本記事は、三條公実子氏の著書『シンプルな行動で「思い通りの人生」を手に入れる33のルーティン』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
「上司は3歳児」理論
私の知り合いや友人から、時々「男なんてみんな3歳児」という言葉を聞きます。主に、彼女たちのご主人を指しています。彼女たちのお子さんの3歳の頃と比べてそう言うのですから、完全に否定するわけにもいきません。
ついでに、「子どもは成長するけど旦那は成長しないから、イヤになる」という人もいます。
そんな話を聞いていて、ふと思ったのは、「上司にも当てはまりそう」ということ。
もちろん、すべての上司がそういうわけではありませんが、私の上司(たまたま全員男性)は、当てはまることが多かったのです。
ある上司は、私との会話や報告のたびに、仕事と関係のないことで私の人格を否定するような一言を言う人でした。
それってパワハラじゃない?と思いましたが、「この人は、おじさんの着ぐるみをきた3歳児だ」と思うようにしたのです。だって、クッキーをほおばりながら、口元に食べかすを付けたまま憎たらしいことを言うんです。
かわいらしい本物の3歳ちゃんたちには申し訳ないけど……おかしくなってきました。
上司が発言していることだけに注目すると、もっともらしいですし、私の至らない点を指摘されています。だからこそ、その後の一言に傷ついていました。
しかし、俯瞰で見ると、
- こちらが立って聞いているのに、自分は足を机に放りだしながら話すなんて、どんな育ち方をしたの?
- 食べながら仕事のフィードバックをするなんて、失礼すぎる
という思考回路になっていきました。
上司から教わることもありますが、すべての面で私より優れているわけではない、という当たり前のことに気づいたのです。
すると、気持ちが落ち着きました。今までは、滝つぼの底にいるような気持ちだったのが、緩やかな川の流れに変わった感覚です。
相手を3歳と思えば、1人でおうちから会社まで来れただけで感動ものです。たとえ挨拶できなくても大目に見ることができます。
これが大人なら、「こっちが挨拶してるのに、無視するなんてひどい」と、嫌いになりますよね。でも、3歳児にそこまで期待しません。
それどころか、褒めるハードルが下がりますから、上司に会うたびに褒めるポイントが見つかります。3歳児を思い浮かべながら話すので、自然と口調も優しくなります。
口が悪い上司ほど、「仕事には自信があるが、それ以外に自信が持てないシャイな性格」という傾向もわかってきました。
やがて、話す機会を見つけては、さりげなく褒めるようになっていきました。
一般的に、こちらが苦手だと相手も苦手になることが多いですが、この作戦では、こちらから好意的な態度が伝わるため、相手もイヤな気がしません。気が付けば、「私のことが気に入っている」という状態にまで持っていけるのです。
すると、イヤなことを言われる回数が減ると同時に、こちらも緊張しないで接することができますから、ミスも減り、気配りができるようになり、プラスのスパイラルになります。
さらに、ちょっとした仕事の調整など、上司の得意な仕事を頼みやすくなることもあります。また、そういうひと癖ある上司ほど、周囲の部署からも敬遠されがちです。そんな時は、あえて上司に3歳児らしい(!)かわいいあだ名をつけて、かわいいエピソードを近隣部署の部長に伝えると、良いことが起こります。
「たっくんは、クッキーが大好きなんですけど、上手に食べられないから食べかすで机の上がベトベトなんですよ」
「このあいだは、コンビニのアメリカンドックほおばりながらフロアを歩いていました」
など、仕事とは関係ないかわいらしいエピソードを話すのです。
すると、敬遠していた部長陣が親近感を持ち、たっくんに人として興味を持ってくれます。
心の壁をとり払いやすくなるのです。私はこのやり方で、部門調整の手間を3か月で3分の1に減らしました。
ちなみに、「たっくん」というあだ名は、やがて部門を超えて知られるようになり、彼はすっかり愛されキャラになりました。ひそかに、私の努力のおかげだと思っています。
他の女性管理職にも勧めたところ、役員や年上の部下への見方が優しくなって、声掛けや態度が柔らかくなった、結果として「最近優しいですね」と言われる機会が増えた、という声をいただきました。ちなみに、私自身や周囲の成功例を見渡すと、男性上司の方が成功しやすい傾向があるようです。
- 今日から実践
- 苦手な上司を3歳児に見立てて、
(こっそり)かわいいあだ名で呼ぼう