本記事は、村松勝・吉田隆太氏の著書『年商10億円最速達成の3大ポイント』(セルバ出版) の中から一部を抜粋・編集しています

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(画像=PIXTA)

がっちり!組めれば40億円

特許は、そもそも新規性のあるアイデアや技術がないと、権利を取得することはできません。そして、それが難しいという社長も多いと思います。

そこで、特許のような高度な技術が自社になくても、独占に近い状況を手にすることを可能にするのが、「連携タッグ」です

「連携タッグ」とは、簡単に言えば、技術力が高い会社や、すでに特許を取得している会社と手を組むことです。

大手企業では普通のことですが、中小企業で積極的に取り組んでいる会社は、まだまだ少なく、競合と差をつける戦略として検討してみる価値は高いです。

相手の技術力が高ければ、あえて特許権などがないほうがよいという考え方もあります。理由の1つは、特許は期限付きということです。うまく売れてそれなりの市場になっていけば、特許の期限が切れたときに競合企業がワッと参入してきます。

また、特許は技術公開が前提ということも意識しておく必要があります。特許 を出せば、その技術は、競合に丸見えの状態になります。

海外の企業も日本の特許庁のデータベースにアクセスすることが可能です。お隣の国が、どんどん参考にしてビジネスを展開しているという話もよく聞きます。以前、当社に相談に来られたある食品卸会社は、「連携タッグ」で、これまでにない「加工食品」を生み出して、大きな市場を生み出しました。

その会社は、現社長に交代した頃に、ある地方の生産者とご縁があり、その生産者が、素晴らしい想いで、「加工食品」の品質向上に努めていることを知りました。相当な努力を積み重ねて、圧倒的な品質を実現する加工技術を習得していたのです。食品卸会社の社長は、その生産者の仕事への情熱と実績にほれ込みました。そして、一緒に全国にその商品を広めていこうと決めたのです。

その後、その圧倒的な品質を実現した「加工食品」は、思惑通りに、全国で販売されることになり、同社のカテゴリーキラーとなりました。

さらに、そこから何十年と時を超えて、今では多くのファン顧客に支えられる、ロングセラーになっています。

その食品卸会社は、年商40億円の規模まで成長しました。

この状況を、競合他社が放っておくはずがありません。1社、2社、3社と競合企業が続々と進出してきました。

しかし、特許として技術情報を公開していなかったため、この「加工食品」のつくり方は、どの競合企業も知ることはできませんでした。競合企業は、手探りで、類似商品を開発していったのです。

販売から何十年も経ちますが、先行した食品卸会社が提供するカテゴリーキラーを超える会社は存在していません。

同業界ではトップブランドになっています。競合他社の商品と食べ比べてみると、その違いがはっきりわかります。

このように、圧倒的な技術があれば、特許を取らずとも、お客様に支持され続けて、市場を拡大していくことができます。

世の中には、圧倒的な技術を武器に商売をしている会社はたくさんあります。しかし、その会社の売上がその技術力に対して、果たして妥当かと言えば、意外に小さくて、まだまだ発展の余地があるのではないかと思うことも多いです。

ここには、大きな理由があります。それは、本気のものづくりや、技術を高める ことに専念している会社ほど、販売に意識が向きにくくなってしまうということで す。実際に、技術力は高いが販売が苦手という会社は多くあります。

ですから、もし、あなたの会社が販売を得意とするなら、このような技術志向の会社とうまく「連携タッグ」を組んでカテゴリーキラーを生み出せば、大きな市場を築くことができます。その際に気を付けなければならないことは、つくる人の気持ち、「想い」を大切にすることです。お互いに「想い」の共感が得られなければ、いくらお金を積んでも、協力は得られないでしょう。

さて、その後、食品卸会社と生産者は、資本提携も行って「連携タッグ」を強化しました。さらに近年、海外にも現地法人を設立し、工場を立てて、販売活動を 行っていく決断をしました。

海外で工場の設立など、大型の投資を伴う勝負に打って出たものの、なかなか思うようにいかず、相当な苦労をしたと聞いています。

しかし、社長のやり切る「想い」は本物でした。いくつもの苦難を乗り越えて、工場を稼働させ、販売にこぎつけ、見事に成功させたのです。

現地では、多くの人に喜ばれる大人気のカテゴリーキラー商品になっています。 現地の売上だけで、年商10億円に迫る実績を上げています。

もはや敵なし!愛される100億円市場【⑥単品突破】

次に紹介するビジネスの切り口は、「単品突破」です。これは、非常にシンプルで効果的なビジネスの切り口です。年商10億円はもとより、長期的な視点を持てば、独自の100億円市場をつくることも夢ではありません。

明太子といえば、福岡の「ふくや」を想起される方が多いと思います。以前、その「ふくや」の経営者の講演を聞いたことがあります。その際お土産に、新商品とパンフレットをいただきました。

お土産の新商品は、明太子の中身を皮から取り出してつくった缶詰めでした。驚いたのは、中身を取り出したあとの皮は捨てるのではなく、佃煮にして売り出しているということでした。缶詰めも佃煮も両方とても人気があるそうです。

そして、パンフレットを見ると、単に商品を掲載しているのではなく、明太子を使った様々なレシピが紹介されていました。さらに、パンフレットに紹介されている商品を数えると、サイズ違い、入数違いも含めて、40種類以上の商品が掲載されていました。きっと、長年ご商売をされ、お客様のニーズに応えていく中で、これだけの品数になったのだと思います。

徹底して明太子なのです。

もし、「ふくや」が、明太子で儲かったので、また別のものを開発しようと、いろいろと手を広げていたらどうなったでしょうか。おそらく、めんたいこ=ふくや、と想起してもらえるブランドにはなっていないと思います。

「ふくや」が凄いところは、創業者が、参入企業に技術提供をして、一緒に市場をつくっていく地道な取組みをした点にあります。それなりの規模の市場ができるまでに、時間はかかりましたが、年商は100億円を優に超え、同業界ではトップブランドとして知られています。やっぱり本物は強いです。

「単品突破」ビジネスを成功させるポイントは、明太子のように、まずはあっと驚く、多くのお客様に喜ばれるカテゴリーキラーを生み出すことが重要です。

そして、その後は品揃えを充実させて、商品群として売上を拡大していきます。商品群として、業界で認知されてくると、それは1つのブランドになります。当社では、これをカテゴリーブランドと呼んでいます。

このようにカテゴリーキラーを生み出し、カテゴリーブランドにしていく取組 みを最速で行っていけば、数年で10億円規模は、十分に狙えます。

実際に、年商100億円までいかなくても、「単品突破」で、しっかりと利益を出している会社はたくさんあります。

以前ご縁があったサプリメントメーカーは、健康によい特定の食材に目をつけて、商品開発に取り組みました。その際に意識したことは、「美味しさ」です。

理由は、サプリメントはある程度の期間、継続して利用することで、効果を発揮します。その継続させるポイントが「美味しさ」だと考えたからです。実は、同社の社長が美味しさを追求する専門技術を持っていたため、この「美味しさ」は非常に高いレベルで実現できました。

多くの人が、「美味しい!」と、実感できるレベルです。実際に私も長年愛用していますが、非常に美味しく、体調もよくなります。まさに、圧倒的な美味しさを実現した、健康食品のカテゴリーキラーです。このカテゴリーキラーは、美味しさを武器に、どんどん取り扱い小売店を開拓していきました。

そして、同社は、販売を小売店に任せきりにしませんでした。

スタッフが店頭に出向いて、来店するお客様一人ひとりに声がけをして、お試しいただき、ファン顧客を増やしていくという地道な努力を積み重ねていきました。

さらに、販売実績が上がってくると、小売店に対して勉強会を積極的に実施しました。とても強い「想い」で市場を開拓していきました。

その結果、小売店の販売スタッフにもファンがどんどん増えていきました。売上は、ぐんぐん伸びていき、あっという間に年商5億円を超えるカテゴリーキラーに成長しました。

その後、丁寧なファンづくりと並行して、健康に対する意識が高いアスリートにお試ししてもらうプロモーションを展開しました。著名なアスリートに愛用してもらえるようになれば、口コミで商品が広がっていきます。

実際に、様々なジャンルのアスリートに愛用してもらえるようになりました。

その後は、品揃えも充実させて、スポーツの世界で、カテゴリーブランドとして認知されるようになりました。年商は10億円を超えて、最盛期は15億円規模まで成長しました。

この美味しさを武器にしたカテゴリーブランドは、商品の入れ替わりが激しいサプリメントの業界でロングセラーになっています。

年商10億円最速達成の3大ポイント
村松勝
株式会社ミスターマーケティング代表取締役代表コンサルタント。電通グループ企業にて、大手企業各社のダイレクトマーケティングを経験後、2007年に株式会社ミスターマーケティングを創業
吉田隆太
株式会社ミスターマーケティング、取締役代表コンサルタント。株式会社ミスミにて新規事業開発、新商品開発などのマーケティングを手掛ける。退職後、株式会社ミスターマーケティングに創業メンバーとして参画。サンダーバードアメリカ国際経営大学院経営学修士(MBA)、経済産業省中小企業診断士(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

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