金融商品は取扱銘柄や商品、手数料など、証券会社によってサービス内容が異なり、それぞれに強みと弱みがあります。自分の運用スタイルと証券会社が合わないと思ったら、保有株式を別の証券会社の口座に移動させることができます。これを「株式移管」といいますが、手数料の安さや取引ツールの使いやすさから、総合証券からネット証券への移管を検討している人は多いかも知れません。この記事では投資により楽天ポイントが貯まるのはもちろんのこと、貯めたポイントで投資も可能な楽天証券への株式移管について解説します。

目次

  1. 株式移管とは
  2. 移管のメリットが大きいネット証券
  3. 楽天証券に株式移管をするメリット
  4. 楽天証券への株式移管、その方法は?
  5. まとめ:コストもおさえられ、楽天ポイントも魅力の楽天証券

株式移管とは

金融
(画像=Monster Ztudio/stock.adobe.com)

楽天証券に株式移管できるのは、証券保管振替機構(ほふり)で取り扱いのある国内上場株式、ETF(上場投資信託)、ETN(上場投資証券)、国内の証券会社に預けている米国株式・米国ETF、香港株式・香港ETFです。証券会社によって移管できる商品に違いがあるので、移管を検討する際には移管先に確認するほうが確実です。

株式移管には、主に3つの目的が考えられます。

(1)手数料の安いネット証券への移管
(2)複数口座を1つにまとめて管理しやすくする
(3)株式の贈与・相続
(3)のケースでは、贈与する人が株式を預けている証券会社に「相続上場株式等移管依頼書」と「贈与契約書」を提出する必要があります。相続の場合も、被相続人(故人)の口座がある証券会社に「相続上場株式等移管依頼書」を提出すれば移管できます。相続人が口座を持っていない場合は、新規に口座を開設する必要があります。

株式移管のメリットは?投資コスト、運用コストの削減と取引におけるメリットを確認

株式移管のメリットとしては、まずは取引コストの低減が挙げられます。投資の規模によっては、取引手数料は無視できない投資コストですが、手数料の安い証券会社への移管でそのコストは小さくなります。

また頻繁に取引しない人にとっては、複数の証券口座を1社にまとめることで運用管理の手間も小さくなるでしょう。

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さらに信用取引を行う場合は、口座をまとめることでより大きな取引ができるというメリットもあります。信用取引では保有株を代用有価証券として担保に差し入れる必要があり、担保が多いほど信用取引できる金額も多くなるからです。証券会社によっては株式だけでなく、投資信託が代用有価証券になることや、先物取引やFX(外国為替証拠金取引)の代用有価証券になることもあります。

また、現在の口座で株式を売り、移す先の口座で買い戻す場合は、株価変動のリスクを受けます。売り注文で損失を確定させることなく、口座を移せるのも株式移管のメリットです。

株式移管が受ける制約は?NISA口座の移管は特に注意

とはいえ株式移管には一定の制限もあるので、移管に際しては確認が必要です。

まず、すべての銘柄が株式移管できるわけではありません。単元未満株式のうち、監理・整理銘柄入りした銘柄や、移管元もしくは移管先が取り扱っていない銘柄は移管できません。証券会社によっても異なりますが、証券保管振替機構で取り扱っていない銘柄、上場廃止になった銘柄、非上場銘柄、eワラントなども移管対象外となります。

信用取引等の担保となった代用有価証券や、NISA口座内にある銘柄も移管することができません。NISA口座内にある銘柄を移管したい場合は、特定口座または一般口座に払い出しを行ってから移管する必要があります。特定口座から移す場合はすべての株の移管のみで、一部の株だけを移管することはできません。

また、株式移管する銘柄は、移管手続きが完了するまで売ることができません。小型株はその間に急騰、急落する可能性もあるので、相場の急変がなさそうな時期を選ぶことが重要です。

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また原則として、一般口座から特定口座、特定口座から一般口座への移管もできません。

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移管のメリットが大きいネット証券

株式移管のメリットの1つは取引コストの削減です。実店舗で営業担当者が対応する総合証券の場合、アドバイスやコンサルタントを受けられる代わりに、取引手数料が高くなります。ネット証券では顧客に営業担当者が付くことはありませんが、業務が簡素化されている分、取引手数料は低く設定されています。

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取引手数料が安いネット証券は?

取引手数料が安い証券会社としては、楽天証券、SBI証券やライブスター証券(新:SBIネオトレード証券)などが挙げられます。各社の最も安い手数料コースを比較してみましょう。

▽主なネット証券の株式取引(現物)の手数料比較

~5万円 ~10万円 ~20万円 ~50万円 ~100万円
SBI証券 55円 99円 115円 275円 535円
楽天証券 55円 99円 115円 275円 535円
ライブスター証券
(新:SBIネオトレード証券)
55円 88円 106円 198円 374円

ネット証券のなかでも新規口座開設数の多さで1、2位を争うSBI証券と楽天証券は横並びですが、ライブスター証券(新:SBIネオトレード証券)は手数料がかかる証券会社のなかでは最安水準です。とはいえ、20万円までの取引なら10円前後の差ですので、どの会社で取引してもそれほど大きな負担感はないでしょう。

口座開設キャンペーンを確認する

個人客を主顧客としているネット証券の多くは、顧客獲得のために口座開設キャンペーンを行っています。

キャンペーン特典はポイント、現金、ギフト券、取引手数料全額キャッシュバックなど、各社それぞれに工夫を凝らしています。なかにはすべての適用条件を満たせば、金額にして万単位の特典を受けられる会社もありますが、一般の個人投資家ではなかなか達成できない条件である場合もあるので、自分の条件と照らしあわせて選ぶことが大切です。

入庫手数料と出庫手数料は?

大手の総合証券では、他社からの株式移管の際の「入庫手数料」は無料でも、他社に移管する際の「出庫手数料」がかかることが多く、たとえば野村證券の場合1銘柄につき最低でも1,100円(税込)かかります。

その点、ネット証券では入庫・出庫とも実質無料の会社がほとんどで、有料となっていても、移管入庫手数料を全額キャッシュバックするなどのキャンペーンを行っている会社もあります。

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楽天証券に株式移管をするメリット

楽天証券は近年、口座開設数を急速に伸ばしています。2020年1~6月の新規口座開設数は65万745件と、過去最高を記録しました。楽天証券が口座数を伸ばしている理由は、取引しやすいシステムと、楽天ポイントの活用にありそうです。以下、楽天証券に株式移管するメリットを見てみましょう。

楽天証券に株式移管するメリット1:優れた取引ツール「マーケットスピード」

楽天証券が顧客に提供する「マーケットスピード」は、個別銘柄画面で板(売りと買いの気配値を表示する機能)を見ながら取引できます。値動きを見ながら瞬時に発注することができるだけでなく、売買の成立も画面上で確認できるため、スピーディーな取引が可能です。

最新バージョンの「マーケットスピードⅡ」では、2020年7月27日からサービスを開始した「アルゴ注文」を利用することができます。事前に登録した条件に合致すると自動で発注するこのサービスでは、以下5つの機能を利用できます。

・スナイパー注文

目当ての銘柄を指値(指定した価格)の気配が表示されるまでは発注せず、表示されたときに瞬時に発注する機能。約定しないときは自動的に発注が取り消されるので、自分の注文を他の投資家に見せずに取引ができます。

・アイスバーグ注文

大口の注文を小分けして発注できます。注文は氷山の一角のように、一部のみしか他の投資家には見えないため、注文を目立たせたくない場合に有効な機能です。

・リンク注文

最大10の注文を事前に連続登録できる機能です。銘柄や売買の種類に関係なく自由に組み合わせることができ、通常注文、逆指値付通常注文、逆指値注文、トレイリング注文を利用することができます。1つめに新規注文、2つめに決済注文とし、損切りと利食いを両方設定するような取引注文の設定が可能です。

・トレイリング注文

損切りに備えつつ利益拡大も狙える機能です。逆指値注文を設定しつつ、株価が自分にとって有利な

方向に動いた場合は逆指値価格を自動で修正できます。現物取引の売り注文と信用取引の返済注文でのみ利用することができます。

・リザーブ注文

日時や株価を指定して発注できる機能です。日時指定では、30営業日先まで分単位で指定が可能で、決算や経済指標の発表に合わせて取引するのに便利です。株価指定では値幅制限外の価格も指定できます。

取引に時間をかけられない方や、上級者にも便利な機能が揃っていますので、自分の判断で取引タイミングを失敗することが多い人は、試してみる価値はありそうです。

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楽天証券に株式移管するメリット2:楽天ポイントが貯まる

楽天グループのサービスはショッピング、旅行、生命保険、金融……など多岐にわたり、サービスを連携させるほど「楽天ポイント」が貯まりやすい仕組みになっています。楽天証券の一部取引でも楽天ポイントが貯まるだけでなく、ポイントで投資することもできます。

楽天証券では、楽天銀行と連携して「マネーブリッジ」に登録し、「ハッピープログラム」にエントリーすると、以下の条件でポイントが付与されます

▽楽天証券の「マネーブリッジ」における付与ポイント

対象商品 獲得ポイント 取引件数
国内株式(現物買・現物売) 手数料100円につき1ポイント 手数料4,000円ごとに1件
国内株式(信用新規・返済)
外国株式
投資信託 残高10万円ごとに4ポイント
個人向け国債 買付金額3万円ごとに1ポイント 買付金額100万円ごとに1件
楽天FX 10枚(10万通貨)ごとに1ポイント 100枚(100万通貨)ごとに1ポイント
日経225先物取引(ラージ) 手数料100円につき1ポイント 手数料4,000円ごとに1件
日経225先物取引(ミニ)
日経225オプション

獲得ポイントは「楽天PointClub」で確認できます。また、キャンペーンなどでポイント付与条件は変わる場合があります。

楽天証券に株式移管するメリット3:楽天ポイントでも投資ができる

また、楽天ポイントで現物株や投資信託を買うことができます。投資信託は100円から買えるので、毎月付与されるポイント数に合わせた積立額に設定すれば、現金を使わずに積立投資信託を行うことも可能です。

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楽天証券への株式移管、その方法は?

他の証券会社から楽天証券に株式を移管する際は、下記のような手順になります。

株式移管のステップ1:楽天証券で口座開設

まだ楽天証券に口座がない場合は、まず「総合取引口座」の開設を行います。申し込みはインターネットから、メール登録→本人確認→個人情報入力のシンプルな3ステップで、おおむね5分ほどで完了します。

株式移管のステップ2:現在の証券会社に「口座振替依頼書」もしくは「特定口座内上場株式等移管依頼書」を請求

移管手続きをする際には「口座振替依頼書」もしくは「特定口座内上場株式等移管依頼書」が必要です。現在の証券会社にどちらかを請求します。

株式移管ステップ3:書類に必要事項を記入して、現在の証券会社に郵送

移管元の証券会社から送付された書類に必要事項を記入し、捺印して移管元に郵送します。「振替先(受方)口座明細」への記入事項は、証券会社名(楽天証券)、部支店名(本店)、所在地(東京都港区)、機構加入者コード(1205760)、加入者口座コード(21桁のコード)です。

株式移管のステップ4:移管完了

移管が完了したら楽天証券のホームページにログインします。「口座管理」→「資産残高・保有商品」→「保有商品一覧」画面に、移管された株式等の預かり内容が表示されます。移管前の株数、取得日、取得価額のデータは、特定口座から特定口座へ移管の場合のみすべて反映されます。一般口座から一般口座へ移管の場合は、株数のみ表示され、取得日と取得価額は表示されません。

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まとめ:コストもおさえられ、楽天ポイントも魅力の楽天証券

投資ではコスト管理が大事になります。1回の手数料は数百円の差でも、年間では大きなコストの差になる場合があります。ショッピングや旅行で貯まったポイントを投資に活用できる楽天証券なら、実質的な投資コストをさらに減らせるかも知れません。

文:丸山優太郎

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