「パンデミックってなに? 日本映画が過去最高の観客動員数を記録」そんな見出しが米紙ニューヨーク・タイムズのヘッドラインに並んだのは10月20日のことだった。同紙は劇場映画『鬼滅の刃 無限列車編』の初日から3日間の興行収入が、日本以外の国で封切られたすべての映画の興行収入の合計を上回ったと報じた。海外生活が長い筆者としては「日本の話題」がポジティブに取り上げられると、なんとなく嬉しくなる。『鬼滅の刃』は映画業界復活の起爆剤となるのだろうか?

日本の話題といえば、もう一つ、金融関係者が関心を寄せているのが「スガノミクス」だ。筆者が暮らすオランダの街はマルチカルチャー色が濃く多様な人種が生活しているが、最近は友人・知人からも「スガノミクスはアベノミクスよりベターなのか?」と質問を受ける機会が増えている。彼ら(彼女ら)の関心はオタク文化だけではない。日本の政治経済への関心も高い。

大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略の「三本の矢」を掲げたアベノミクス。その後継となるスガノミクスを海外メディア、金融関係者はどのように見ているのだろうか?

安倍前首相の「衝撃的な辞任」から2カ月半

スガノミクス,とは
(画像= k yu / pixta, ZUU online)

Abe’s shock resignation(安倍首相の衝撃的な辞任)ーーそんなタイトルが海外メディアを賑わせたのは8月28日のことだった。その後、自民党総裁選挙が執行され、9月14日に菅義偉氏が新総裁に選出される見通しがつくと、マーケットはおおむね好意的な反応を示した。なかでも日経平均は、ソフトバンクの英半導体設計大手アーム・ホールディングス売却なども影響して約7カ月ぶりの高値を記録している。

マーケットが好意的な反応を示した理由の一つとして、自民党総裁選で菅氏が主張してきた「アベノミクスの継承」を挙げることができる。日本国内でのアベノミクスの評価はさておき、少なくとも安倍晋三首相の在任中に日本株がほぼ3倍に跳ね上がり、400万人の雇用を創出した事実を、金融関係者の多くが評価している。当然、菅首相が継承する「スガノミクス」への期待も大きくなりがちだ。