本記事は、ジュリー・スミス氏の著書『一番大切なのに誰も教えてくれない メンタルマネジメント大全』(河出書房新社)の中から一部を抜粋・編集しています。

強さの柱となる8つのもの

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(画像=alphaspirit/stock.adobe.com)

悲嘆グリーフを専門とする心理療法士ジュリア・サミュエルは、悲嘆を通して生活を再構築しようとするときに助けになる重要な構造を設定した(2017)。その構造を構築するには、作業と忍耐が必要なので、彼女はそれを「強さの柱」と呼ぶ。そのひとつひとつを育てることで、わたしたちは悲嘆を乗り切るための、堅牢な支えを得ることができる。その柱を以下に挙げる。

1. 故人との結びつき

愛する人を失っても、その人との結びつきや愛が終わるわけではない。喪失に適応するには、共に過ごした場所を訪れたり、お墓参りしたりするなど、故人を身近に感じる新たな方法を見つける必要がある。

2. 自分との関係

自己への覚醒の重要性に触れている。悲嘆を乗り越えるためにもそれが必要だ。自分の対処メカニズムを理解し、悲嘆の中にあっても自分の健康と幸福に配慮するために、できるだけ自分のニーズに耳を傾けよう。

3. 悲嘆を表現する

悲嘆を表現するのに正しい方法はない。静かな内省や追悼であれ、友だちと語りあうことであれ、こみ上げてくるものを感じ、表現することを自分に許そう。それは悲嘆の自然なプロセスだ。

4. 時間

悲嘆から抜け出すのにかかる時間を予想すると、自分を苦しめることになる。何もかもに打ちのめされるように感じるときには、無理に未来を見ようとせず、その日その日に気持ちを集中させたほうがいい。悲嘆に期限を設けて、自分にプレッシャーをかけると、苦痛と悲嘆がさらに強くなるだけだ。

5. 心と体

体と感情と思考と行動は、バスケットに編み込まれた籘づるのようなものだ。1つを変えると他のすべてに影響が及ぶ。したがって、そのすべてに配慮することが重要だ。定期的な運動、正しい食生活、社会的なつながりは、精神の強さが求められるときに、それを増強するのに役立つだろう。

6. 制限

周囲の優しい人たちが、これからどのようにやっていくべきか、いつ日常生活に戻ればいいか、いろいろ助言してくるときには、境界線を引くという基本的ツールを思い出そう。自己認識を構築しつつあり、自分のニーズに耳を傾けているのなら、自分にとって最も有益なことをするために、時には境界線を引き、維持しよう。

7. 決まりごと

人間は本来、予見可能性と冒険、規則性と柔軟性のバランスをとろうとする。喪失を経てメンタルヘルスが脆弱になっているときには、規則的な日常生活を維持し、運動や、社会との接触を保ってメンタルヘルスを守ることが大切だ。ただし、ある程度柔軟になって、悲嘆に暮れることも許そう。

8. 集中

自分の動揺を言葉で表現できないときは、自分の内側に注意を向け、体に現れる動揺を視覚化ビジュアライゼーションしよう。そうすれば感情と体のコンディションの変化に気づきやすい。

まとめ

  • 愛する人と死別した後、生活を再構築するには、時間と労力、そして忍耐が求められる。
  • 特別な場所やお墓を訪れるなど、故人を身近に感じられる方法を見つけよう。
  • そうしながらも、できる限り自分のニーズに耳を傾けよう。
  • 悲嘆を表現する正しい方法はない。
  • 悲嘆から抜け出すまでの期間を予測するのはやめよう。
メンタルマネジメント大全
ジュリー・スミス
心理学者・臨床心理士。オンラインでの発信やカウンセリングが人気を博し300万以上のSNSフォロワーを持つ。心理学・精神医学に基づく適切な知識を動画でわかりやすく届ける活動はBBC等にも取り上げられる。

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