売上拡大に向けた対策

先に紹介したような売上拡大の阻害要因が自社にも思い当たる場合、早急に対策を講じることが必要だ。ここでは、主な対策法を4つ紹介する。

自社の強みの把握と活用

まずは「自社の強みは何か」洗い出しを行おう。強みが把握できれば、強みに焦点をあてながらリソースを収集させて競争力の強化を図ることができる。冒頭で見た4P分析も考慮したい。ただし強みと一口にいっても以下のように会社によって内容は多岐にわたる。

  • 技術や研究開発力
  • 製品やサービスのブランド力
  • 価格競争力
  • きめ細かなアフターサービス など

例えば、「技術・研究開発力」を強みとする企業であれば価格引き上げや、商圏拡大などで売上拡大に取り組むのも選択肢の一つだ。「きめ細かなアフターサービス」を強みとするなら地域密着型に徹底し、地元の顧客の取り込みに集中するのも良いだろう。

自社が獲得できる顧客・販路の明確化

自社がターゲットとしている顧客層を明確にしてみよう。ターゲットが明確になれば、その顧客層が購買行為を起こしやすい販路を明確にすることが可能だ。やみくもに販路を拡大させるよりも、会社のリソースを集中できる。また商品提案の仕方やメッセージなど、的を射たプロモーションを実行しやすい。

商圏・顧客のニーズに合わせた既存製品・サービスの改善

一般的に新製品を開発したり、新規顧客を開拓したりするよりも既存製品サービスを改善し、既存顧客の再購買を促すほうが資源も労力も節約できる。インタビュー調査や顧客アンケート、行動観察などで商圏・顧客のニーズの把握に努め、既存製品・サービスの改善を図ると良いだろう。

新規顧客・販路の獲得

商圏・顧客のニーズに応じた製品・サービスの改善ができれば、これまで自社製品を試したことがなかった人も新規顧客として取り込める可能性がある。売上拡大のためには、自社製品を購入してくれる顧客数も大事な要素だ。

リソースが限られていて新規顧客や販路の開拓にかける時間やノウハウがない場合は、新規顧客開拓の手法や営業プロセスを明確にしてマニュアル化し、ノウハウや成功事例を社内で共有して効率を図ろう。

売上拡大に向けて活用したい補助金・制度

ここからは、中小企業の成長に向けた補助金や政府の制度整備について紹介していく。資源の選択や集中とあわせて売上拡大のために活用してみてはいかがだろうか。

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

売上拡大につなげるために活用したいのが「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」だ。中小企業・小規模事業者等が行う以下のような事業に必要な設備投資等を支援してくれる。

  • 生産性向上に資する革新的なサービス開発
  • 試作品開発
  • 生産プロセスの改善

「一般型」「グローバル展開型」「ビジネスモデル構築型」などがあり、それぞれに補助上限額や補助率が異なる。詳しくは、「ものづくり補助金総合サイト」で確認して欲しい。

事業再構築補助金

ポストコロナ・ウィズコロナ時代の経済社会の変化への対応として、例えば以下のような事業再構築を検討している企業は「事業再構築補助金」の活用を検討してみるといいだろう。

  • 新分野展開
  • 事業転換
  • 業種転換
  • 業態転換
  • 事業再編

「成長枠」「グリーン成長枠」「物価高騰対策・回復再生応援枠」など、全部で8つの枠が設けられており、それぞれに補助の範囲が異なる。2023年3月30日~同年6月30日まで第10回目の公募が行われている。「事業再構築補助金公式サイト」で詳細を確認して欲しい。

M&A支援機関登録制度

事業承継者の不在で経営者の高齢化が進んでいる企業が活用したいのが「M&A支援機関登録制度」だ。中小企業がM&Aに関する適切な支援を受けられる環境整備として2021年8月に創設された。本制度には、M&Aの助言や仲介を行うフィナンシャルアドバイザー(FA)・仲介業者が3,117件(2023年3月17日時点)登録されている。