JVCケンウッド <6632> は、かつてVHSでビデオ市場を席巻した日本ビクター(JVC)と、オーディオやカーナビ等の車載機器を手掛けるケンウッドが、2008年に持株会社として統合し発足した会社である。

1980年代から90年代にかけて、日本製のAV機器や車載機器は世界をリードするハイテク製品であった。当時の株式市場では、JVCやケンウッドは日本を代表するハイテク企業として人気化したこともあった。ちなみに、JVCはVHS全盛期の1987年に1万7000円の高値を記録している。

そんな歴史あるJVCケンウッドも、最近は業績・株価ともに精彩を欠く展開を強いられている。今年7月31日には業績懸念から年初来安値となる132円を記録、1月7日の高値279円から半値以下となった。132円といえば2008年10月にJVCとケンウッドの共同持ち株会社として上場して以来の安値でもある。

JVCケンウッドはかつての栄光を取り戻すことができるのだろうか。詳しく見てみよう。

新型コロナ危機で2四半期連続の赤字

JVCケンウッド,株価
(画像= Graphs / pixta, ZUU online)

8月3日、JVCケンウッドが発表した2021年3月期第1四半期(4〜6月)決算は、売上が前年同期比31%減の511億円、本業の利益を示す営業利益は30億円の赤字となった。新型コロナ危機を背景とした自動車市場の縮小が直撃し、営業利益は2四半期連続の赤字となった。

JVCケンウッドは2021年3月期(通期)の見通しについて、売上11%減少の2600億円、営業利益は51%減少の20億円としている。新型コロナ危機の影響により、売上で500億円、営業利益で150億円の減収減益が見込まれている。

「あおり運転対策」でドラレコ需要が急増

問題は今後の展開であるが、まず注目されるのがドライブレコーダー(ドラレコ)市場だ。当初はタクシー車内のトラブルを記録する等の目的で普及したドラレコであるが、2017年の東名高速の悪質なあおり運転による死亡事故をきっかけに、危険運転対策用としての需要が拡大している。