すっかり定着しつつある昨今のテレワーク。あなたは、デキる人材とデキない人材、どちらに当てはまるでしょうか。

お気に入りのドラマや音楽を流しながら、自分に合ったチェアとデスクで、むしろオフィスより快適に仕事が進められる、家でもしっかり「デキる」派。
または、ダメだとわかっていてもついつい横にあるベッドに向かってしまう。スマホを見ていたらあっという間に時間が過ぎてしまう……。

久能 克也
久能 克也(くのう・かつや)
Opty.G.K.代表。「社長が自分で自分をクビにできる」メソッドを伝える。2002年東京外国語大学を卒業後、大手人材会社に入社し3,000人の組織にてマーケティング業務を経験。退社後単身中国上海に渡り、コンサルティング会社を起業し共同経営者に就任した。帰国後、自社や顧問先の経営を劇的に変えたEOS®(Entrepreneurial Operating System/起業家のための経営システム)の普及活動に従事している。10年後のビジョン達成のために「今」すべきことだけに集中し、経営者の負担を軽くしながら業績アップさせるコンサルティングが得意。座右の銘はLess Is More。
▶訳書:TRACTION トラクション 〜ビジネスの手綱を握り直す中小企業のシンプルイノベーション〜

そんな自分が嫌になりつつも、いざ出社しろとなると行きたくない「デキない」派。
(デキるデキないにかかわらず、開き直ってサボる方もいるでしょうが)「デキる」人であれば、テレワーク反対派の上司の意向で出社を要請され、必要のない満員電車に乗るのは非常にストレス。「デキない」人であれば、自己嫌悪と生産性のない時間に「このままでいいのか?」という不安を抱いているかもしれません。

管理する側も悩んでいる

テレワークで露呈。デキる人材、デキない人材
(画像=milanmarkovic78/stock.adobe.com)

そして、管理者のあなた。

残念ながら、社員がアニメを見ながら仕事したり、こっそり昼寝していることは往々にしてあります。とはいえ、多少自由にさせても要領よく仕事をこなし、出社時と変わらないパフォーマンスを出せる「デキる社員」に関してはなんの問題もないでしょう。
問題なのは、「デキない社員」。テレワークになった途端、明らかにアウトプットの量が減り、チャットの返信が遅くなる彼らの管理には頭を悩ませます。社員の管理のために、細かい監視ルールを作ったり、コストをかけて勤怠管理ツールを導入している企業の話もよく聞きます。

あなたが悪いのではない

あなた自身、または部下が「デキない人材」であることにお悩みの方へ。大丈夫、あなたのせいではありません。

”会社が与えた役割のせい”である可能性が高いです。多くの場合、会社と従業員のコミュニケーションの問題で、社員に「何が期待されていて、何ができれば評価されるのか」を伝えていない場合が多いのです。

「デキない」への対処法

こんなときにおすすめしたい、画期的な方法があります。管理する側、される側の両方にとってストレスがなく、コストも掛からずに「デキない」を改善できるツールです。
ひょっとしたら人事制度を根底から覆してしまう可能性もあります(笑)それが、GWCと呼ばれるものです。

GWCとは?

起業家のための経営システム「EOS®」では、正しい人を正しい席に座らせるために、GWCというフィルターにかけることをおすすめしています。

GWCとは、「Get it(業務を理解できる)」、「Want it(業務に対するやる気がある)」、「Capacity to do it(業務を遂行する能力がある)」を意味する頭字語のこと。この3つを満たしてさえいれば、テレワークであろうが出社であろうが、モチベーションは下がることなく生産性をキープできるのです。

今のあなた、またはあなたの部下が、以下の3つの項目に当てはまっているかどうかチェックしてみてください。

Get it(業務を理解できる)

一言で言えば、そのポジションの任務を理解している状態です。「理解する」とは、自分の役割、企業風土、システム、ペース、仕事を軌道に乗せる方法をきちんと理解しているということ。

「あなたの役割は何ですか?」「何を達成すれば評価されますか?」という質問をしたときに、すぐに答えられる状態ならOKです。

Want it(その業務に対するやる気がある)

これは、その仕事が心底好きということです。多くのマネージャーは、従業員にやる気を出させるためには給料を上げないといけない、やってくれと頼まなければならないと感じていますが、実際にはそんな必要はありません。仕事が好きであればいいのです。

眠りにつく前には「明日も仕事が楽しみ!」とワクワクし、朝起きるときには「今日も仕事ができる!」という具合にその業務をやりたがるような状態であれば、この項目はクリアです。

Capacity to do it(業務を遂行する余裕がある)

仕事をきちんと遂行するための時間的余裕はもちろん、知能、身体的能力、精神的能力を持っているという状態です。一定以上の知性、スキル、知識、EQ(心の知能指数)が必要な仕事に、それだけの能力がない人が従事することもありますが、それでは余裕があるとは言えません。

3つすべてを満たしているか

GWCは、そのポジションが正しいかどうかを判断する絶対的指標です。3つすべてにYESがつかないと、組織にとって正しい状態ではありません。

全てにYESがついているならば、海外だろうがフレックスだろうがテレワークだろうが、勤怠管理などしなくても、月末には目標を達成しているでしょう。逆に、テレワークを禁止したり、コストを掛けてツールを導入したりしなくてはいけない状態なのだとしたら、どれかにNOがついているはずです。

その場合は今すぐ役割を変えましょう。間違った席に座らせた人のために、周りの人は余計な仕事をしないといけなくなります。

もしも今のあなたの仕事の役割においてNOがひとつでもあるのなら、3つ全部がYESになる仕事を探したほうがいいでしょう。

テレワークで露呈。デキる人材、デキない人材

現状把握して正しいアクションを

デキる社員か、デキない社員かは、GWCのフィルターにかければ、すぐにわかります。
デキないなら、人間が悪いのではなく、役割が間違っているだけ。

人員配置を変えるのか、自分の職業を見直すのか。いずれにしても、GWCを使うことで、なにか次のアクションを起こすきっかけになるでしょう。

文・久能克久(Opty.G.K.代表)

(提供:THE OWNER