自動車の次世代技術といえば「電気自動車(EV)」や「自動運転車(AV)」を連想する人も多いことだろう。しかし、ここにきて究極のクリーンカーとしての存在感を増しているのが「水素燃料電池自動車(Hydrogen-Fueled Car)」だ。

次世代技術は日進月歩で、情勢は刻一刻と変化している。数年後には「水素モビリティ社会は実現しない」といったネガティブな見方は過去の話となっている可能性も決して否定できない。

今回は「水素燃料電池自動車」の最新情報を交えながら、水素モビリティ社会の実現に向けた課題についてリポートしたい。

「水素燃料電池自動車」ってどんな自動車?

水素燃料電池自動車,課題
(画像=Elnur / pixta, ZUU online)

水素燃料電池自動車は、文字通り「燃料電池」を搭載した自動車である。燃料電池は水素と空気中の酸素を反応させて電気(エネルギー)を起こす発電装置で、そのエネルギーでモーターを回して走行する仕組みだ。

水素燃料電池自動車の特徴として、充填時間の短さと走行可能距離の長さがある。たとえば、トヨタ自動車 <7203> が製造・販売する「MIRAI(ミライ)」の一回あたり水素充填時間は3分程度、一充填当たりの走行距離は約650キロメートルである。EVの中にも同等の走行距離が可能な車種もあるが、充電時間は30分から数時間とされており、MIRAIには遠く及ばない。また、EVの場合は走行距離が長くなるほどバッテリーのサイズや重量も増え、その分充電時間も長くなる傾向にある。

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