本記事は、園原新矢氏の著書『お金を持ち続けられる人になるための「自分資産化計画」』(クロスメディア・パブリッシング)の中から一部を抜粋・編集しています

他人を巻き込む(「受け取り方」感情のコントロール)

金融機関FPの悩みにこたえる相談室【第3回】
(画像=Ushico/PIXTA)

パートナー(妻)が投資に理解を示してくれないAさん

まずは夫婦間でのお金に対する問題を抱えているAさんのお話です。

Aさんは結婚されて子供も生まれたばかりでした。奥様は専業主婦で投資のことなんか全く興味がありません。むしろ危ない、自分には関係のないものだと思っています。

Aさんはなんとかお金の問題を解決し、未来の不安を払拭したいと考えていました。

コンサルティングを開始した直後のAさんは

「妻には投資や起業はダメだと言われそうで」
「お小遣い制なんで投資に回せるお金が……」
「子供が生まれたばかりなので時間もないんです」

このような感情に満たされていました。

そこでAさんにどんな人生を送りたいのか、どんな家庭を築いていくのが理想なのか、「もしも」の話で大丈夫なので想像してみましょうと伝えると、ようやく少し楽しそうな顔になりました。

次にそれは1人で達成可能なのか、と聞くと「妻の協力が必要です」と返ってきました。さらに、そういった話はしたことがあるのか、と聞くと「ダメと言われるに決まっている」との返答を受けました。

ここでAさんの「受け取り方」を変える必要があると思った私は、家族で話し合う場を持つことを宿題にしました。

そう言うと非常に面倒なご様子でしたが、宿題をしないのであればコンサルティングは継続しませんと言い放ちました。

宿題は次のような内容です。

・妻と話し合う時間を確保するためにお金を使う
・何のために投資をしようと考えているのかを伝える
・妻に日頃の感謝を伝える
・次のことについて妻に聞いてみる
 「子供にはどんなことをさせたいか?」
 「妻は投資や起業に対してどんな思い込みがありそうか?」
 「なぜお金の話をしたくないのか?」
 「お互いの両親や親戚のお金についてのエピソードはどんなものがあるか?」
 「何が怖いと思っているのか?」

1ヶ月後、Aさんとお会いした時の表情は少し明るくなっていました。

出てくる質問がすべて「どうすればできるのか?」といった前向きなものに変わり、家族での夢ができたといった話を楽しそうに話し始めました。

その日はコンサルティングすることをやめて2時間ずっと話を聞いていました。

そうするとAさんは自分で話しながらあることに気づいていきます。

「思い込みの力の強さ」は良い方にも悪い方にも傾くということ、家族がいるという環境を自分の人生にプラスになるよう活かせること、そして人を巻き込むことで得られる心持ちとその責任についてなどです。

ご自身で気づいたことを言葉に出して言い放つその様は、まるで熱い思いを持った有名な講演家のようでした。

今まで自分の勝手な思い込みで口に出してこなかったこと、相手がどう思っているかが怖くて直接聞けなかったことなど、様々な話をしてくださいました。宿題だからと頑張って、奥様と一緒にワークをし始めると、たくさんの変化と気づきを得られたと言います。

受け取りづらい感情も意識的にコントロールすることで冷静に話し合うことができ、「もし受け取り方を前向きに変えることができたら……」と考えるだけで、ここまで心情の変化があるのだということにご自身で驚いていました。

奥様も最初は投資への理解がないようでしたが「何のために」というビジョンを示した時、その未来のストーリーの登場人物の中に自分とお子さんのイメージも見えたのでしょう。奥様はAさんが何のために投資をしたいのかという思いを理解した時、ようやく家族の明るい未来が想像できたと言います。

人は理解できないものに恐怖します。だからこそ相手にどんな考えがあるのかを共有するだけでも安心につながり、共感が得られた際は最高の味方を得たような感情で満たされます。

面白いもので、理解してもらえないと思っていた相手が最高の味方になったと感じただけで見える世界は一変し、気持ちも前向きになっていきます。

これこそが感情の受け取り方をコントロールできた際の成果といえるでしょう。

それから3ヶ月が経過した時、Aさんは自信に満ち溢れていました。

詳しく話を聞いてみると、最初の1〜2ヶ月はお互いのお金に対する考えを話し合ったり、感情の受け取り方を意識的にコントロールしてみたりしたとのこと。

子供が生まれて忙しい中、うまくいくことばかりではなかったけれど、確実に夫婦で話し合う時間が増えていったというAさん。

お小遣いの中でやりくりして奥様とゆっくり話すための外食にお金を使ったり、日頃の家事や子育てへの感謝を伝えたりすると少しずつ変化が訪れました。

もちろんこれも立派な自己投資です。

「夫婦で話し合うことで妻の考えも理解することができ、とても建設的な会話ができるようになった」「妻に抱いていた感情や勝手な思い込みを外すことができ、フラットに家族の将来についてよく話し合うようになった」と言います。

そして、そのうち奥様のほうからも声をかけてくれるようになったそうです。奥様もAさんの本気さや変化に心動かされていったのでしょう。結果として、心情の変化が奥様にもよい影響をもたらしました。

「周りを変えたかったら自分を変えろ」とはよく言ったもので、自分の気持ちや行動が変われば、周りの人も巻き込まれていくのです。今では土日に投資の勉強会や起業セミナーに参加したり、一緒に家計簿をつけるようになったとのことでした。

最初は「自分だけで何とかするしかない」と諦めていたAさんでしたが、思い切って奥様と正面から向き合って話し合ったことで、理想が現実になっていくイメージが描けていったようです。

それから6ヶ月後にAさんとお会いした時は奥様も同席されるようになりました。そこからは毎月財務諸表を確認し、カフェで反省会をされたり、少しずつですが実際にお金を運用する経験を一緒に行っているようでした。

共に経験することの価値というのは非常に大きく、人を巻き込む力が最も効果を発揮する部分ともいえるでしょう。

このようにパートナーや家族がいるという環境をうまく活用することができれば、自分のコントロール率UPが期待できます。

誰かがいるからこそ自分との約束を果たす確率はグッと上がるものです。

自分だけだとなかなかうまくいかないという方は、家族や親友、メンターやインストラクターの方を巻き込んでみましょう。そうすれば非常に大きな強制力を獲得し、自己投資した分を早期に回収することができるはずです。

お金を持ち続けられる人になるための「自分資産化計画」
園原新矢(そのはら・しんや)
園原夫婦株式会社 取締役。金融商品取引業者(投資助言・代理業) 関東財務局長(金商)第3206号宅地建物取引士、日本ファイナンシャル・プランナーズ協会正会員(AFP)、2級ファイナンシャル・プランニング技能士16歳の時にお金持ちになりたいと決意し、投資やビジネスを手掛ける。19歳で投資に失敗し多額の負債を抱え自殺を考えるが、父親のひと言で思い留まり借金を返済すべく奔走し完済。大学卒業後は証券会社に入社。3年でトップセールスマンになり、起業するという目標を立てる。2010年10月、25歳で妻と一緒に独立し、金融知識の啓蒙を行う会社「園原夫婦株式会社」を設立し、目標を達成。毎年1,000人以上の受講者が北は北海道から南は沖縄まで、さらには海外からもセミナーに参加している。現在は「ビジネス投資」「不動産投資」「ペーパーアセット投資」など、「不労所得」を得られる3つの分野のすべてを自身で行い「実践投資家」として躍進中。また、20年間の実体験で得られた成功体験を元に「年収400万円以上の方であれば2年6カ月で不労所得のある生活を送ることができる仕組み」を築き上げ、すべての人に不労所得のある生活を提供したいという思いから「投資実践会」という会員向けサービスを2015年より運営している。

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