本記事は、佐藤耕紀氏の著書『今さらだけどちゃんと知っておきたい「経営学」』(同文舘出版)の中から一部を抜粋・編集しています

仕事の心理は男女で違う? インポスター症候群、成功への恐怖、女王蜂症候群

男女,違い
(画像=bee/PIXTA)

多くの人間心理には、男女で平均的な違いがあることが知られています。これはあくまでも平均的な違いで、個人差が大きいということを忘れてはいけません。

たとえば身長なら、平均では男性の方が高身長ですが、男性の平均より背の高い女性もいれば、女性の平均より背の低い男性もいます。心理もそれと似ています。

発達心理学者のスーザン・ピンカー(Susan Pinker)は『なぜ女は昇進を拒むのか進化心理学が解く性差のパラドクス』という本で、モチベーションの男女差にかかわる研究を数多く紹介しています。

多くの動物では、オスはハイリスク・ハイリターンな行動をとる傾向があり、メスは慎重で安全確実な行動をとる傾向があります。

人間も、とくに若い男性では競争心が強く、私生活のバランスを崩して仕事に打ち込み、地位や名声を追い求める傾向があります。

女性は子どもや家族を優先して、お金や地位よりも、ワーク・ライフ・バランスのよい仕事を好む傾向があります。

インポスター症候群、成功への恐怖、女王蜂症候群

女性に多いといわれる「インポスター症候群」(impostor syndrome)という現象もあります。

「インポスター」というのは詐欺師のことで、「実力もないのに成功して、周囲の人たちを騙している」と感じたり、「いつかそれがバレるのではないか」という恐れを抱く症候群です。神経科学者のシーリグ(Tina Seelig)によれば、そういう感覚をもったことのある人は70%にもなるそうです。

成功への恐怖」(fear of success)という心理もあります。心理学者の岡本直子先生は、次のようにまとめています。

本来ならば喜ばしいはずの成功も、それによって周囲からの嫉妬を受けることへの懸念、悪いイメージを持たれないかという思い、敗者に対する引け目、虚無感等、否定的な感情を伴うことがしばしばある。......Horner(1969,1972)はこのような感情を成功恐怖(fear of success)と命名した。そして、「成功への懸命な努力は競争的、攻撃的であるとみなされるため、女性は成功を求める反面、それによって女らしさを失い社会的に拒絶されるのではないかという恐れを抱く。この懸念が葛藤と不安を呼び起こし、成功を望むと同時に成功を恐れる“両面価値”が生じる」という結論を出している。

高い地位についた女性が後輩の女性の活躍を妨げる「女王蜂症候群」(queen bee syndrome)という現象もよく知られています。後進のために道を整えるのではなく、多数派の男性に同調して、新参の女性にはつらく当たるのです。男性社会で第1世代としてがんばってきた女性に多いといわれます。

今さらだけどちゃんと知っておきたい「経営学」
佐藤耕紀(さとう・こうき)
防衛大学校 公共政策学科 准教授。1968年生まれ、北海道旭川市出身。旭川東高校を卒業後、学部、大学院ともに北海道大学(経営学博士)。防衛大学校で20年以上にわたり教鞭をとる。経営学にあまり興味がない学生を相手に、なんとか話を聞いてもらう努力を重ね、とにかくわかりやすく伝える授業にこだわっている。就職、結婚、子育て、といった人生のイベントをひととおり終え、生活者としての経験をふまえて、仕事にも人生にも役立つ経営学を探求している。趣味はクラシック音楽と海外旅行。これまでに経営学の共著が6 冊ある。

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