近年、サステナビリティ(持続可能性)やESG(環境・社会・企業統治)、SDGs(持続可能な開発目標)といった言葉を目にする機会が増えている。最近では「自分のサステナビリティ・レベル」を分析する無料オンライン診断まで登場している。筆者もその無料オンライン診断を受けてみたが、結果はエコバッグを持ち歩いたりエシカル商品を積極的に購入するといった点が評価される一方で、「キャンプより5つ星ホテルに泊まりたい」と回答したことなどがマイナスとなった。普段から意識して行動しているようでもなかなか難しいものである。潜在意識の「非サステナビリティ性」を痛感する貴重な機会となった。

人々の意識が高まっているとはいえ、サステナビリティを日常的に実践するのは簡単なことではない。企業や組織となれば、なおさら複雑かつ多くの課題に直面することだろう。さらに、それら企業を「投資対象」として分析・評価するのも容易ではない。そうした中、AI (人工知能)をESGのパフォーマンス評価や投資判断に活用する動きが広がっている。

ESG関連のETF、過去1年間で運用総額3倍だが…

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(画像=metamorworks / pixta, ZUU online)

ファンド分析プラットフォームの Track Insight によると、2020年末のESG関連のETF(上場投資信託)のAUM(運用資産)は総額1740億ドル(約18兆2207億円)に達し、過去1年間で3倍に増加したことが明らかになった。とはいえ、ESG市場の拡大が必ずしも「成果」に結び付くわけではないようだ。

「ESG関連」といってもその領域は広範囲にわたる。サステナビリティ評価のための国際イニシアティブ、GISRによると2020年時点で600以上の企業がESGスコアサービスを提供しているが、それぞれ重視するポイントや算出法が異なり、ときには偏向的な結果がでる可能性も指摘されている。そもそも、現状では企業がESG情報を報告するための規則さえ標準化されていない。企業のESG情報は財務諸表のように監査を受けたり、標準化された様式に従って作成するわけではない。ましてや企業の取り組みが環境や社会にどのような影響を及ぼすか測定するのは容易ではない。