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11月4日、日経平均が7年2ヶ月振りに17000円をあっさり突破。

10月31日、日銀は、金融政策決定会合で追加緩和を決定した。この異次元緩和第2弾と言える決断は、政策委員9人の内4人が反対というギリギリものだった。黒田総裁のこれまでの発言からは、このタイミングで追加緩和するとはほとんど予想されていなかっただけに、市場関係者を驚かせた。株式市場では、一時875円高まで上昇し、終値は、755円高の16,413円となった。為替相場も1ドル=111円台まで円安となり6年10カ月ぶりの値を付けた。短期的に反応したのは、ETFの買入れを3倍に増加したことも大きな要因になっていると思われる。

もっとも、31日はGPIF(年金積立金管理運用独立法人)が国債中心の運用から株式の運用を増やす方向に転換することも発表しており、株価の暴騰は日銀の金融緩和だけによるものではない。しかしながら、GPIFは株式への積極運用はほぼ予想されていたことなので、株価暴騰の一番の原因は、やはり「黒田バズーカ」であったのだろう。主な金融緩和の内容は、以下の4点である。

【追加緩和の内容】
(1) マネタリーベース増加額の拡大(年間約60〜70兆円を約80兆円に増加)
(2) 長期国債保有残高の増加(年間約50兆円を80兆円に増加)
(3) ETF買い入れ金額の増加(年間約1兆円を約3兆円に増加)
(4) REIT買い入れ金額の増加(年間約300億円を年間約900億円に増加)


追加緩和の背景

日銀が、今回の追加緩和に取り組んだ背景には、数値目標は絶対に達成するという黒田総裁の強い意思があると思われる。日銀は、平成27(2015)年度にかけ物価上昇率を2%に高める目標を掲げている。総務省の消費者物価指数を見ると、生鮮食品を除いた指数(コアCPI)は、平成26年(2014年)7月分が前年同月比 3.3%、8月が3.1%、9月が3.0%と徐々に下がってきている。日銀の試算では、消費税増税に伴う物価上昇率を2.0%としているので、実質で見ると9月は1.0%ということになる。この数字は、日銀としては、かなり厳しい数字と言える。

また、日銀のシナリオとしては、消費税10%を念頭にしているので、万が一消費税が今のまま8%に据え置かれると、財政再建の遅れで債券の失望売りが出て、金利が上昇するおそれがある。このような、物価上昇の鈍化と消費増税先送りによる金融不安を回避するためには、年内に第2段の金融緩和が必要と判断したのだろう。


今後の展望…当座預金残高の動きに注目

金融緩和、特に量的緩和が効果的なのは、ETFやREITの買入れ残高が確実に増加するので、証券関連株や不動産関連株が上がるのはもちろん、市場自体が活性化することが大きい。また、何より、黒田総裁が、景気を下支えし、物価上昇を確実に実現するという強い決意をもっていることを外部に示すことで、アナウンスメント効果は非常に大きいものとなる。

米国は28~29日のFOMC(連邦公開市場委員会)で量的緩和の終了を決定したので、次は金利調整のステージに入っていくことになる。そのことからも、円安ドル高が続くことはほぼ確実であり、輸出企業にとっては追い風となる。

しかし、一方で、円安の弊害として、日本の不動産が海外の投資家から狙われやすくなる懸念がある。また、急激な円安は輸入価格の高騰を招き、資材調達を困難にし、中小企業の経営を困難にするおそれもある。物価上昇率は鈍化しているとは言え、物価は上がっており、賃金上昇が伴わなければ、スタグフレーションに陥る可能性すらあるのである。

したがって、大事なことは、表面的な金融緩和という言葉に踊らされるのではなく、実際のお金の流れや経済が活性化していくかを見極めていくことが重要である。マネタリーベースで最大20兆円増加しても、それが市場に流れず、ほとんどが日銀当座預金に滞留するのであれば、資金供給の効果は心理的なもの限定されてしまう。異次元金融緩和以降、法定準備額を超える超過準備額は増加しており、今回の金融緩和第2弾以降の供給量が実際に市場にどれだけ流れるのか、当座預金残高の動きにも注目していく必要がある。

(ZUU online)

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