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S&P500のイールドスプレッドは再び4%台になった。これで株価の割高感は払しょくできた。値幅の調整は完了した。あとは日柄調整だ。
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チャートはナスダック総合だが、75日線でなんとか踏みとどまっている。当面、25日線と75日線の間でもみ合う展開か。
ナスダック総合指数
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日本株は菅政権への期待、9月権利取りの動きなどで底堅い。日経平均は25日線に沿った動きが続くだろう。
日経平均
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一目均衡表の雲が右肩上がりに。2万3000円の下値はますます固まってくる。下値が堅いので売り込めない。
日経平均 一目均衡表
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ところでIPO市場が堅調だ。チャートはIPOインデックスだが今日も高値をとってきた。17日の雪国まいたけでIPO再開後の「連勝」記録は途絶えたが、その後は切り返してきた。
IPOインデックス
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赤:東証マザーズ指数 白:TOPIX Small
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IPO銘柄だけでなくマザーズや東証1部では小型株のパフォーマンスが良い。背景にはやはり構造改革期待があるのだろう。
東京都渋谷区ではLINEで住民票の写しの交付請求ができるサービスがある。渋谷区に対してこのサービスを提供する株式会社Bot Expressは総務省の通知がサービス提供に支障を生じさせているとして、国に対し東京地裁に提訴した。電子署名を用いていない同サービスのような請求方法は「法令違反」とする総務省の通知により、他の自治体が同じようなサービスを事実上導入できない状況にあり、同社の事業に重大な支障が生じていると主張している。こういう役所の弊害をぶち壊してくれる期待が、今度の新内閣にはある。
僕ははじめデジタル庁を2021年秋の設置を目指すと聞いて、なんてスピード感がないのかとあきれていたが、ここにきてピッチが速まった。23日には政府がデジタル改革に関する閣僚会議を開き、菅首相が改革をけん引するデジタル庁創設に向けた基本方針を年内にまとめるよう指示した。これなら案外、早く進むかもしれない。そうかと思うと、河野太郎行政改革・規制改革相は24日、全府省にハンコの廃止を文書で要請した。民間から行政機関への申請手続きなどで求める押印について、原則廃止するよう通知した。存続する場合は9月末までに理由を示すよう求めた。スピーディーで、かつ毅然としている。
こうなってくると活躍できるのは新興企業や中小企業だ。
いまの相場はその期待がよく表れている。
広木 隆(ひろき・たかし)マネックス証券 チーフ・ストラテジスト
上智大学外国語学部卒業。国内銀行系投資顧問。外資系運用会社、ヘッジファンドなど様々な運用機関でファンドマネージャー等を歴任。長期かつ幅広い運用の経験と知識に基づいた多角的な分析に強み。2010年より現職。著書『9割の負け組から脱出する投資の思考法』『ストラテジストにさよならを』『勝てるROE投資術』
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