2月9日、仮想通貨(暗号資産)のビットコインが対円で初めて500万円の大台に乗せた。ビットコインは昨年3月に一時40万円台に急落する場面も見られたが、その後は世界的な金融緩和の中で投資マネーの流入が続き、この1年足らずで12.5倍になった。米国時間で2月8日には電気自動車大手テスラのイーロン・マスクCEO(最高経営責任者)がビットコインを15億ドル(約1600億円)購入したことを明らかにしており、上昇に弾みをつけたようだ。
注目されるのは内外の株式市場でも「ビットコイン関連銘柄」が人気化していることだ。東京証券取引所ではマネックスグループ <8698> などが買われ、2月9日に同社の株価は前日比で16%高の818円と急騰、翌10日も一時841円と約13年ぶりの高値を付ける場面も観測されている。
ビットコイン急騰、株式市場では関連銘柄が人気化
ビットコインが急騰している背景には、米国企業や機関投資家の相次ぐ参入が指摘される。たとえば、米フィンテック大手のペイパルは昨年10月に仮想通貨事業に参入、同様にフィンテック大手のスクエアもビットコインに投資したことを明らかにしている。米ソフトウェア企業のマイクロストラテジーはビットコイン投資による含み益の増加で注目を集め、株価は昨年の安値から10倍以上になっている。また、機関投資家では米投信大手のフィデリティがグループで仮想通貨事業に参入しているほか、1月20日には世界最大の資産運用会社であるブラックロックも投資信託を通じて、ビットコインに連動する先物商品を投資先に加えることが明らかになっている。
しかし、注目されるのはなんと言ってもテスラの発表だ。冒頭で述べた通り、テスラのイーロン・マスクCEOはビットコインの15億ドル購入に加えて、決済手段として近い将来ビットコインを使ったテスラ車購入を可能にする考えも明らかにしている。2月8日付のロイター通信は「(テスラのビットコイン決済が)実現すれば、実社会でのビットコインの決済利用が広がる可能性がある」と報じている。2月9日のビットコイン市場はさながら「テスラ祭り」の様相を呈し、史上初めて500万円の大台に乗せた。