あらゆる資産に分散してポートフォリオを組む 期待リターンは約4%
続いて「(上記の1億円とは別に)10億円で国際分散投資のポートフォリオを作りたい」という2つ目の要望に対する提案を見ていこう。この要望をもう少し深掘りすると、Eさんは以下のような気持ちがあったようだ。
・本業で一定のリスクを取っているので、そこまで大きな運用リスクを取る必要はない
・なるべくメンテナンスコストがかからないように設計して欲しい
・将来的に海外移住する可能性があり、米ドル中心の運用がしたい
まずは最も重要と思われるアセットアロケーションについてだ。資産運用の世界では「アセットアロケーションがリターンの8割を決める」と言われている。山口氏はEさんに対して、以下のようなアセットアロケーションを提案した。
上場株式:20%
債券:40%
REIT:10%
コモディティ:10%
未上場株式:10%
現金:10%
※通貨分散はなし。100%を米ドルで運用する前提
このアセットアロケーションで年間の期待リターン約4%、リスクは約6%とのことだ。なお、上記はあくまで過去の提案内容であり、2022年10月現在において、この配分が望ましいとは限らないことにはご注意いただきたい。
この国際分散投資のポートフォリオの特徴を補足すると、
・株式は配当を重視しており、高配当・公益・増益といったインカムゲインに特徴があるETFを5銘柄ほど組み合わせた
・債券は個別銘柄で運用しており、デュレーションが短い債券と長い債券を組み合わせる「バーベル戦略」を用いている
・その理由は、今後の金利低下を前提に、安定したインカムゲインと(金利低下時の)債券単価上昇によるキャピタルゲインの両方を狙いにいくため
・債券は期限付き劣後債が中心であり、永久劣後債やCoCo債は組み入れていない
・REITとコモディティはETFを用いて分散投資している
・未上場株式は日本のプライベートエクイティファンドを活用している
・プライベートエクイティファンドは「10倍20倍を狙う」というより「数年で5倍」といった相対的にはリスクを抑えたファンドを選んでいる
となる。なお、保有している期限付き劣後債の利回りは4%台とのことだ。「永久劣後債ならそこに+1%、CoCo債なら+2〜3%乗りますが、すでに本業である程度リスクを取っていることから、そこまで信用リスクを取る必要はないと判断しました」(山口氏)という。
個別銘柄の動向を追うことで、経済や企業業績の動向を見る目を養いたい
なお前述のように、日本株1億円ポートフォリオは、10億円国際分散ポートフォリオとは別物だ。ここまで読み進めてきた人は「なぜ、わざわざ日本株1億円ポートフォリオを作っているのだろう? その1億円分も国際分散ポートフォリオに組み込めばよいのではないか?」と感じたかもしれない。単純に経済的合理性を求めるのであれば、筆者もそちらのほうがよいと考える。
ただ、そこには上場企業オーナーならではの理由があった。山口氏は「Eさんには『個別銘柄の動向を追うことで、経済や企業業績の動向を見る目を養いたい。その知見を(自社の)企業経営に活かしたい』という気持ちがありました」と語る。あえて日本株1億円ポートフォリオを作って、自分のお金を市場に晒すことで、経済・金融知識のブラッシュアップを図っていたのだ。
オーナー経営者は基本的に、自身の資産の大半が自社株である。極端な話だが、株式投資で損失を抱えても、自社の業績が好調であれば、自社の株価上昇によって大きな資産を築くことができる。もちろん投資する以上は利益を狙いにいくのが前提だが、オーナー経営者は「勉強のための投資」を行いたいニーズがあることは留意しておきたいポイントだろう。
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