損益計算書の書き方

損益計算書の書き方には、報告式と勘定式の2種類がある。
前述の事例のような損益計算書の様式を、「報告式」という。

損益計算書

一般的な損益計算書には、この報告式が用いられている。これに対し、損益計算書には「勘定式」という様式もある。
勘定式の場合、収益や費用の勘定科目やその残高が示される。

例えば、前述の報告式の損益計算書を勘定式で表現すると、次のようになる。(勘定科目は適当に選択)

損益計算書

報告式では、売上原価や販売費及び一般管理費、営業外収益などのように大まかな損益の構成は分かるものの、具体的に何が原因で発生した損益かまでは把握できない。これに対し、勘定式であれば、損益の発生原因がわかる。

ただし、勘定科目の残高が知りたいときは、「試算表(T/B:Trial Balance)」のほうが便利である。試算表とは、損益、資産や負債に関する全ての勘定科目の残高を一覧にした表のことだ。

一般的な会計ソフトでは、試算表を適宜出力できる。勘定科目ごとの残高や前期との増減を見る時は試算表が便利なため、実務で損益計算書の勘定式を使うメリットはほとんどない。

損益計算書は自社の経営の健全性や安全性の判断にも必要

損益計算書とは何か、どうやって作られるのか、貸借対照表との関係、数字の見方、平均的な利益率などを解説した。

なお、損益計算書の値と貸借対照表の値などを用いれば、「ROA(総資産利益率)」や「ROE(自己資本比率)」など、資本効率性や安全性といった指標を導き出すことができ、より多角的な比較が可能となる。

自社の経営状態の健全性を分析する際に、適宜活用してもらいたい。

損益計算書に関するQ&A

損益計算書は何を示すか?

損益計算書とは、会計期間中に発生した収益と費用を一定の項目にしたがって集計した書類であり、企業がどのくらいの利益を得たかを示している。英語表記が「Profit and Loss Statement」であることから、「PL」とも呼ばれる。

損益計算書に示される項目は上から、売上高・売上総利益・営業利益・経常利益・(税引前)当期純利益であり、出発点である売上高から一定のコストを差し引いた利益を表示するルールとなっている。

損益計算書は、決算書や財務諸表の一つに数えられる書類であり、法人税の申告書に添付したり、上場企業は一般に公開したりする義務がある。

貸借対照表と損益計算書の違いは何?

損益計算書が会計期間中にどのくらいの利益を得たかを示す書類であるのに対し、貸借対照表は、決算時(会計期間の末日)に企業が保有する金銭や債権などの資産、借入金や債務などの負債、資産と負債の差額である純資産を示す書類である。

略称は、損益計算書が「PL」(Profit and Loss Statementの略)で、貸借対照表が「BS」(Balance Sheet)である。毎期の決算において、損益計算書上の最終利益である当期純利益のうち、配当しなかった利益が貸借対照表の純資産にあたる繰越利益剰余金に累積される。

損益計算書は誰が作る?

損益計算書は、企業が作成する決算書や財務諸表と呼ばれる書類の一つであり、税法や会社法などで作成が義務付けられている。また、会社法の適用を受けない個人事業主であっても、税法(所得税法)のルールによって、損益計算書を含む青色申告決算書(白色申告であれば収支内訳書)を作成する。

損益計算書の特徴は?

損益計算書とは、会計期間中に発生した収益と費用から、売上高・売上総利益・営業利益・経常利益・(税引前)当期純利益を表示した書類である。

損益計算書には、企業が一年間にどのくらいの利益を得たか、どのような活動から利益を得ているかを大まかに把握できるという特徴がある。また、損益計算書における収益と費用は表示方法が決まっているため、他の企業と収益性を比較しやすいことも特徴の一つだ。

文・中村太郎(税理士)

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