本記事は、山口雄輝氏の著書『お金も仲間も引き寄せる 神コミュニティの創り方』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています
まずはイベントを開催してみよう!
コミュニティを創る上でイベントを自分で開催することは、コミュニティメーカーとしての登竜門です。麻雀でいう役を覚えるようなもの。イベントを回せなければ、良いコミュニティを創れないといっても過言ではないでしょう。
「イベント創造力」は、組織に属していても、コミュニティをうまく反映させていく上でも、プライベートを充実させるためでも、とにかく潰しの効く必須スキルです。
私は1500人くらいの規模の音楽フェスのプロジェクトマネジャーや、3500人くらいのイベントのリーダーポジションで運営することが多いので、そういった動き方についても少々知見がありますが、今回は商業的にやるイベント以外、つまり集客戦略や損益分岐点を見てマネタイズするイベントではなく、コミュニティ運営におけるイベントについてのコツを共有していきます。
神田の〈マムツリー〉で年間300回実施した経験などをもとにした、あまり出回っていない、人の心をつかむエッセンスを共有します。ごく一般的なイベントの基本段取り=会場を決める、タイムスケジュール・マニュアルを作る、などはネットで検索してください。
イベントを開催する順序と注意点
【順序1:座組を創る】
・イベントを行なう目的を明確に絞る
問題点と目標の間に介在する、自分とメンバーの「熱量の差」を見つけましょう。
基本的にコミュニティメンバー間の人間関係を円滑にし、熱量を上げるために有効なのがイベントです。その人たちがどんなイベントで熱量が高まるのかを客観的にイメージして企画を創りましょう。
・参加者全員が楽しめることを意識する
大人数になるほど客観的視点で全員が見ること。主役は参加者全員という意識が大切です。よくあるのが一部だけが盛り上がり、その他が淘汰されるというケースです。結婚式でよく見る、内輪の思い出話で盛り上がって、その他の参加者はまったく意味不明の状態。あれをやってしまうと全体の熱量が下がります。「元気になる、ためになる、ネタになる」の3要素が網羅されているのがベストです。
・企画側に参加者を巻き込む
参加者を主催側に巻き込むことで、運用コストが下がる、集客も簡単になる、1人でやるより楽しくイベントができるといったメリットが生まれます。無論、みんなでやったほうが早いですし、アイディアも出し合えばブラッシュアップでき、1人でやるよりもきっと楽しくできるでしょう。
集客が必要なイベントの場合、100人のイベントを1人で実施したらかなり大変です。参加者側に運営メンバーが10人いたら、10人ずつ集めてもらえば達成できてしまいます。1人の100歩より10の10歩というわけです。
いつも思うのは、「もてなされるよりも、もてなすほうが面白い」ということです。もしも、パーティやイベントの企画に初挑戦するなら、この感覚をまずシェアしてみましょう。
サプライズもされる側より、準備して大切な仲間を喜ばせるほうが、実は楽しかったりします。
【順序2:イベント概要を創る】
・アイディア出し
企画のアイディアは運営メンバー(3人以上)で出し合います。とにかく、アイディアはいろいろな価値観で話したほうが発散します。
・役割の決定
一般的な準備以外では、ここが最も重要です。主催側の腕の見せどころです。ポイントは前述の参加者を企画者側に巻き込んだあと、その人が「できそう」で「やりたい」と思うポジションを設定してあげることです。運営側がつまらなそうにしていると、その温度感が参加者に伝わるものです。なので、運営側も楽しむがベストです。
とはいっても、運営する上で必要な、作業的なポジションも発生します。たとえば、退屈で誰でもできるような受付などの業務は時間を決めて交代制にしたり、後日ご飯をごちそうしたりと配慮をしてあげましょう。
それ以外のポジションは、とにかく運営側も楽しめるように、できる限り参加者運営型に創りこむことを推奨します。たとえば、飲み物を作る人がいるのであれば、そこはセルフにしてしまって飲み放題にします。僕のイベントであれば、フードは作ること自体をコンテンツにして、参加者が作るように企画しています。こうすることで人手をかけずに、体験型でみんなが楽しめるイベントになります。
〈マムツリー〉では、営業終了時に配膳と空瓶を運ぶのは参加者が行ない、皿洗いまで参加者が行なってくれる日もありました。このくらい参加者が運営に入ってくる形でも問題ありません。これ自体をコンテンツにしましょう。
・集客人数
どんなに仲の良いコミュニティでも、社会人であれば仕事の関係などでイベントのドタキャンはつきものです。なので、確定人数の80~90%くらいを目安に来場人数を考えておきましょう。人数が増えて、損益分岐を意識しなければならないイベントになったら、Paxtexなどの事前決済を導入すれば手数料は発生しますが、キャンセル率を減らして想定外の赤字が出ることを防げます。
・一瞬の興味を創る
サムネイルをしっかり創ることが大切です。今は無料でダウンロードできるアプリがたくさんあるので、10分くらいで良いので少し手間をかけてイベントサムネイルを創りましょう。まず視覚で興味を持ってもらうことが大切なので、実はこのひと手間が大切です。「ためになる、ネタになる、元気になる」の要素を、視覚情報でできる限り網羅するように意識しましょう。
【順序3:告知する】
・告知は個別→全体→個別で1ヵ月前には告知する
イベントの告知にはSNSを使ってみましょう。ここでのヒット率は、低くても大丈夫です。大切なのは個別連絡です。バイネーム(名指し)でその人向けにお誘いメッセージをLINEなどで送りましょう。本文自体は定型文のコピペでOKですが、必ずバイネームかつ、その人向けに文章を創ることに注意してください。全体告知は、全コピペの文章はワン・オブ・ゼム(その他大勢)になるので、情報があふれているなかではスルーされてしまいます。このひと手間が、コミュニティのイベントを運営する上で非常に重要です。
すでにコミュニティを持っている方向けに、もう少し細かい話をします。
私は自身のオンラインサロンでは、イベント告知をする前に、来てほしいメンバーに事前にLINEグループを作ってイベントの主旨を話し、案をもらったりします。意見がイベントに反映され参加者が主体的になるような余白を作っておきます。そして、「調整さん」などのツールで日程調整などをしてしまいます。その後、決定した日程と詳細を全体SNS(〈タキビダイ〉ではFacebookを使用しています)でオフィシャルに発信します。最後にまた、メンバー全員に個別連絡までします。こういった形で3段階踏んでいます。
ファンクラブ型であれば、全体発信以外の手間をかけなくても勝手に人が集まるでしょう。しかし、凡人がコミュニティを創り、イベントを実施するときには、こういった個別で話をする機会を何度も作ることが非常に大切です。
・運営人数が多いと集客に強い
情報商材型やファンクラブ型でない、共創型のコミュニティのイベントは、いかに参加者を運営側にジョインさせるかが重要です。運営が1人につき10人連れてくるだけで人数も集まるし、その際にスクリーニングをしておけば、イベントが荒れることもありません。
200人くらいまでのイベントは、この主催が呼んでくる身内イベントとして成り立ってしまうものです。
・1ヵ月というデットライン
告知は1ヵ月以上前に行なうのがセオリーです。告知のタイミングで、人の集まり方がまったく変わるからです。ここはイベント企画時にスケジュール管理を行なって、直前告知にならないよう注意が必要です。
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