投資信託の「5種の神器」を覚えているだろうか? 当コラムの第2回目「投信を買うとき、何を見て選んでいますか?」で取り上げた、投資信託購入時には絶対に目を通して貰いたい重要書類群のことだ。その一番の肝である「目論見書」に記載されていることは、その投資信託の憲法のようなものだから、運用がその通りに行われている限り、基本的に運用会社はその義務と責任を果たしていることになるともお伝えした。また、その後の運用状況については運用報告書や運用レポートに記載してあるので、憲法に則した運用が為されているか、それについて納得が行くかチェックすべきことだともお伝えした。

なぜ今あらためて皆さんに問い掛けるかと言えば、筆者は皆さんに重要なことを告白しなければならないからだ。

その目論見書の内容、本当にきちんと理解していますか?

投資信託
(画像=CORA / pixta, ZUU online)

これは皮肉でも、偽りでも、大袈裟でも無く、寧ろ自らの無知や恥を晒すものだが「昨年人気を博したと評判の投資信託」の目論見書、その肝心な部分の意味が筆者には全く理解出来ないのだ。当然大手の運用会社が作った目論見書であり、大手フィナンシャル・グループの一角が販売している投資信託であり、リーガル・チェックもクリアしている筈なので、おかしいのは筆者のほうなのだろう。だが、数回読み返し、その運用会社のWebページも閲覧してみたが、やはり意味が理解出来ない。

運用現場で20数年を過ごし、投資信託を設定・運用する投信会社の社長としても4年超を過ごし、プライベートバンクの商品専門部隊のヘッドとして5年を過ごしたが、そのキャリアをもってしても申し訳ないが理解出来なかった。より正確に言うならば、目論見書の中に記載されているひとつひとつの文章を咀嚼して、その投資信託の投資判断のポイントや運用プロセスの具体的なイメージを頭の中に描けなかったということだ。

きっかけは昨年12月30日に日本経済新聞が報じた「ESG関連投信、2020年は過去最多の設定本数に」という記事が気になり続け、あらためて調べてみようと思って検索したことに始まる。その記事の中に「歴代2位の当初設定額(3830億円)を集めたことで話題をさらった」と謳われていた投資信託があった。当然、どんな投資信託なのか非常に興味が湧き、諸々調べてみたが、一向に具体的なリアルな運用のイメージが頭に浮かばない。にもかかわらず2021年1月22日現在、その投資信託の純資産残高は9213.44億円にまで増え続けている。きっと多くの人がその目論見書を読んで購入を決意されたのだろうと思う。だが、同時に拭いきれない疑問も残る。「その目論見書の内容、本当にきちんと理解していますか?」と。

金融商品は実物を手にして感じることは出来ない

筆者のESG投資やESG投信に関する知見や見解は昨年7月に「なぜか今話題の「ESG投信」 個人投資家は買うべきか?(その1)」「同(その2)」で記しているので割愛させて頂くとして、今回はひとつの具体的なケーススタディとして目論見書に記載されている内容を検証し、今後投資信託を購入される時の着眼点の参考として頂きたいと思う。