本記事は、園原新矢氏の著書『お金を持ち続けられる人になるための「自分資産化計画」』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています
「お金を持ち続けられる人」とは?
「本当の問題に着手するためにお金について学ぶ」という認識を持っていただいたうえで本題に入っていきましょう。
そもそも「お金を持ち続けられる人」というのはどのような人のことをいうのでしょうか?
お金を「稼ぐ」「増やす」と聞くとイメージが湧きますが、「持ち続けられる」と聞いてもイマイチ理解できないという方は多いかと思います。「お金を持ち続けられる人」を理解するために、2つの図(下図)を用意しました。
これらは「損益計算書(収入と支出)」と「貸借対照表(資産と負債)」というものを簡易的に表示し、「お金の流れ(キャッシュフロー)」を図で説明したものです。
意識していないとお金の流れというのは目に見えないものです。
この図では「中流の人」と「お金を持ち続けられる人」の2パターンのお金の流れを可視化できるよう矢印で表しました。
図に描かれた矢印を見ると、違うお金の流れであることがわかるかと思います。
ここで注目していただきたい大事なことは「お金の流れ方」がそれぞれ違うという一点だけです。お金で困っている人は「中流の人」で、彼らのお金は一方通行に流れ出ていることに気づきます。それに対して「お金を持ち続けられる人」のお金の流れはどうでしょうか? ずっと円を描くように「循環」して回り続けています。
「お金を持ち続けられる人」は、毎月の生活費以上に使い切れないお金が資産から入ってくるので、また資産を買います。そして翌月、新たに買った資産からチャリンチャリンとさらにお金が入ってきます。そう、彼らは自分の経済状況を適切に管理し、お金を回し続けることが非常に得意なのです。
「中流の人」はお金を消費するために日々「お金を稼ぐ」ことに躍起になっていますが、「お金を持ち続けられる人」は日々「お金を回し続ける」ために頭を使っています。
この「お金を稼ぐ人」と「お金を回し続ける人」のキャッシュフローの違いが、お金持ちとそうでない人の違いなのです。
お金持ちはお金を持ち続けるために、自分が働かなくても毎月の収入を生む、いわゆる「不労所得」を生み出す「資産(ビジネス・不動産・株式など)」を保有しようと行動しています。
彼らは資産をたくさん集めているので「資産家」とも呼ばれるわけですね。
多くの人は「お金を手に入れたい」と願うばかりで「稼ぎ方」にしか目が行きません。
そのため、医者や弁護士、パイロット、一部上場会社の役員など年収の高い職業に就くために必死に勉強して社会人となります。彼らを成功者やお金持ちと呼ぶこともありますが、彼らはあくまで所得をたくさん稼ぐ「高給取り」なのであって、お金持ちではありません。
お金持ちは「資産家」とは呼ばれますが、「所得家」とは呼ばれませんよね?
ですから、ここで皆さんには「お金持ちのイメージ」というものを一新していただきたいと思っています。きっと読んでくださっている方も「お金持ち」といえば、お金をたくさん稼いでいたり、高級車を持っていたり、豪華な家を持っていたりする人をイメージしていたのではないでしょうか。
ですが「お金を持ち続けられる能力の高い人=お金持ち」であって、職業などに左右されるものではありません。
極端にいえば、主婦(夫)や学生であっても「お金持ち」にはなれるということです。
ほとんどの人は「思い込み(バイアス)」によって、自分はお金持ちにはなれないと思っていますが、実はお金持ちとは前述のような状態の人を指すのであって誰か特別な人だけしかなれないものではありません。
プロのスポーツ選手や芸に秀でた世界を目指すのであれば、生半可な努力では到底辿り着けず、ほんのひと握りの人しかなれません。しかし、「お金を持ち続けられる人」になるだけであれば、誰でも数年で達成することが可能です。
お金の不安を解決し自由な時間ができた時、あなたは一体何をしたいですか?
お金自体ではなく、お金の流れ「パイプライン」を手に入れる
さて、お金を得ようとするのであれば稼ぎ方を学べばいいわけですが、ここまでお読みいただいた皆さんであれば「お金それ自体」を得たとしても人生はあまり変わらないということがわかってきたかと思います。
そう、大切なのは「お金」を手に入れるために一生懸命稼ぐのではなく、「お金の流れ」を手に入れるために必死で「パイプライン」のつくり方を学びはじめる必要があるということです。
では、パイプラインとは何でしょうか?
これを説明するのに有名なお話があります。
水に困っているある村がありました。村から湖までは片道1時間以上あり、村人はバケツで水を運ぶしかありません。村に住む人々は毎日湖まで水を汲みにいくのは大変なので、バケツで水を運んでくれる人から水を買い付けています。それを見ていたある若者が湖から村まで水を届けるためにパイプ(管)を開通させることを思いつきます。
しかし、村から湖までは距離も遠いうえに高さもあります。いくつもの山にトンネルを掘る必要があり、作業も数年かかると考えられました。そんな長期的な建設に莫大な時間と労力を割くなら、バケツで水を汲んで売ったほうがマシだと他の業者は笑います。
それでも、その若者は湖と村の間にパイプラインを建設するために行動しはじめました。
まずは労働力を集めるために他の村にも働いてくれる人を探しに行き、パイプラインを建設するため必要な知識を学び、資金調達も行わなければなりませんでした。そんなことは達成できないと他の業者は日々バケツで水を汲み、仕事終わりに稼いだお金で酒を飲む暮らしを続けていました。
とうとう数年後にその若者は、湖と村の間にパイプラインを建設することに成功します。そしてその若者は村人にこう言いました。
「これからは水を相場の4分の1で販売します」と。
もうおわかりですね。
バケツ運びの業者は若者に対抗するため、いつもより多く村と湖を往復し、価格も4分の1以下にして必死に働きました。ですが稼げたお金はごくわずかなうえに、足を悪くしてしまい寝込むことになってしまいます。バケツで水を運んでいた業者に抗う術はありませんでした。蛇口をひねれば出るパイプラインからの水は、バケツ汲みの水と比べて価格も衛生面もよく、爆発的な人気が出ました。
その後、その若者はバケツで水を運んでいた業者も従業員として雇うことで一件落着となるお話です。
私はこの物語を読んだ時、パイプラインをつくることで明るい未来があると非常にワクワクしたものです。今は苦しくてもきっと将来は毎月チャリンチャリンと入ってくる不労所得を得る仕組みが得られるはずだと。そう信じて、私はおよそ10年かけてパイプラインを各方面でつくりあげました。今はそんな若い頃を感慨深く思っています。
ただ、もう今は10年もかかるような時代ではなく、数年ほどで自分だけのパイプラインをつくることができる時代です。しかし、ひとつだけ注意して欲しいことがあります。そこには多くの人が嵌ってしまう落とし穴があるのです。
パイプラインを飽きずにつくり続ける仕組みが必要
パイプラインという仕組みをつくることで、お金を持ち続けられる人生を送れることは理解できたかと思います。
しかし、実際にこれをつくり維持するためには並々ならぬ「継続力」が必要になってきます。多くの人がこういったパイプラインづくりを投資で行えばいいんだと飛びつき運用しはじめたものの、途中で飽きてしまったり、少しの損で諦めてしまったりします。
パイプラインをつくる作業自体はダイエットなどと同じで非常に単純明快なのですが、多くの人が「続けられない」という問題にぶち当たり、やめてしまいます。
つまり、この「飽きてしまう」「続けられない」「不安でやめてしまう」といった心の問題を解決するような「意思」と「仕組み」が必要なのです。それがなければどれほどすばらしい設計図や材料、資金があっても、全く意味を成しません。
パイプラインをつくる作業を「どうやるか?」ではなく、それらを飽きることなく継続してやり続けられる人間に「どうやってなるか?」のほうが大切であるということです。
ほとんどの人は「どうやるか?」という「手法」ばかりに目がいってしまいます。もちろん当初の私もそうでしたから気持ちは痛いほどわかります。
しかし、何でも叶えてくれる魔法の処方箋などありません。いつも「楽な方法」ばかりを探して、取り組み失敗し、「問題を解決できる人間になること」を先送りにしています。バケツで今日、明日の分の水を運んで目先のお金を稼ぐだけでは未来は一向に改善されません。
まずは、「自分の未来を変えるためにパイプラインをつくる!」という意志と、愚直にやり続けることができる仕組みを手に入れることが先決だと考えてください。
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