この記事は、2023年12月4日に三菱UFJアセットマネジメントで公開された投資環境ウィークリーを一部編集し、転載したものです。全体をご覧になりたい方は、こちらをご覧ください。加えて、デイリーレポートについては、mattoco lifeをご覧ください。

鉱工業生産は上昇、株価は円高進行で不安定な展開も
(画像=takasu/stock.adobe.com)

目次

  1. 鉱工業生産は2カ月連続で上昇
  2. 小売業販売額は減少もマインドは改善
  3. 日経平均株価は下落も底堅い

鉱工業生産は2カ月連続で上昇

10月の鉱工業生産は前月比+1.0%(9月+0.5%)と2カ月連続で上昇(図1)。基調判断は「一進一退」で維持。

鉱工業生産は横ばいの動き
(画像=三菱UFJアセットマネジメント)

内訳は、石油・石炭製品が同▲2.7%、鉄鋼・非鉄金属が同▲1.1%と軟調だった一方、電子部品・デバイス工業が同+6.6%、自動車が同+2.0%と堅調でした。

製造工業生産予測調査によれば、11月は電子部品・デバイスが集積回路の生産低下を見込んでいることから前月比▲0.3%(経済産業省による補正値は同▲1.9%)と低下した後、12月は+3.2%と上昇する見通しです。足元は伸び悩んでいるもののマインドは改善していると見ています。

小売業販売額は減少もマインドは改善

10月の小売業販売額は前月比▲1.6%と前月の同+0.4%からマイナスに転じました(図2)。

小売業販売額は減少
(画像=三菱UFJアセットマネジメント)

実質ベースでも減少し消費は弱含んでいます。業種別に見ると、自動車が堅調でしたが、織物・衣服・身の回り品が同▲7.2%、燃料が同▲0.9%と減少しました。また、10月の百貨店販売額 も前年比+4.0%(9月は同+4.8%)と鈍化しました。

一方、11月の消費者態度指数は36.1(前月は35.7)と上昇し、消費者マインドの改善が示されました。内訳を見ると、収入の増え方が悪化した一方、暮らし向き、雇用環境、耐久消費財の買い時判断が改善しました。

現状では消費は下振れているものの、インフレ率がピークをうったとの見方が広がったことから物価高に対する悲観的な見方が後退し、マインドの悪化に歯止めがかかっています。今後小売業販売額が上向くかに注目です。

日経平均株価は下落も底堅い

先週の日経平均株価は週末比で▲0.58%と5週ぶりに下落しました。業種別に見ると、倉庫・運輸関連が堅調だった一方、空運が軟調でした。外国人投資家の売買動向は11月第4週に現物が10億円の売り越しと5週ぶりに売り越し、先物も4,214億円の売り越しと4週ぶりに売り越しとなり合計で4,224億円の売り越しとなりました(図3)。

外国人投資家の日本株売買動向は売り越しに転じる
(画像=三菱UFJアセットマネジメント)

一方、7-9月期法人企業統計によると、売上高は前年比+5.0%と4-6月期の同+5.8%を下回ったものの、経常利益は同+20.1%と4-6月期の同+11.6%を大幅に上回り、企業業績の好調さが示されました。設備投資は同+3.4%と4-6月期の同+4.5%から減速。株価は堅調な企業業績を背景に底堅さをみせています。

為替市場についてはドル円が週末にかけて1ドル=146円台まで円高が進行、長期金利は0.69%に低下しました。米金利が低下するなか日米金利差が縮小しており、円高にふれやすい展開が見込 まれ、株価の下押し要因となりそうです。

三菱UFJアセットマネジメント株式会社
戦略運用部 経済調査室 本江志帆