現在、日本国内の証券会社は300社を超え、補助的な役割を果たす有価証券関連業を含めると、その数は1,000社以上にのぼります。株式投資を始める人が口座開設を検討するときは、何を基準に証券会社を選べばいいのでしょうか。ここでは特に、歴史が長く多くのユーザーから信頼される対面証券から、大手証券会社にフォーカスを当て、その長所と短所など、その特徴の違いをわかりやすく解説します。

目次

  1. 証券会社大手3社とは?
  2. 大手の対面証券会社を利用するメリット
  3. 大手の対面証券会社を利用するデメリット
  4. 大手3社「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」それぞれの強みは?
  5. まとめ:相談、サポートの手厚い大手証券のメリットを利用しよう

証券会社大手3社とは?

大手証券会社の長所と短所は?トップ3社を徹底比較!
(画像=motortion/stock.adobe.com)

証券会社は、その営業スタイルから対面形式の販売窓口を持つ「店舗証券」と、実店舗を持たない「ネット証券」に大別できます。店舗証券は、さらに「大手」「準大手」「中堅」「地場」など、営業規模によって区別されます。

多種多様な金融商品を取り扱い、充実した投資サービスの提供をおこなうトップクラスの大手証券会社は、全国に支社や店舗を持ち、国外にも拠点を広げています。

手数料の安さや取引の手軽さからネット証券の利用者が増えるなかでも、3大大手として君臨する野村證券と大和証券、SMBC日興証券は多くの投資家に選ばれ続けています。

大手3社「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」の特徴比較

まずは3社の規模を比較してみましょう。口座数・預り資産残高は2020年9月30日時点、発行済み株式数・時価総額は2020年7月31日時点の情報です。

▽大手証券会社3社の店舗数、口座数、預り資産額の違い

野村證券 大和証券 SMBC日興証券
店舗数 124店 174店 140店
口座数 総合口座 5,323千口座 3,019千口座 3,051千口座
ネット 専用口座 4,766千口座 3,397千口座 2,354千口座
預り資産残高 115.2兆円 67.0兆円 64.2兆円
発行済み株式数 野村ホールディングス 大和証券グループ本社 三井住友フィナンシャルグループ
3,493,562千株 1,699,378千株 1,374,040千株
時価総額 19,022億円 8,123億円 42,842億円

・野村證券

国内最大手の野村證券は、1925年に大阪野村銀行(旧大和銀行、現りそな銀行)の証券部を分離して設立されました。日本初の投資信託業務認可を受けるなど、日本の証券業界を牽引してきた老舗証券会社です。野村證券を中心とする野村ホールディングスは、グローバル金融サービスグループとして世界30カ国・地域に拠点を持っています。

・大和証券

野村證券に次ぐ国内2番手の大和証券は、1943年に前身である藤本証券と日本信託銀行が合併して設立されました。ネット銀行なども傘下に収める大和証券グループは、近年はアジアを中心に提供網を拡大しています。

・SMBC日興証券

1920年に創業された日興證券は、いくつもの証券会社との合併を経て成長を遂げ、2011年に現在のSMBC日興証券に社名変更しました。親会社である三井住友フィナンシャルグループには、三井住友銀行、プロミスなど多様な金融企業が名を連ね、3大金融グループの一角を担っています。

店舗証券には対面形式とオンラインコースがある

店舗証券の特徴は、なんといっても対面窓口です。対面で担当者と相談できることが、店舗証券で口座を開設する大きな理由の1つとなっています。しかし、購入のみの場合は、必ずしも店頭に行く必要はありません。すでに口座を持つ人に向けた「オンラインサービス」と、実店舗を介さない「インターネット専用口座」の2種類のオンライン窓口が用意されているからです。

オンラインサービスでは、コールセンターやチャットを通じてオペレーターからサポートを受けながら、自宅や外出先での取引が可能です。インターネット専用口座は、サービス内容に多少制限はあるものの手数料が安く、口座開設から取引までインターネットだけで完結する手軽さが人気です。

ネット証券比較ランキング
ネット証券
会社名
手数料
特徴
少額投資

最大21万5千円
キャッシュバック
手数料、IPO、外国株
全てトップクラス
100万円まで無料

楽天ポイント
200ポイントプレゼント
トレードツールが便利 100万円まで無料

現金1,000円
プレゼント
初心者へのサポート充実 50万円まで無料

クイズに挑戦&新規口座開設等で
最大2,000円プレゼント!
米国株取引に強み 50万円まで
最大275円
IPOに注力 50万円まで
最大440円

大手の対面証券会社を利用するメリット

WEBサイトやアプリを用いてのオンライン取引はもちろん、資産状況や利用状況の確認、銘柄・企業情報や分析ツールの提供などは、ネット証券でも利用できるサービスです。

大手証券会社ならではのサービスで得られるメリットは、対人サポートによる安心感です。以下、対面証券の大手として提供される4つのメリットを確認しましょう。

メリット1:専門知識のある担当者から、運用アドバイスが聞ける

資格と知識を備えた担当者が、市況や商品特徴、分析のやり方など資産運用について丁寧に教えてくれます。電話による投資相談も可能で、自宅で操作方法や運用アドバイスを聞きながらオンライン取引を行うこともできます。インターネット専用口座でも、条件によっては同様のアドバイスを受けられます。

初心者は「わからないことがわからない」状態になりがちですが、不安や疑問を思いつくままに相談できて、的確なアドバイスをくれる担当者は、初心者のみならずステップアップを目指す経験者にとっても頼もしい存在です。

メリット2:IPOの申し込みに資産残高や取引実績が考慮される

ネット証券では抽選販売のみで扱われるIPO(新規公開株式)ですが、大手証券では抽選販売は取扱数の10%程度に限られており、大部分は店頭販売されます。

このとき、担当者は投資家の投資方針や資産状況、投資に関する知識や経験などを考慮して販売の判断を下し、抽選は行いません。つまり、担当者や証券会社との信頼関係を築けていて、資産状況や取引状況が良好な投資家は、IPO獲得の可能性が高まるということです。

野村證券と大和証券、SMBC日興証券はそれぞれにIPO取扱数も多く、IPO取引手数料もかかりません。ネット証券各社もIPO取扱数を伸ばしているとはいえまだまだ大手3社には及ばず、IPOを軸にした投資運用では店舗証券にアドバンテージがあるといえます。

メリット3:投資情報コンテンツなどが充実している

企業の業績やニュース、銘柄情報など、手軽に入手できる情報だけでなく、専門家が分析したレポートを受け取れる点も、大きなメリットの1つです。

野村證券では、「野村のレポート」として国内外の株式・債券・為替市場レポート、銘柄ピックアップ紹介、経済・金融動向、企業研究などあらゆる視点で調査したレポートを受け取ることができます。大和証券とSMBC日興証券でも、口座開設者だけに高いクオリティの投資情報が提供されます。情報の内容だけでなくレポートの着眼点や分析方法なども、投資の勉強資料として有用です。

メリット4:相続対策、節税対策など、資産管理に関するサービスの提供が受けられる

それぞれのライフプランや資産状況に合わせた資産運用計画の作成はもちろん、その後も継続したフォローを受けられるため、ライフステージに合った適切な資産管理に切り替えることができます。

また、相続や贈与、事業継承などの煩雑な手続きや、節税対策なども相談できます。お金にまつわる悩みや疑問はどこに相談すべきか悩ましいものですが、専門知識を身につけたFPや弁護士、税理士などが揃っている大手証券なら安心です。突発的なトラブルも、まずは相談できるという安心感はほかでは得がたいものといえそうです。

大手の対面証券会社を利用するデメリット

大手証券のメリットは担当者がつくことで得られる安心感ですが、担当者がいるからこそのデメリットも存在します。

デメリット1:手数料が高い

ネット証券の最大のメリットは、店舗家賃や担当者人件費を徹底的に省くことによる、手数料の安さです。実店舗と経験豊富な担当者を揃えるには、その分の経費がかかるため、大手証券は手数料が高めです。そういう点で、店舗証券における手数料の高さは相談料と捉えられるかもしれません。

デメリット2:営業担当者との相性

担当についた営業員が、必ずしもベテランだとは限りません。また、ほかの顧客に評判が良くても、必ずしも自分と合うわけでもありません。金融業界の総合職員は転勤も多く、相性の良い営業員がずっと担当してくれるとも限りません。

相性が合わない、ニーズと異なる提案をされると感じたときは、担当替えを申し出るといいでしょう。本人に直接伝えなくても、メールやコールセンターから申し出ることができます。

デメリット3:ノルマ営業

どんなに親身に相談に乗ってくれるとはいっても、あくまで仕事でありノルマを抱えていることもあります。金融業界の営業員であれば、毎月の営業ノルマを課されていることが多いでしょう。そのため、相談に訪れた際は、会社が打ち出しているキャンペーン商品を提案されることも、珍しくはありません。商品の営業を受けることなどが苦手な人には、対面で合うことを躊躇するかもしれません。

大手3社「野村證券」「大和証券」「SMBC日興証券」それぞれの強みは?

大手証券会社では、国内外の株式、投資信託、国債、FX、保険に預金商品など、あらゆる金融商品を扱っています。また、NISA口座やiDeCo口座も開設でき、税制優遇を受けながらの投資も可能です。これらについては大差ありません。

違いが出るのはサポートやサービス内容です。特にオンライン取引における手数料や、利用できるサービスの種類などは、3社それぞれに得意分野が異なります。自分の求めるサービスを扱っているかどうか、求める価値と見合ったコストになっているかなど、慎重に比較しましょう。

野村證券

野村證券
外国株 投資信託 IPO
米・独・豪・香港 約1,000件 取扱数(主幹事数) 抽選 店頭販売 手数料
2019年度取扱金額ベースで1位 完全抽選(10%) 非抽選販売 不要
取引手数料 店頭扱い オンラインサービス インターネット専用口座
オンラインサービス 野村ネット&コール口座 ほっとダイレクト
国内株式 現物 2,860円~ 店頭扱いより20%割引 152円~
国内株式 信用 2,860円~ 店頭扱いより70%割引 1注文ごと 524円~
サービスの特徴 すべてのサービス ・電話サポート
・電話注文

※2020年11月15日時点の情報です。

※IPO取扱数は2019年の実績です。

野村證券で取引を始めるのなら、サービス内容に制限が多いインターネット専用口座ではなく、実店舗で口座を開設し、オンラインサービスを利用する方法がおすすめです。

野村證券では、オペレーターの手厚いサポートを受けつつ、豊富なレポートコンテンツやわかりやすい動画コンテンツが閲覧できるため、投資を学びながら実践したい人に向いています。IPOの取扱数も豊富でほとんどが店頭販売されるため、IPO投資を考える人にはメリットが大きい証券会社です。

大和証券

大和証券
外国株 投資信託 IPO
北米・欧州・中国・新興国など 20カ国 約540件 取扱数(主幹事数) 抽選 店頭販売 手数料
48(25) 完全平等抽選後、チャンス抽選(15~25%) 非抽選販売 不要
取引手数料 店頭扱い オンラインサービス インターネット専用口座
コンサルティングコース ダイレクトコース
国内株式 現物 2,750円~ 店頭扱いより25%割引 店頭扱いより70%割引
国内株式 信用 2,750円~ 取扱なし 約定ごと 314円~ 1日定額 3,300円~
サービスの特徴 ・ウェルスマネジメント ・電話サポート
・投資相談(店頭のみ)
・1日定額手数料方式
・信用取引

※2020年11月15日時点の情報です。 ※IPO取扱数は2019年の実績です。

大和証券では、インターネット専用口座でも投資相談を受けられます。相談のためには店頭に行かなければなりませんが、決まった担当者は付かないため、どこの店舗でも都合に合わせて利用できる気軽さがあります。

IPO店頭販売の利用は実店舗での口座開設が必要ですが、抽選販売のチャンスはほかの大手証券より多く、参加する価値はありそうです。また、中国を中心としたアジアの外国株式の取り扱いが多いのも特徴です。

SMBC日興証券

SMBC日興証券
外国株 投資信託 IPO
米・中・豪ほか 約1,160件 取扱数(主幹事数) 抽選 店頭販売 手数料
90(64) ダイレクトコース優遇特典あり(10%) 非抽選販売 不要
取引手数料 店頭扱い オンラインサービス インターネット専用口座
総合コース ダイレクトコース
国内株式 現物 5,500円~ 店頭扱いより30%割引 137円~
国内株式 信用 5,500円~ 店頭扱いより65%割引 無料
サービスの特徴 ・コンサルティングサービス ・電話サポート
・投資相談(店頭のみ)
・AIポートフォリオ診断
・AI株価見守りサービス

※2020年11月15日時点の情報です。

※IPO取扱数は2019年の実績です。

SMBC日興証券は、インターネット専用口座「ダイレクトコース」の手数料が安く、AIによる株価トレンド予測や売却タイミング通知、最適なポートフォリオ診断などのサポートツールも充実しています。また、IPOはダイレクトコース限定の優遇特典もあります。

ネット証券感覚で気軽に利用でき、いざというときは店頭で投資相談もできる頼もしさが魅力です。

まとめ:相談、サポートの手厚い大手証券のメリットを利用しよう

大手証券会社で口座を持つメリットは、投資や金融についての相談ができる点、IPO獲得に強い点などが挙げられます。手数料はネット証券よりも高額ですが、オンラインサービスやインターネット専用口座を併用することでコストを抑えることができます。

NISA口座やiDeCo口座は1人1口座しか開設することができませんが、証券口座は複数の証券会社で開設できます。初心者のうちは相談できる相手がいることは大きなメリットです。手数料などは投資を学ぶため、より多角的な視点を得るための勉強代と考えれば高いコストにはならないかもしれません。長い歴史と豊富な実績を持つ大手証券から得られることが多ければ、コストより「リターン」が上回るのではないでしょうか。

文・高井 怜
国内生命保険会社にて生命保険・損害保険の営業職、大手外資保険会社にて顧客相談室を経験。退職後は、保険についての「わからない。めんどうくさい」を少しでも解消できればと、保険・金融記事の執筆を開始。関心分野は、保険や年金など生活に密着した金融サービス。2級ファイナンシャル・プランニング技能士。

【関連記事】
証券口座は複数持つべき?メリットやデメリットを知って運用しよう!
SBI証券の2つの手数料「スタンダード」と「アクティブ」はどっちがお得?
楽天証券で少額投資! ミニ株投資はできるの?
証券口座開設にマイナンバーが必要?“投資はじめて”さんのよくあるマイナンバーの疑問5選
楽天証券とSBI証券はどう使い分ける?比較して上手に活用!