本記事は、大澤 亮氏の著書『「プロ」に外注』(クロスメディア・パブリッシング(インプレス))の中から一部を抜粋・編集しています。
企業と個人双方にメリットがある働き方
独立する人が増えていることで、企業にとって新しい労働力の確保方法が生まれています。ただ、これらにも問題が残されています。
近年では、「クラウドソーシング」という市場も生まれました。個人が手軽に仕事を受注しやすくはなりましたが、ライターやデザイナーといった多くのフリーランスが非常に低い単価で仕事を受けています。
これは、発注側と受注側がお互い顔を見ないでやりとりすることや、ウェブサイトに掲載された受注者の経歴や実績が本当かどうかわからないことが原因だと考えています。企業からしてみれば、誰に頼めば質の良い仕事をしてくれるかわかりません。だから「とにかく安く業務を受けてくれる人に発注する」という傾向があるのでしょう。
この点で、キャリーミーでは、企業との面談までに必ずキャリーミー側でプロ人材をスクリーニングしています。その上で企業とプロ人材との面談の場を設け、お互いの顔はもちろん、スキルや人柄、実績がわかるようにしています。
また、プロ人材は数年の間に5つ、6つの仕事を受けることも一般的です。稼働後の「企業側からの評価」や「契約の更新回数」から、より成果にコミットできるかどうかを見極めることができます。
労働力の確保の選択肢には、外国人労働力もあります。日本の労働人口が減る中で、外国人労働力の受け入れは必須だといわれています。ただし、職業やその外国人の適性にもよるでしょうが、日本人と一緒に働く場合、どうしても日本語がネックとなりがちです。
外国人労働力の受け入れを否定するつもりはありませんが、もっと効果的な方法もあると考えています。それが、「埋没労働力」の活用です。子育てをしながら働きたい人や、稼働時間が空いている人はたくさんいます。しかし、そうした人たちが思うように働く機会を得ることができていません。
こうした課題を解決する方法の1つが、「プロ人材」の考え方です。プロ人材は自分の「好き」「得意」な分野で働きます。そもそもスキルは高いですし、コミットメントも高い。「もっと仕事を受けたい!」と思っている人が、キャリーミーに登録してくれています。
キャリーミーは、人材向けに広告を打ったことがありませんが、それでも毎月100〜200人の新規登録があります。ここ数年は口コミや本田圭佑氏が出演する企業向けのタクシーCMで知って登録する方も増えてきています。
一方で、中途採用の有効求人倍率はずっと上昇傾向です。各社が少ないパイを奪い合っている中、プロ人材であればまだまだ自社に適切な人を選ぶことができます。この状況は、企業にとってのチャンスです。
もちろん、プロ人材にとっても、業務委託はメリットが多くあります。
①やりたい、得意、好きな仕事にフォーカスできる
多くの企業から、「なぜそんなに優秀な人がキャリーミーに登録するのですか? 自分で仕事を獲得できるのでは?」と聞かれます。
まず、よほどの有名人でない限り、企業から仕事の相談が来ることはそうそうありません。自分で自分を売り込む必要があるわけですが、プロ人材も営業職でない限り営業は得意ではなく、自身の業務に特化したいと考えます。また、自分で売り込むのではなく、第三者にプロとして紹介されたいという気持ちもあるでしょう。
広告の運用なら広告の運用だけ、広報活動なら広報活動だけを受ける。自分が本当に応援したい企業や、素敵なビジョンを持っている企業にだけ貢献する。やりたいこと、得意なこと、好きなことにフォーカスできるのが、プロ人材として働く大きなメリットです。
また、「業務の分解」や「施策の策定」の初期段階をキャリーミーが実施することで、プロ人材は業務領域をある程度絞った状態で始めることができます。この点で、自分で仕事を取るよりもやりやすい、ということもあります。
②収入を最大化できる
業務委託形式での働き方は、並行して複数の仕事を受けることも可能で、正社員時代よりも報酬が増える可能性があります。キャリーミーに登録しているプロ人材の場合、多くのケースで2~10社程度で稼働しています。中には年収が5,000万円程度の人もいます。
私は、プロスポーツ業界のように、「リスクを取り、努力の結果、成果を出した個人が報酬を多く得る社会が公平」だと考えています。プロ人材の世界でも、早く「1億円プレーヤー」を生み出したいと思います。
③スキルアップできる
プロ人材は、さまざまなプロジェクトで成果にコミットすることで、自身のスキルのアップデートができます。また、戦略的に自分が得意な業務で成果を出し、得意ではない周辺領域を学び、自身のスキルにしていきながら仕事をこなします。その点でも、全体的なスキルアップにつながっていきます。
④自由な働き方ができる
社員と異なり、プロ人材は働く時間や場所が拘束されません。育児や介護、趣味との両立など、ライフステージに合った働き方ができます。
⑤企業と対等な関係
企業に所属して働く場合、どうしても企業が「上」の構図になってしまいがちです。雑務もこなす必要がありますし、異動を命じられたら従わなくてはいけません。
その点、業務委託なら企業側がプロ人材を解約できるのはもちろんですが、プロ人材側がその仕事を「選ばない」こともできます。個人と企業が対等の立場で協力することができるのです。
プロ人材として働くことの魅力とは、自分らしく働き、成果も出せる。それによって企業も成長する。働く人と企業の理想の関係性を考えてみてください。