「ギグワーカー(Gig Worker)」をご存知だろうか? 近年、欧米を中心に増加している新しい働き方で、インターネットを通して単発(Gig)の仕事(Work)を請け負う労働者のことだ。或いはその働き方を指して「ギグエコノミー(Gig Economy)」と呼ぶこともある。ギグワーカーはフリーランスのほか、企業に属しながらも休日等の隙間時間に副業として取り組む人も少なくない。後段で述べる通り、米国のフリーランス市場は推定で1兆ドル (約103兆5288億円)に達しており、ギグエコノミーを新規事業や投資の機会として注目する向きもある。

働く側にとって、ギグワーカーの魅力の一つといえば「働く時間を(自分で)自由に決められる」ことだろう。しかし、一方で「非正規雇用のため(安定的な)収入が保障されていない」というデメリットもある。現実問題として、今年は新型コロナの影響でギグワーカーが供給過多に傾いているとの観測もある。筆者の友人・知人のギグワーカーからも「コロナの影響で仕事や収入が極端に減った」との声が多く聞かれる。

そうした中、コロナ不況で苦戦するギグワーカーを支援するフィンテックアプリも登場している。今回は「ギグエコノミー」の最新事情をお届けしよう。

多様化する雇用形態、新型コロナ禍でさらなる変容へ?

ギグエコノミー,アプリ
(画像= nonpii / pixta, ZUU online)

ギグワーカーはフリーランスと混同されがちだが、「働き方」に微妙な違いがある。米リクルート企業のネルソン社は「フリーランス=自分でビジネスを経営する個人事業主」「ギグワーカー=単発の仕事を斡旋するアプリなど(通称ギグプラットフォーム)を介して仕事を受ける労働者」と定義している。

しかし、近年はギグプラットフォームを利用するフリーランスが増える一方で、全日労働者として収入を得ながら休日等の隙間時間にギグワーカーとして働くケースも見られるなど、雇用形態そのものが多様化している。そのためギグワーカーとフリーランスの境界線も不鮮明になりつつあるようだ。