サインポスト <3996> をご存知だろうか。システム開発やコンサルティング等を手掛ける東証1部上場企業だ。9月16日、そのサインポストの株価が一時1965円まで買われ、年初来の高値を更新した。今年8月20日の年初来安値595円から1カ月足らずで約3.3倍に上昇した計算である。後段で述べる通り、コンビニエンスストア大手のファミリーマートが無人店舗を1000店出店するとの報道が買い手掛かりとなった。
サインポストはAI(人工知能)を活用したセルフレジ事業を展開しており、今回報じられたファミリーマートの無人店舗は同社の関連会社が手掛けている。株式市場では新型コロナ禍の非接触化指向を後ろ盾に小売業のDX(デジタルトランスフォーメーション)に拍車がかかるとの期待が広がっているようだ。
今回はサインポストの話題をお届けしよう。
小売業のDX化「リテール革命」が加速する!?
『ファミマ「無人店」1000店 規制の壁打開、全国展開』日本経済新聞(電子版)のヘッドラインにそのタイトルが並んだのは9月10日のことだった。ファミリーマートが2024年度末までに無人店舗を約1000店出店することを伝える内容である。
無人店舗では天井や棚などにカメラを設置、客が手に取った商品をセンサーで識別し、電子決済で完結するというもの。入出店時のスキャニングや生体認証、商品などのバーコードやQRコードの読み込み、アプリのダウンロードなども必要としないシステムのようだ。何かあった場合は遠隔コールセンターで対応する。
日本社会は少子高齢化で労働力不足が懸念されるうえ、新型コロナ禍で対人接触をなるべく控えようとするニーズも高まっている。それまで食品を取り扱う小売店には衛生責任者の常駐を求める規制があったが、2020年6月の規制緩和で商品補充時に巡回する衛生責任者で代替することが可能になった。こうした環境変化を背景に小売店における無人店舗や無人レジの普及が着実に進んでいる。今回明らかになったファミリーマートの無人店舗出店は、文字通り「リテール革命」とも呼べる小売業のDX化を象徴するものと見られている。