スマートフォンといえば、今や生活必需品と言っても差し支えないだろう。筆者の周りではアップル信者が多く、中にはiPhoneの新作が発売される度に買い替える人さえいる。ちなみに、筆者が愛用している機種はファーウェイ(HUAWEI)のP10だ。温水プールに水没させても、3階のバルコニーから道路に落として画面がバリバリに割れても、不死鳥のごとく蘇る強靭さが気に入って、もう7年も愛用している。
昨年、米国政府がファーウェイに対する半導体設計ソフトウェアと製造装置の輸出規制の強化に動いたことは記憶に新しい。半導体はスマホメーカーにとって生命線のようなものだ。筆者としても次の機種でファーウェイに買い替えるのは、さすがに厳しいと感じていたのだが、実は「半導体不足」に頭を悩ませているのはファーウェイだけではないようだ。
後段で述べる通り、世界の半導体市場は慢性的な供給不足にある。旺盛な需要に供給が追いつかず価格が上昇、その結果、今年第1四半期(1〜3月期)の世界の半導体チップメーカー上位10社の総売上高は過去最高に達した。そうした中で注目されるのは、日本の経済産業省が半導体の確保を国家事業と位置付ける「半導体・デジタル産業戦略」を打ち出したことだ。
今回は世界的な半導体不足(Global chip shortage)の話題を交えながら、日本の対応についてもリポートしたい。
半導体、世界的な需要増加に供給追いつかず
「半導体、世界でなぜ不足?」(日経電子版、2021年1月25日付)、「アングル:半導体が世界的に不足する事情と、大問題になる理由」(ロイター通信、2021年4月1日付)、「IBM社長、世界的な半導体不足『あと2年』続く」(BBCニュース、2021年5月14日付)、「メキシコ5月の車生産24万台 半導体不足の影響続く」(日経電子版、2021年6月5日付)ーーこのところ世界的な半導体不足のニュースが各メディアから伝えられている。
半導体はスマートフォンのみならず、パソコンや液晶テレビ、ゲーム機、冷蔵庫、洗濯機、さらには自動車や公共交通機関の運行システムといった社会インフラまで多様な分野で使われている。もはや半導体なしで私たちの生活は成り立たないといっても過言ではない。