ルネサスや日製鋼、日電産が高値

EV(電気自動車)関連株の強さが際立っている。半導体のルネサスエレクトロニクス(6723)や、セパレータ(絶縁材)用フィルムシート装置を手掛ける日本製鋼所(5631)、モーターの日本電産(6594)といった中核銘柄が高値を更新。業績への貢献も着実に表れる中、物色は広がりを見せそうだ。

環境意識の高まりを背景に、EVの普及が加速しつつある。英国がガソリンやディーゼルなどの化石燃料自動車禁止までの期限を2040年から35年に前倒ししたほか、米国では大統領選でリードするバイデン前副大統領が環境政策を前面に出す。EV世界最大手の米テスラの7~9月販売台数は13.9万台(前年同期比44%増)と過去最高を更新した。

EVのサプライチェーンに食い込む日本企業にも追い風が吹いている。日製鋼は、電池のセパレータ向けにフィルムシート装置の市況が改善。株価は21日、昨年12月以来の水準の2301円(前日比8.4%高)まで買われ、9月以降の上昇率は5割に迫る。車載マイコンで高シェアのルネサスも18年以来の1000円台が視野に入ってきた。

SMBC日興証券は19日付で日製鋼の目標株価を1800円から2800円に引き上げた。また、東海東京証券はルネサスのターゲットを1200円(従来550円)に上積み。EV分野に力を入れるローム(6963)は、自動車生産の回復を受け、今3月期上期の連結営業利益が計画比56億円増の126億円(前年同期比29%減)に上ブレしたもようだ。

モーター大手の日電産は、EV向け戦略製品のトラクションモーターを中心に、電装化の波をとらえる。顧客のすそ野も本格的に広がりつつあり、株価はこの日上場来高値を更新した。10月26日の今3月期上期決算の発表を意識した先回り買いも活性化している。

こうした流れは米大統領選が近づくにつれ、一段と強まる可能性がある。決算へ向けてはTDK(6762)や村田製作所(6981)、ヒロセ電機(6806)などの有力電子部品メーカーに注目が集まる。部材では旭化成(3407)や東レ(3402)が浮上する。

一方、台風の目となる潜在性を秘めるのが三桜工業(6584)。米企業と組み、次世代の全固体電池の製造に乗り出している。進ちょくはまだ表面化していないものの、この局面でマーケットの期待が再燃する可能性がある。また、カーリットホールディングス(4275)は電池試験で知られ、テーマ株物色に繰り返し乗ってきた銘柄だけに見逃せない存在だ。(10月22日株式新聞掲載記事)

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