本記事は、桑原晃弥氏の著書『世界の大富豪から学ぶ、お金を増やす思考法』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています

「『その会社のことはウォール街にいる98%のアナリストよりも知っている』と言えるようになるまでは投資をしない」──「娘に贈る12の言葉」

投資家
(画像=metamorworks/stock.adobe.com)

ジム・ロジャーズ(「世界三大投資家」の1人。クォンタム・ファンド共同設立者)

ジム・ロジャーズは、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロスと並ぶ大投資家だ。イェール大学、オックスフォード大学を経て、1970年にソロスと後のクォンタム・ファンドを設立。80年に37歳で引退(投資家としては今も現役)するまでに3,365%という驚異的な利回りを達成しています。

ロジャーズは引退後、巨富を背景に「冒険投資家」として世界中を旅し、大学教授やテレビ番組の司会者になるなど、自由を謳歌していますが、そんな経験を通して、我が子に3つの成功法を伝えています。

3つというのは、(1)早いスタート、(2)好きなことをする、(3)徹底して調べる──ですが、なかでも大切にしているのが「最も好きなことを1つ続ける」ことと、「自分がよく分かっているものに投資しろ」の原則を守ることです。原則を破ると何が起きるのでしょうか?

ロジャーズはかつてナミビアで妻にダイヤモンドをプレゼントしたことがあります。7万ドルの価値があると言われたものを500ドルにまで値切って手に入れています。「やった、大成功だ。ダイヤモンドの投資でも、私はうまくやった」と喜んでいたところ、それを見たタンザニアのダイヤモンドの商人からガラス玉であることを教えられたのです。ロジャーズはたしかにダイヤモンドの価格(相場)は知っていました。しかし、こうした投資で最も大切な「本物かどうか」を見分ける眼力を持っていなかったのです。

投資にあたって、中途半端な知識で手を出すと失敗をしがちです。「その会社のことはウォール街にいる98%のアナリストよりも知っている」と言い切れるまでは投資しないというのがロジャーズのルールです。大きな成功を手にするためには、「この株は上ると思う(think)」くらいではダメで、「この株は上ると分かっている(know)」ことが必要なのです。

ココがポイント
ものごとを判断する時は、確信が持てるまで調べぬく。

「人は良い習慣を身につけなければならない。つまり、勤勉や努力の習慣が必要なのだ」──「現代語訳 論語と算盤」

渋沢栄一(日本の資本主義の父)

2024年度からは新1万円札の顔として登場する渋沢栄一は、生涯に500もの企業の設立や運営に関わったことで「日本の資本主義の父」と呼ばれています。

しかし、これほどの企業の設立に関わりながらも「渋沢財閥」をつくることはなく、富豪ではあっても大富豪とは言えませんでしたが、渋沢がいたからこそ日本にこれほど多くの企業が誕生し、多くの大富豪が生まれる基礎を築いた人物と言えます。

それにしても埼玉県深谷市の豪農の家に生まれたとはいえ、1人の農民がなぜこれほどの偉業を成し遂げることができたのでしょうか? 幕末の志士を気取った農民が一橋家の家臣となって欧州に渡り、静岡藩を経て明治政府の官僚となり、やがて実業界に打って出た渋沢が最も大切にしていたのは、「道徳に基づいた経営」であり、「自分のことよりもまず社会を第一に考える姿勢」でした。そして個人としては常に勤勉であろうとしています。

「人は習慣で行動するので、正しい思考と振舞いを早いうちに習慣化させる必要がある」というのはアメリカの建国期に活躍したベンジャミン・フランクリンの考え方ですが、渋沢も早い時期から良き習慣を身につけようと意識して行動していました。特に大切にしたのが勤勉と努力の習慣であり、普段から勉強家であろうと努めています。

若い頃から勤勉だった渋沢は70歳になり、実業の世界を離れてからも朝は7時前に起きて来訪者に時間の許す限り面会しています。「1日ぐらい休んでも」となりがちなところを、渋沢は「1日怠けてしまえば最後まで怠けてしまうもの、怠けていて好結果が生まれるなど決してない」と日々の習慣を崩すことはありませんでした。

人は習慣で行動します。何事かを成し遂げたいのなら早くから良き習慣を身につけ、それを守り続ける努力が欠かせないのです。

ココがポイント
良き習慣こそが大きな成功を引き寄せる。

「小さなことで規律を破ると、大きなことでも破るようになる」──「バフェットの株主総会」

ウォーレン・バフェット(バークシャー・ハザウェイCEО。世界一の投資家)

ウォーレン・バフェットの特徴の1つは、自分が決めたルールや原則にとことん忠実であり続けることです。たとえば、何かを買うにあたっては少年時代に身につけた「複利式の考え方」で判断します。バフェットはささやかな散髪にさえこう自問しました。

「本当に私はこの散髪に30万ドルを費やしたいだろうか」

もちろん散髪に30万ドルかかるわけではありません。しかし、たとえわずかなお金でも長期にわたって運用すれば大きなお金になります。「投資とは消費を延期することだ」と考えることで、バフェットは「使う金は入る金よりも少なく」を実践したのです。

投資における原則の1つに「第一の原則、一レースだけで帰るものはいない。第二の原則、損するレースにかけなくてもいい」もあります。少年時代に競馬場で予想紙を売っていたバフェットは、競馬場に来る客の多くが損をするまで、それこそすっからかんになるまで賭けることに気づきます。客が夢中になればなるほど競馬場は儲かります。そんな客を見て、バフェットは「損するレースにかけなくてもいい」という原則の大切さを理解します。

ところが、ある日のこと、原則を忘れて熱くなったバフェットは大きく負けが込み、175ドルも損をします。もし原則を守っていれば防ぐことができた過ちだっただけに、以後、この原則をとことん守り抜くようになります。後年、バフェットが仲間とゴルフをした時のことです。3日間のプレー中に1回でもホールインワンを決めたら2万ドルという賭けを持ちかけられます。賭け金はわずか10ドルでした。全員が賭けに参加しましたが、バフェットは「小さなことで規律を破ると、大きなことでも規律を破るようになる」と断ります。

人は自分で守るべきルールを決めても、「このくらいはいいか」と甘くなりがちですが、バフェットは自らが決めたルールを徹底して守り抜くことで大きな成功を手にしたのです。

ココがポイント
「このくらいはいいか」という甘えた考えが損失や失敗を招くことになる。

世界の大富豪から学ぶ、お金を増やす思考法
桑原晃弥(くわばら・てるや)
1956年、広島県生まれ。経済・経営ジャーナリスト。慶應義塾大学卒。業界紙記者などを経てフリージャーナリストとして独立。トヨタ式の普及で有名な若松義人氏の会社の顧問として、トヨタ式の実践現場や、大野耐一氏直系のトヨタマンを幅広く取材、トヨタ式の書籍やテキストなどの制作を主導した。一方でスティーブ・ジョブズやジェフ・ベゾス、イーロン・マスクなどの起業家や、ウォーレン・バフェットなどの投資家、本田宗一郎や松下幸之助など成功した経営者の研究をライフワークとし、人材育成から成功法まで鋭い発信を続けている。著書に『スティーブ・ジョブズ名語録』(PHP研究所)、『トヨタ式「すぐやる人」になれる8つのすごい!仕事術』(笠倉出版社)、『ウォーレン・バフェットの「仕事と人生を豊かにする8つの哲学」』(KADOKAWA)、『逆境を乗り越える渋沢栄一の言葉』(リベラル社)、『1分間アドラー』(SBクリエイティブ)、『amazonの哲学』(大和文庫)、『イーロン・マスクの言葉』(きずな出版)などがある。

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