新型コロナに引き続き、ロシアのウクライナ侵略の影響によるエネルギーや原料価格の高騰などで人々の消費行動は消沈するばかり。ウクライナ情勢の影響は長引くことも予想されているため、今後の売上予測に頭を抱える経営者も多いのではないだろうか。しかし新型コロナやウクライナ情勢のほかに、実は社内に潜んでいる売上阻害要因に気づいていないケースもあるかもしれない。

中小企業にありがちな売上拡大を妨げる要因について解説する。自社にそのような要因があるかどうかチェックし、対策を講じることから始めてみてはいかがだろうか。

目次

  1. 売上拡大の基本
    1. Product(製品)
    2. Price(価格)
    3. Place(流通)
    4. Promotion(販売促進)
  2. 企業を取り巻く経済環境
  3. 企業自体が売上拡大を妨げていないか
    1. 1. 経営者の高齢化
    2. 2. 所有と経営の一致
    3. 3. 取引先への依存度が高い
    4. 4. リソース(資金・人材)不足
    5. 5. 経営者保証(リスクをとりにくい事業環境)
  4. 売上拡大に向けた対策
    1. 自社の強みの把握と活用
    2. 自社が獲得できる顧客・販路の明確化
    3. 商圏・顧客のニーズに合わせた既存製品・サービスの改善
    4. 新規顧客・販路の獲得
  5. 売上拡大に向けて活用したい補助金・制度
    1. ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金
    2. 事業再構築補助金
    3. M&A支援機関登録制度
  6. 中小企業特有の強みも活かし、売上拡大への取り組みをしていこう
中小企業の売上拡大を妨げる5つの要因と改善策
(画像=CYCLONE/stock.adobe.com)

売上拡大の基本

売上拡大は、商品・サービスが売れないことには始まらない。当然すぎて意識しない経営者もいるかもしれないが、まずは売上を作るための基本となる「4P分析」の各要素を確認しておこう。マーケティングでも重要な構成要素とされており、それぞれの頭文字をとって「4P」と呼ばれている。

Product(製品)

商品やサービスを売るためには、顧客に選ばれなければならない。選ばれるためには、顧客のニーズに合っていたり、その製品によって顧客に価値を感じてもらえたりすることが重要だ。製品の価値は、製品そのものの品質や機能性だけでなく、顧客の満足感や優越感などといった付加価値も提供できることが大切である。ほかにもデザインやパッケージング、アフターサービスなどにも配慮したい。

Price(価格)

価格は、売上に直接的に影響するものだ。なぜなら「売れた商品数×価格」が売上となるからだ。つまり価格を上げれば売上を伸ばすことは期待できるが、かえって売れる個数が減る可能性もある。一方で多く売るために価格を下げれば売上縮小につながりかねない。

一般的に価格は、コストや利益率をもとに設定するものであるが「顧客にとって価格と商品価値が釣り合っているか」という観点は忘れないようにしよう。

Place(流通)

流通、つまり「どうやって商品を販売するか」という流通経路(流通チャネル)も売上に影響を与える要素の一つである。なぜならいくら良い製品を作っても顧客に届かなければ売れないからだ。製品の特性や対象とする顧客層、販売コンセプトなどによっても異なるが、例えば流通チャネルを考慮するうえでは、以下のようなポイントが大切である。

  • 場所:(スーパー、デパートなどの)店頭、オンラインなど
  • チャネルの長さ:直接取引、業者に委託など

チャネルによって販売チャンスが増えるが、同時にコストも増減するため、効果的な戦略を立てることが求められる。

Promotion(販売促進)

売上拡大のためには、製品やサービスの存在や価値を知ってもらうコミュニケーションが必要だ。それがプロモーション(販売促進)であり、いわゆる広告、宣伝、DM、口コミなどさまざまな方法がある。対象とする顧客層やブランドイメージなどによっても異なるが、例えばプロモーションを考慮するうえでは、以下のようなポイントが大切になる。

  • 伝える内容:製品の特徴、価値など
  • 伝える媒体:TV、ネット広告、新聞、雑誌、メルマガ、チラシ、口コミなど