は1%前後に収まるならゴールドは保有していて問題ないと思っています。

最近のFRBはインフレ率が2%を多少超えても、景気の完全回復のために金融緩和を継続させるかの議論が活発になっていますが、背景には遠くない将来にアメリカのインフレ率が2%に到達すると言う見方が広がっていることがあります。

>>ダラス連銀総裁、2%「やや」上回るインフレ率に違和感ない(ブルームバーグ)

>>イエレン氏、米金融当局は平均的なインフレ率の目標採用の見通し(ブルームバーグ)

2020年8月では長期金利よりもインフレ率が1%高い状況でゴールドの価格がついています。近い将来インフレ率が2%まで上がる可能性が高いなら、今のゴールドの価格を維持するためには金利は1%までなら上昇しても耐えられるはずです。

またダラス連銀やイエレン元議長の言うように、FRBが多少のインフレ率2%超えを容認して金融緩和を続けるなるなら、ゴールドの価格にはプラスに働くはずです。

国債はインフレ調整後マイナスのリターン

最後に米国債について短めに触れると、今の時点では保有しなくて良い資産だと思っています。

理由は単純で、インフレに負けてしまうほどリターンが小さい資産で保有する価値がないからです。例えば10年国債利回りは現時点で0.7%ですが、10年後の期待インフレ率1.6%に負けているので、長期保有してもリターンは期待できないと思っています。(提供:Investing.comより)

著者:YUTA