2021年5月12日8時過ぎに西原宏一さんに直接聞いた最新の相場観と戦略をご覧下さい。(提供:羊飼いのFXブログ※チャート付き)
現在の為替相場の傾向や相場観
今月に入ってのマーケットの注目は、商品市況が活況を呈していること。銅、材木、そして鉄鉱石と軒並み上昇。材木の上昇はカナダドルを、そして鉄鉱石の急騰は再び豪ドルを押し上げ、豪ドル/円は再び85円台に上昇。ただこの局面で、中国が商品高の抑制に動き、鉄鉱石の急騰が一服したことが話題に。
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中国国内の商品取引所は10日(月)、最高値を更新した鉄鉱石や鉄鋼、石炭、銅など商品先物の値上がり抑制に動いた。 中国は景気支援に向けて積極的な財政出動を講じる一方、習近平国家主席が2060年までにカーボンニュートラルを実現するとのコミットメントを打ち出したことを受けて温室効果ガス排出抑制に向けて鉄鋼やアルミニウムなどの供給制約も設けた。また、豪州との関係が悪化し、主要供給国である豪州から石炭や銅などの供給も減っている。 世界の採鉱各社による供給が旺盛な需要に追い付かない中で、中国の鉄鉱石先物は10日(月)に値幅制限いっぱいまで上昇、他の金属先物も最高値を付けた。 大連商品取引所は鉄鉱石先物の取引制限と証拠金を引き上げると発表し、市場の監視を強化する方針も示した。上海先物取引所は一部鉄鋼製品の取引手数料を増やす一方、鄭州の取引所でも一般炭で同様の措置に踏み切った。 大連商品取引所の鉄鉱石先物は11日(火)午前の取引終了までに1トン=1290.50元と2.7%安。中国の鉄鋼や石炭、銅先物も値下がりしている。
(出所:ブルームバーグ)
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現在の為替相場の戦略やスタンス
この中国の措置が、一時的に鉄鉱石の上昇を抑えている。ただ鉄鉱石は他の商品と違い、投機で上昇しているというより、実需が鉄鉱石の価格を押し上げている要素が強い事、 加えて鉄鉱石価格の上昇は、そもそも中国の需要によるものであることもあり、鉄鉱石は再び値を上げてくると考えている。呼応して豪ドルの上昇も一服しているが、鉄鉱石価格が反発すれば、こちらも再び値をあげると想定。よって豪ドル/円の押し目買いで臨みたい。
西原 宏一(にしはら こういち) 株式会社ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチ
青山学院大学卒業後、1985年に大手米系銀行のシティバンク東京支店へ入行。1996年まで同行に為替部門チーフトレーダーとして在籍。その後、活躍の場を海外へ移し、ドイツ銀行ロンドン支店でジャパンデスク・ヘッド、シンガポール開発銀行シンガポール本店でプロプライアタリー・ディーラー等を歴任した後、独立。ロンドン、シンガポール、香港など海外ヘッジファンドとの交流が深く、独自の情報網を持つ。ザイFX!にて「西原宏一のヘッジファンドの思惑」を連載中。
羊飼い(ひつじかい) FXトレーダー&ブロガー
「羊飼いのFXブログ」の管理人。2001年からFXを開始。ブログで毎日注目材料や戦略を執筆配信中。トレードはスキャルがメインで超短期の相場観には自信あり。