「えっ、この物件もう売れたの?」筆者が暮らすオランダでは、住宅売買市場が過熱している。オランダ不動産協会(NVM)によると、2021年第2四半期に販売された住宅の平均価格は前年同期比で約20%上昇し、41万ユーロ(約5360万円)に達した。これは1995年以来最大の上昇率である。ちなみに、物件を売りに出してから売買が完了するまでの平均日数は24日とのことだ。確かに街を歩いていると「SALE」「SOLD」の看板や貼り紙を良く見かけるが、やけに回転が早いように感じられる。先日も筆者が密かに目をつけていた近所の物件が成約済みになっていた(まだ売りに出されてから1カ月も経っていないのに!)。コロナ禍にありながら、オランダの不動産業界はかつてないほどの賑わいを見せているようだ。

もう一つ、これはオランダに限った話ではないが、不動産業界で急速に進化しているテクノロジーがある。それは「不動産テック(Prop Tech)」と呼ばれ、投資件数や金額も年々増大している(詳細は後述)。不動産といえば「手続きなどのプロセスが煩雑で時間も手間もかかる」というイメージも否めないが、不動産テックはそうしたイメージを一掃するDX(デジタル・トランスフォーメーション)となる可能性を秘めている。

今回は「不動産テック」の話題をお届けしよう。

まるで現地にいるかのような「内見」を提供

不動産テック,欧米
(画像= metamorworks / pixta, ZUU online)

不動産テック(PropTech)は「Property(不動産)」と「Technology(テクノロジー)」を組み合わせた造語で、テクノロジーを駆使して業界の課題に取り組む革新的な不動産サービスのこと。ひと昔前は、住宅の売買や貸し借りをする場合、不動産業者と対面式で打ち合わせや手続きをするのが当たり前だったが、コロナ禍の生活様式の変容を受けて、昨今は物件探しから契約までほとんどのプロセスをオンラインで対応可能なサービスが登場している。