入場制限緩和へ
新型コロナウイルスにより窮地に追い込まれた観光や外食に続き、イベント業界にも国の救いの手が伸びる。政府は感染者数の減少傾向を背景に、プロ野球やコンサートの入場者数制限の緩和に動く方向。この日はさっそく、プロ野球チームを抱えるディー・エヌ・エー(=DeNA、2432)や、チケット販売のぴあ(4337)が急伸した。ここから狙いたい3銘柄を選んだ。
ヒビノ――音響機器サービス大手、残存者メリット獲得へ
相次ぐイベントの中止や縮小で収益が落ち込んだヒビノ(2469・JQ)は、音響機器サービスの大手。巻き返しの機運が高まる。
コロナ禍によって東京五輪が延期され、コンサートやスポーツイベントも軒並み開催できなくなった影響で今3月期第1四半期は連結営業損益が15.0億円の赤字(前年同期は1.8億円の黒字)に沈んだ。しかし、足元の感染者の減少基調で先行きには明るさも出てきた。
音響機器サービス業界では、この厄災を通じて事業を継続できなった競合も少なくないとみられる。大手の同社は将来的に残存者メリットを享受できる位置付けだ。イベントの制限緩和をきっかけに、先送りされていた音響工事にも動きが出そうだ。また、IOC(国際オリンピック委員会)は東京五輪を来年開催する意向を示している。
株価は3月と8月の安値で底を確認した可能性が高い。ここへきて26週移動平均線を奪回し、出直りムードを強めている。
フェイス――傘下に音楽事務所、ライブも正常化視野
日本初のレコード会社の日本コロムビアを傘下に擁するフェイス(4295)は、ミュージックラウンジなどのエンターテインメント施設も展開する。イベント制限の緩和とともに、設備の本格稼働が見込まれる。
新型コロナの影響で所属アーティストの作品発表が延期され、音楽イベントも中止を余儀なくされた。インターネットによるオンラインベントの積極開催で対応する局面が続いたが、今後は実際に観客が入るリアルイベントにも商機が戻る方向だ。ミュージックラウンジは一部で営業を再開し、ものまねタレントのコロッケさんがプロデュースするライブ会場や営業の正常化が期待される。
今3月期第1四半期の連結営業損益は5.5億円の黒字(前年同期は0.5億円の赤字)に浮上し、通期計画(5億円、前期比30%増)を超過達成した。音楽事業は苦戦したが、アニメやゲーム関連製品が好調だったほか、店舗のポイントサービス導入支援も伸びた。
日本コロムビアは今年創立110周年を迎えて落語などの幅広いコンテンツを配信。連続テレビ小説「エール」のモデルとなった作曲家の古関裕而の関連製品も見逃せない。
SKIYAK――ライブ制作を展開、11日決算も悪材織り込む
SKIYAKI(3995・M)はアーティストのファンクラブ運営やグッズのEC(=Eコマース、電子商取引)のほかに、コロナ禍で打撃を受けたライブ制作事業を展開している。
2018年にコンサートイベントの制作で日本有数のMSエンタテインメント・プランニング(現SKIYAKI LIVE PRODUCTION)を傘下に収めた。今1月期は新型コロナの影響で逆風が強いだけに、イベント制限緩和の動きは将来的な事業環境に希望をもたらす。
リアルのイベント分野で苦戦する一方、ECが伸び、ファンクラブの会員数の推移も底堅い。全方位的な収益拡大局面をそろそろ視野に入れたいところ。
上期決算を11日に発表するため目先はリスクもあるが、悪い部分はおおむね株価に織り込まれたとみられる。(9月11日株式新聞掲載記事)
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