この記事は2022年5月20日にSBI証券で公開された日本株の底入れ・反転に期待~株高をリードする好業績銘柄を探る!?を一部編集し、転載したものです。


日本株
(画像=PIXTA)

2022年5月20日(金)こそ反発したものの、東京株式市場は依然波乱含みの展開です。ここにきて、景気・企業業績への不透明感が強まり、米国株式市場が下落基調になってきたことが要因です。

こうした中、日本では2022年3月決算等の上場企業の決算発表が、2022年5月16日(月)まででおおむね一巡しました。当面は、好業績銘柄を中心とした選別色の強い相場展開が想定されます。そこで、今回の「日本株投資戦略」では、2022年3月期の第4四半期・通期で大幅増益となり、2023年3月期も会社側が大幅増益を見込んでいる銘柄を抽出してみました。

目次

  1. 株高をリードする好業績銘柄を探る!?
  2. 抽出銘柄のご紹介
    1. インターネットイニシアチッブ(3774)
    2. アルプスアルパイン(6770)

株高をリードする好業績銘柄を探る!?

日経平均株価は2022年5月13日(金)~5月18日(水)に4営業日続伸し、1,162円上昇した後、2022年5月19日(木)は508円反落し、2022年5月20日(金)に再び反発するという出入りの激しい不安定な相場となりました。

米国では市場の懸念対象が、「金利上昇・インフレ」から「企業業績」へと拡大し、2022年5月18日(水)にはNYダウが1,164ドル安となる不安定な展開となりました。ただ、国内では2022年5月16日(月)までに2022年3月決算企業等の決算発表がほぼ一巡したことで、リスクを取りやすい時期となってきました。

また中国において、上海市が2022年6月までにロックダウンを解除する方針を示し、これにより日本の製造業を覆う不透明感の一部も後退したように感じられました。

欧米が金融引き締め傾向を鮮明にする中で、日本は緩和的金融政策を継続していることもあり、グローバルな株式市場の中での相対的な位置づけは良くなっているように思われます。今後は、東京株式市場が底打ち・反転に転じる可能性は十分ありそうです。

ただ、米国株式市場の不安定な展開が続く可能性があり、当面は選別色の強い展開になるかもしれません。そうした中「日本株投資戦略」では、2022年3月期の第4四半期・通期で大幅増益となり、2023年3月期も会社側が大幅増益を見込んでいる銘柄を抽出してみました。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証プライム市場上場銘柄。
(2)時価総額1千億円超。
(3)3月決算銘柄。
(4)業績予想を公表するアナリストが2名以上。
(5)2022年3月期・第4四半期(2022年1~3月期)の営業増益率(前年同期比)が50%超、または黒字転換。
(6)同上期の営業利益が事前の市場コンセンサスを上回っていること。
(7)2022年3月期(通期)の営業増益率(前期比)が30%超、または黒字転換。
(8)2023年3月期(通期)の会社予想営業増益率が前期比10%超。
(9)同上期の会社予想営業利益が事前の市場コンセンサスを上回っていること。
(10)2024年3月期の市場予想営業利益が前期(市場コンセンサス)比で10%超の増益予想。

図表1の銘柄は(1)~(10)の条件をすべて満たしています。2022年1~3月期の営業増益率の大きい順に、銘柄を掲載しています。

株高をリードする好業績銘柄を探る
(画像=SBI証券)

抽出銘柄のご紹介

この項では、図表1でご説明した銘柄の一部について、詳細にご紹介したいと思います。

インターネットイニシアチッブ(3774)

■インターネット接続サービスの草分け

当社は企業向けにインターネット接続サービスを提供しています。また、インフラシステム構築などのシステムインテグレーション事業、およびシステム機器の販売、ネットワークコンサルティングおよびセキュリティ、ウェブホスティングなどのサービスも提供しています。

売上高構成比(2022年3月期)は「ネットワークサービス事業」が57%、「システムインテグレーション事業」が42%となっています。もともと、日本の中心的なインターネット技術者が集まってできた会社であり、現在でも国内トップクラスの優秀な技術者を数多く抱えていることが強みとなっています。

■2022年3月期は過去最高益を更新

2022年5月13日(金)に発表された2022年3月期決算は、売上高2,263億円(前期比6.3%増)、営業利益235億円(同65.3%増)、純利益156億円(同61.4%増)と増収・増益となり、純利益は過去最高となりました。企業の旺盛なDX需要を背景に、ネットワーク接続サービスやシステム開発の販売が増加しました。

2023年3月期の会社計画では、売上高2,500億円(前期比10.5%増)、営業利益272億円(同15.3%増)、純利益175億円(同11.7%増)と最高益更新が見込まれています。1株配当は前期の年48.0円から、今期は同58.5円に増額される予定です。中期計画では、2024年3月期に営業利益310.5億円の計画となっています。

株価は2022年5月12日(木)終値が3,730円でしたが、2022年5月13日(金)昼に決算発表が実施され、2022年5月13日(金)~5月18日(水)には4営業日続伸となり、2022年5月19日(木)現在は4,505円となっています。ただ、2021年11月30日(火)高値5,110円からは下げています。利益が最高益更新を見込まれる状況でもあり、株価も最高値更新を期待したいところです。

▽株式会社インターネットイニシアチッブの値動き

インターネットイニシアチッブ(3774)
(画像=SBI証券)

※データは2022年5月20日(日足)14:00時点。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

アルプスアルパイン(6770)

■車載向けに強みをもつ電子部品メーカー

当社は、高付加価値電子部品を製造するアルプス電気と、カーナビゲーションを主体とするアルパインが2019年1月に経営統合して発足した会社です。幅広いユーザー層を抱えていますが、なかでも自動車向けに強みをもち、売上高の7割は車載向けと推定されています。

セグメント変更後の売上構成比(2022年3月期)は、スマホ向けアクチュエーターを含む「コンポーネント事業」が32.6%、EV向けセンサなど「センサ・コミュニケーション事業」が10.1%、車載スイッチなど「モジュール・システム」が45.9%となっています。

このうち、「コンポーネント事業」におけるスマホ向けアクチュエーターは、レンズを動かしピントを合わせる部品で、当社製を採用すると、カメラ組立てにおける歩留まりを向上させると高く評価され、高シェアを有しています。

■前期・今期予想とも大幅増益

当社は2022年4月28日(木)に決算発表を行い、2022年3月期は売上高8,028億円(前期比11.8%増)、営業利益352億円(同168.6%増)と増収増益でした。増収効果と円安により、サプライチェーン混乱に伴うコスト増を吸収し、大幅増益を確保しました。2023年3月期は売上高8,350億円(前期比4.0%増)、営業利益475億円(同34.9%増)が会社計画となっています。

株価は2022年4月28日(木)終値1,155円に対し、2022年5月18日(水)には1,398円まで上昇して年初来高値更新となっています。ただ、2015年11月の高値4,205円に比べればおおよそ3分の1に過ぎない水準です。2022年5月19日(木)終値1,380円を基準に、予想PERは8.7倍、PBRは0.73倍と割安感の強い水準と考えられます。

▽アルプスアルパイン株式会社の値動き

アルプスアルパイン(6770)
(画像=SBI証券)

※データは2022年5月20日(日足)14:00時点。
※当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
※上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。

▽当記事の内容について、著者が動画で詳しい解説を行っています。あわせてご視聴ください。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数