『日経平均、デルタ型拡大が重荷に(先読み株式相場)』そんなタイトルが日経電子版のヘッドラインに並んだのは8月16日の午前8時のことだった。同日の日経平均は終値ベースで前日比1.6%安の2万7523円と軟化したほか、マザーズ指数も3.6%安と急落。翌17日も日経平均が0.4%安、マザーズ指数も2.1%安と続落した。特に個人投資家の売買比率の高いマザーズ指数は、連日にわたって年初来安値を更新するなど新型コロナウイルスの感染「第5波」は株式市場にも影を落とし始めている。
そうした中で異彩を放っているのが「海運セクター」だ。8月16日、東証33業種で上昇したのは、海運セクター(前日比1.87%高)と空運セクター(同0.62%高)の2つだけであった。翌17日は6つのセクターが上昇しているが、TOPは海運セクターの1.62%高である。銘柄では商船三井 <9104> 、日本郵船 <9101> 、川崎汽船 <9107> の海運大手3社が揃って年初来高値を更新したほか、アルミニウム原料船や全国農業協同組合連合会向けの穀物輸送等を手掛ける玉井商船 <9127> 、内航大手の栗林商船 <9171> もストップ高を含む大幅高を演じている。
海運株が軒並み上昇したのはなぜか。今回は海運セクターの話題をお届けしよう。
海運大手3社がV字回復、配当で明暗も
7月30日、商船三井が発表した2022年3月期第1四半期(4〜6月)決算は、売上高が前年同期比15%増の2888億円、本業の利益を示す営業利益は80億円の黒字に転換(前年同期は51億円の赤字)する好決算だった。商船三井は2022年3月期(通期)の見通しについて、売上高で1兆1000億円(前回の予想は1兆800億円)、営業利益を350億円(同280億円)にそれぞれ上方修正した。同時に通期の予想配当を150円から550円に400円引き上げる大幅増配も発表している。その結果、前日引値ベースの商船三井の予想配当利回りは10.9%まで上昇、7月30日の商船三井株は前日比で一時14.1%高の5740円まで買われる場面も見られた。