本記事は、大澤 亮氏の著書『「プロ」に外注』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))の中から一部を抜粋・編集しています。

low angle view of skyscrapers in city of China.
(画像=hallojulie / stock.adobe.com)

「公平な格差」は多くの人に機会を与える

新型コロナウイルスは、私たちの生命を脅かした一方、たくさんの変革をもたらしました。1つは、各企業でDX化やアウトソーシングの活用が加速したこと。もう1つは、たくさんの企業が「業務は成果で管理しなければいけない」と、気付かされたことです。

多くの経営者は、従業員を「時間で管理したい」と思っています。それが最もわかりやすく、簡単だからです。極端な言い方をすれば、在宅勤務をする社員にタイマーを付けておきたいと思う経営者もいるかもしれません。パソコンを起動したら、自動的に管理者に通知が届くようなシステムを導入しているところもあります。

しかし、実際は社員がスタートボタンを押したまま散歩に行ったとしても、シャワーを浴びていたとしても、ほかの人にはわかりません。それでは、従業員をどう管理するのか。ここでようやく「成果」でしか管理できないことに気付かされたのです。

これらの変化と同時に進んでいるのが、プロジェクトごとの働き方です。新型コロナ禍がきっかけで、アウトソーシングや業務委託という働き方が普及しました。1つのプロジェクトが立ち上がるたびに新たなチームが結成され、終了後は解散する。この流れは、業務委託に限らず、それぞれの企業内でも起こっています。

業務委託、正社員問わず、優秀な人ほどたくさんのプロジェクトに起用されている。これは、私はとても公平なことだと思います。努力をした人が、お金や自由な働き方、やりがいのある仕事、大きく言えば夢も手に入れることができます

プロスポーツ選手のように、頑張って成果を出せば出すほど、年俸が上がっていく。こうしたことに対して、「格差が広がるのではないか」という人もいます。しかし、公平な格差は歓迎されるべきです。

これから、個人に求められる能力や働き方は、よりシビアになっていきます。時間的な拘束ではなく、スキルや専門性が求められるようになります。そうした中で、自分の能力が直接お金ややりがいに影響するのであれば、努力する人が増えるはずです。

変化が激しい現代ですが、スキルさえ磨けば、自分の力で何でも解決できる時代でもあります。「自分が本当にやりたいことは?」「この課題を解決するには、どうすれば?」この機会に見つめ直し、挑戦の一歩を踏み出してほしいと思います。

「人材の再配置」が進む社会で企業に求められるもの

これだけ働き方が変化しているのに、多くの大手企業ではいまだに新卒一括採用、年功序列型賃金が採用されています。

こうした状態からもわかるように、日本には「横並び」の文化が根強く残っています。何か新しいことをしようとする人や、頭一つ抜ける人を見つけると、ことごとく足を引っ張ろうとします。失敗をよしとせず、プロジェクトがうまくいかなかったら、人事評価に「×」が付きます。

これまでは、それでうまくいっていたのかもしれませんが、今後は立ち行かなくなります。何度もお伝えしたように、正社員は年々採用しづらくなり、業務委託という働き方を選ぶ人は確実に増えています。昔と比べて、転職も一般的なものになりました。

世の中は「流動性の高い社会」に向けて動き出しています。1人の人材が2〜3社を掛け持ちして仕事をこなすことで、労働力不足の問題が解決される可能性もあります。

企業からすると、プロ人材のように、依頼したいときに依頼したい量だけの仕事を発注できれば、正社員を長期にわたって雇うより相対的なコストが抑えられます。そこで得られる成果は、ここまででお話ししてきた通りです。

個人にとっても、得られる報酬が大きくなる人もいます。会社員だと、受け入れるしかない異動や単身赴任なども、業務委託なら関係ありません。好きな仕事を、好きな場所ですることができます。

以前は「一度フリーランスになったら、もう正社員には戻れない」「転職すれば、業務内容のレベルは落ち、報酬も下がるだけ」と言われていた時代もあります。しかし、現在は、そのようなことを言っている企業の採用活動は成り立ちません。

このように、正社員から業務委託に、業務委託から正社員に、そして転職など、個人が好きな仕事、働き方、報酬を求めて、流動的に動けるようになりました。一度子育てで第一線を離れていた人も、活躍できる土壌が整いつつあります。

適切な人材を適切なポジションに配置する、「人材の再配置」が起きている。そうすると、個人としては自分のしたい仕事をできるならどの企業で働いてもいい、ということになります。そして、同じ業種の企業は世の中にたくさんあります。

そうした環境で企業が働き手を確保するために求められるのは、求心力です。「この会社で働きたい」と思ってもらうためには、会社のビジョンや存在意義を、きちんと言語化して伝えていくことが大切です。人の心を動かすのは、お金だけではありません。創業した理由や目標、どうして会社を経営しているのかなど、自分たちの想いを言葉にして表現する必要があります

いまは至るところでビジョンの大切さが説かれています。消費者や取引先は、その企業が何を大事にしているかを見ている。そんな中で「SDGsが流行しているからとりあえずSDGsを掲げる」という姿勢では、簡単に見透かされてしまいます。自分たちが本気で考えていること、本当に成し遂げたいと思っていることを、言語化してみてください。

「プロ」に外注
大澤 亮(おおさわ・りょう)
1996年に新卒で三菱商事株式会社に入社、タンザニア駐在経験(ODA担当)を経て、帰国。退職後、1999年に慶應義塾大学大学院(経営管理研究科修士課程)に入学と同時に起業。在学中に、日本初の証券会社比較サイトを創業し米国企業に売却、またEC事業を設立しサイバーエージェント社に売却。 その後、株式会社ドリームインキュベータに入社し、大手企業とベンチャー企業両方の経営コンサルティング、ベンチャー企業投資も担当。退職後、株式会社土屋鞄製造所に取締役兼COOとして入社し、2年間で売上・経常利益ともに2倍以上にして退職。 2009年株式会社Piece to Peaceを創業し、2016年6月にプロ人材で企業の課題を解決する「キャリーミー」をローンチ。 著書に『世界をよくする仕事で稼ぐ』(ダイヤモンド社)がある。アカデミーヒルズ(六本木)等での講演多数。
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