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みずほ信託銀行は10月6日に、上場企業やJ-REIT等が公表した2014年上期の不動産売買取引額は2兆2千億円、暦年上期として1996年の調査開始以来の最高額となったと発表した。2013年通期(4兆7千億円)も2007年(5兆5千億円)に次ぐ2番目に大きい金額で、不動産売買取引額はファンド・バブル期以来の高水準となっている。売買金額の増大に伴い、不動産価格が上昇傾向にある。J-REITが取得した物件のキャップレート(還元利回り)は低下傾向が続いている。

最近の事例では、賃貸オフィスビルで2008年2月の3.5%と同値、商業施設では2008年の3.4%に迫る3.6%の事例が挙げられる。リーマンショックという金融危機からの市況回復過程において、J-REITの物件取得が不動産市況を牽引する要因となった。その後2013年以降の売買額の増大局面では、J-REITの取得が金額・構成比とも低下し、他業種の取得が増加することによって買主業種が多様化している。不動産取引に占めるJ-REITの割合は直近のピーク時では50%以上を占めたものの、今年4~9月は32%まで落ち込んだ。売買額の増加と並行して買主業種がJ-REITの寡占から多様化に至る状況は、2006年から2007年と類似しており、不動産売買市況の活発化をうかがわせるものとなっている。


森トラストの目黒雅叙園、積水ハウスの国際赤坂ビルなど大型売買続く

2014年上期の不動産売買取引額を押し上げた背景として、大型不動産売買の成立がある。森トラストはオフィスビルやホテルなどを持つ『目黒雅叙園』(東京・目黒)を米投資ファンドから約1300億円で買収。積水ハウスも『国際赤坂ビル』(同・港)を700億円程度で取得するなど全体の取引額を押し上げた。また、地価・物件価格の上昇、及び、需給の引き締まりも不動産売買取引額を押し上げた背景として挙げられる。国土交通省が9月に発表した7月1日時点の基準地価では、三大都市圏の商業地が2013年の0.6%から1.7%へ上昇幅を広げるなど、大都市圏の地価回復が鮮明である。また、仲介大手の三鬼商事が発表した東京都心5区(千代田、中央、港、新宿、渋谷)の9月末の空室率は5.65%と前月から0.37ポイント低下した。5%台まで下がったのは5年7カ月ぶりである。オフィスビルの需給が引き締まり、賃料を引き上げる動きも出てきた。


銀行貸出伸びる、不動産取引活況!

不動産売買取引の原資は、J-REITや投資ファンドによる増資もあるが、銀行からの借入によるものが多い。不動産取引の活発化には金融機関のサポートが必要である。金融機関による貸出の動向を見ると、国内銀行および信用金庫による設備資金の新規貸出総額が漸く増勢に転じているが、不動産業向け貸出については既に2010年頃から増加傾向で推移している。2014年3月期(1月~3月)の不動産業向け設備資金新規貸出額は3兆6,802億円となり、2005年3月期の3兆6,447億円を上回って、統計として把握可能な1977年6月期以降の最高額となっている。

賃貸オフィスビル市況は金融危機後のオフィス需要低迷の影響を受け、稼働率と賃料の低下が続いたが、アベノミクスのお蔭で、オフィス需要が回復し、東京都心5区の平均募集賃料は上昇に転じてきた。今後も賃料が上昇する展開が続くとみられ、上昇した不動産価格も合理的な水準と判断されることになるだろう。

(ZUU online)

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