本記事は、佐藤耕紀氏の著書『今さらだけどちゃんと知っておきたい「経営学」』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています
なぜ、日本の企業は姿を消した? 身近な商品の世界シェア
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日本の会社が世界で活躍した1980年代を知る人間として、近年の状況には衝撃を覚えます。図11は、いくつかのIT・家電製品の世界シェアを示したものです。
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「スマートフォン」「パソコン」といったIT(情報技術)製品や、「テレビ」「冷蔵庫」といった身近な家電製品で、日本企業の存在感はほとんど消えてしまいました。
現在こうした分野で上位を占めるのは、米国、中国、韓国などの企業です。
日本企業の低迷の理由について、本当のところはわかりませんが、次のようなことは考えられます。
高度成長の時代、つまり「アメリカに追いつき追いこせ」といった目標があり、やるべきことが明確だった時代には、ひたすら量をこなす、ひたむきな勤勉さがプラスに働いたのかもしれません。がむしゃらなガンバリズムが、それなりに成果につながったのでしょう。
しかし、情報革命で変化が速くなった現代は、創造性とイノベーションの時代です。スピードをもって変化に対応しなければなりません。斬新なアイデアをいち早く構想し、果敢にチャレンジすることが重要です。
たとえば、シャベルと手押し車で土砂を運んだ時代は、勤勉で長時間働く労働者が成果をあげたでしょう。しかし、イノベーションが起きてブルドーザーやトラックが現れると、生産性は一気に100倍、1000倍になります。昔と同じやり方の努力には、まったく意味がなくなります。
以前と同じやり方で勤勉に働いても、新しいイノベーションをとりいれて生産性を飛躍的に高めていくライバルには、とうてい勝てないでしょう。人並み、横並び、「出る杭は打たれる」といった文化は、そうした時代には合わないのかもしれません。
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