この記事は2022年9月6日(火)配信されたメールマガジンの記事「岡三会田・田 アンダースロー(日本経済の新しい見方)『積極財政とアベノミクス堅持が岸田内閣の方針』を一部編集し、転載したものです。

国会
(画像=naka/stock.adobe.com)

要旨 

  • 岸田内閣の経済政策である新しい資本主義の方針は、アベノミクスに成長投資を中心とする積極財政で企業の投資活動を刺激し、企業と政府を合わせた支出をする力であるネットの資金需要を回復させ、家計に所得を回し、成長と分配の好循環を目指すものであることが決まっている。2023年度の政府予算編成の骨太の方針で、積極財政への転換とアベノミクスの堅持を、既に閣議決定しているからだ。骨太の方針と新しい資本主義実行計画に含まれる重要な政策は青天井で予算を付けることができる。

  • 秋の臨時国会で、景気回復促進策、コスト増加に対する家計・企業支援策、そしてグリーン・デジタル・先端科学技術などを中心とする成長投資を含む、大規模な経済対策を実施し、新しい資本主義を稼働させようとするとみられる。2022年12月に決定される2023年度の本予算の政府原案は、新しい政策が多く含まれ、積極財政を感じるような膨張したものになるだろう。2022年12月の税制改正の議論では、新型コロナウィルス対策の支出をまかなうコロナ増税や、防衛費の増額をまかなう防衛増税が提言される可能性がある。しかし、支持率が低下傾向にある岸田政権が積極財政ではなく緊縮政策に転じることはないだろう。

  • 外需が大きく減速すれば、内需の回復の動きを止めてしまうことになる。政府は、海外経済の判断を、「持ち直しのテンポが鈍化している」とし、「持ち直している」から下方修正している。外需の減速に対して、内需の回復で景気の上向きの動きを確かなものとするため、秋の臨時国会で、景気回復促進策、コスト増加に対する家計・企業支援策、そしてグリーン・デジタル・先端科学技術などを中心とする成長投資を含む、大規模な経済対策を実施するとみられる。

▽新しい資本主義のマクロ・ロジック

新しい資本主義のマクロ・ロジック
(画像=出所:岡三証券)
会田 卓司
岡三証券 チーフエコノミスト
田 未来
岡三証券 エコノミスト
松本 賢
岡三証券 エコノミスト

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