昭和の時代、古い話で恐縮であるが、百貨店は「華」のある場所だった。売り場は魅力的な商品で輝き、食堂は人気メニューが並び、屋上はイベントなどで子供たちの活気であふれていた。あの時代の百貨店は家族などでお洒落をして出掛ける特別な場所であり、一種のエンターテインメントエリアでもあった。そんな百貨店の存在感も平成、令和と時代の移り変わりとともに低下している。専門店、EC(電子商取引)といった競合に押される中、インバウンド需要も新型コロナ禍で消滅している。
こうした情勢を反映するように、高島屋 <8233> の株価も精彩を欠く展開を余儀なくされている。高島屋が「長いトンネルの出口」を抜けるのはいつか。同社の最新情報をお届けしよう。
大発会、初売り不調と緊急事態宣言で軟調に幕開け
『百貨店初売り、軒並み半減 昨年売上高「経験ない数字」』Yahoo!ニュースのヘッドラインにそんなタイトルが並んだのは1月4日のことだった。報道によると、百貨店大手の初売り(1月2日、3日)は高島屋が前年に比べ半減、三越伊勢丹ホールディングス <3099> も4割減、大丸松坂屋百貨店も前年を5割ほど下回ったという。この日、大発会を迎えた東京株式市場でも高島屋は昨年末に比べ3.2%安の857円、三越伊勢丹HDは4.1%安の585円、大丸松坂屋百貨店を傘下に置くJ.フロント リテイリング <3086> は4.8%安の776円と総じて軟調だった。
同日は菅義偉総理大臣が年頭にあたっての記者会見で、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、1都3県で緊急事態宣言を検討する方針が伝えられたことも百貨店株の売りを誘ったと見られている。今回は学校や映画館、百貨店等に休業要請しないことが明らかになったが、それでも厳しい状況に変わりはない。