後進が経営者になりたいと思うような経営者像を示す

事業承継の課題の1つが後継者不足である以上、後進が経営者になりたいと思うような経営者像を示すことも肝要だ。そのためには、経営に関心を持っている世代が経営者に対してどのような憧れを抱いているのか、知っておいて損はないだろう。

日本政策金融公庫総合研究所の「2021年度起業と起業意識に関する調査」によると、起業関心層が起業したいと思う理由で最も多かったのが「収入を増やしたい」の61.6%だった。次いで多かったのが「自由に仕事がしたい」の48.9%で、「自分が自由に使える収入が欲しい」が17.5%と続いた。

同調査では、実際に起業した起業家にも、その動機を尋ねている。起業の動機として最も多かったのは「自由に仕事がしたかった」の61.1%で、続いて多かったのが「収入を増やしたかった」の39.6%だった。

2つの質問からうかがえるのは、経営に関心を持つ世代が、「自由に仕事がしたい」という思いと、収入増への憧れを抱いていることだ。

後継者の事業承継に対する思いはそれぞれ個別の事情があるだろうが、一般的にこのような経営者像を抱いているという点は留意しておいてよい。

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事業承継は関係者の理解を得ながら計画的に

6割超の事業者が黒字にもかかわらず廃業する「大事業承継時代」にあって、後継者を確保し育成することは容易なことではない。しかし、後進が育たなければ自身が築いてきた会社の存続が危ぶまれるのも事実だ。

少なくない後継者候補が経営に対して自信を持てないでいる。後継者教育を適切に行い、自信を養っていくことが重要だ。また、事業の将来性に対する不安が事業承継に二の足を踏む要因となっており、いかに将来性を示すかも後継者の確保には欠かせない。

さらに、事業を引き継いだ後に生じた社内トラブルなどで事業承継が失敗するケースもあり、計画的に関係者の理解を得ながら事業承継を進めることも肝要だ。

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