この記事は2022年3月23日に「ニッセイ基礎研究所」で公開された「ウクライナ支援とふるさと納税-寄付する経路によって負担が異なることに対する違和感」を一部編集し、転載したものです。

要旨

ウクライナ支援とふるさと納税債
(画像=PIXTA)
  • ウクライナに対する支援の動きが広がっている。役所に募金箱を設置するなど、ウクライナ支援のための寄付金を募る自治体も多く、中にはふるさと納税の枠組みを活用している自治体もある。

  • ウクライナ支援と一口に言っても、支援内容は自治体によってさまざまだが、日本赤十字社が開設する「ウク ライナ人道危機救援金」等に、自治体が取りまとめた寄附金を届けるのが一般的なようだ。

  • 実は、日本赤十字社が開設する「ウクライナ人道危機救援金」は直接個人からの寄付も受け付けている。そして、直接寄付するか、ふるさと納税の枠組みを活用して間接的に寄付するかによって、寄付者の負担額と寄付者が居住する自治体の負担額が大きく異なり、この点に対しては違和感がある。

  • ふるさと納税の枠組みを活用して支援する寄付者も、ふるさと納税の枠組みを活用して、ウクライナ支援を募る自治体も善意で行動しているはずであるが、ややおかしなことになっている。本質的な問題は、ふるさと納税制度にあると考えられる。ふるさと納税制度全体を見直す時期が来ているのではないだろうか。