スパークス・グループ株式会社
(画像=スパークス・グループ株式会社)
深見 正敏(ふかみ まさとし)――取締役会長
1961年東京都生まれ。1984年早稲田大学商学部卒業x同年、野村證券株式会社入社。主に国内営業、営業企画、プライベートバンキングビジネスに従事。1997年スパークス投資顧問株式会社(現 スパークス・グループ株式会社)入社。1998 年スパークス証券株式会社へ転籍。2002年同社代表取締役就任。2023年同社取締役就任。2024年6月、任期満了に伴い同社取締役退任。2024年7月、株式会社IJTT取締役会長就任(現任)。
スパークスは、1989年創業の日本の独立系運用会社です。高い収益性と安定性を実現する4つの柱(「日本株式」「One Asia」「実物資産」「プライベート・エクイティ」)で事業を展開し、一貫した投資哲学と運用プロセスを実践し、成長し続けています。2001年にJASDAQ市場に上場、2019年には日本の独立系運用会社として初の東証一部(2022年より東証プライム市場)に上場。スパークス・グループ株式会社をホールディングカンパニーとし、国内では5つの事業会社を展開しています。

目次

  1. 現在までの事業変遷について
  2. 貴社におけるNo.2の役割について
  3. No.2として「深見さん」意思決定の際に重要視している点について
  4. No.2の思い描いている貴社の未来構想について
  5. ZUU onlineのユーザー並びにその他投資家へ一言

現在までの事業変遷について

ーーまずは、スパークス・グループ株式会社の事業の変遷についてお伺いしたいと思います。

スパークス・グループ株式会社 取締役会長・深見 正敏氏(以下、社名・氏名略) スパークスは1989年に阿部修平が創業した会社で、当初は中小型株に特化した投資ブティックとしてスタートしました。日本のバブルが崩壊する中で、ボトムアップリサーチによる企業価値をきちんと分析し、価値と価格の差が大きな小型株を中心に投資をするアクティブ運用を行い、その成功が礎となっています。しかし、日経平均が下落を続ける中で、ご投資家様に安定的なリターンをお届けしたいとの思いから、ロングショート戦略によるファンドをスタートし、これが成功を収めました。

2001年には、スパークス・グループはJASDAQ市場に上場しました(その後、2019年に東証第一部へ市場変更。現在は、東証プライム市場に上場)。上場後、事業をさらに拡大し、韓国や香港の運用会社を買収、国際的な事業展開を進めました。その後、リーマンショックが発生し、ご投資家様からお預かりしている資産運用残高が大幅に減少しましたが、私たちはその後、復興支援や再生可能エネルギー分野への進出を決断しました。

ーー東日本大震災をきっかけに、復興支援に乗り出したんですね。

深見 はい、その通りです。東日本大震災が起こった時に、阿部は「投資会社として社会に何か貢献できないか」という強い想いを抱きました。阿部とともに被災地を訪問して何かできないかと模索していると復興支援者が泊まる宿泊施設が足りていないことに気づき、ファンドを組成し東北の被災地に復興支援者が宿泊できる簡易的な宿泊施設を建設しました。

その後、この実物資産への投資の経験を活かし、FIT(固定価格買取制度)が導入されてすぐに太陽光発電所等再生可能エネルギーの発電所を建設していくファンド事業に参入し、東京都から「官民インフラファンド」の運営事業者に選定され、再生可能エネルギーファンドを設立しました。

また、2015年には、AIやロボット化、IOTという言葉が盛んに使われるようになり、大企業もオープンイノベーションに舵を切ってきた時代の大きなうねりを捉え、トヨタ自動車様、三井住友銀行様とともに未来を創造するスタートアップ企業に投資をする「未来創生ファンド」を設立し、スタートアップ企業への投資および成長支援を行い、未来をより良く豊かにすることに貢献いたしました。

貴社におけるNo.2の役割について

ーースパークスにおけるNo.2としての役割について教えていただけますか?

深見 No.2かどうかはわかりませんが、私の役割は阿部のビジョンを組織の末端まで徹底させることです。阿部が常々言うのは、「思想、技、所作を末端まで浸透させるのが大事」ということ。

私の仕事は、理念を現実のビジネスとして実行に移し、社内の末端まで浸透させることです。

ーー阿部社長はどのような方なのでしょうか?

深見 そうですね、阿部は非常に学びの多い人物です。彼はバブルの生成と崩壊を経験し、その中で「持続可能な投資とは何か」を常に考えています。スパークスの強みは、阿部のこうしたビジョンを共有し、現実の投資プロジェクトに落とし込む能力にあると思います。

No.2として「深見さん」意思決定の際に重要視している点について

ーー現在の立場で、意思決定の際に特に重要視している点はありますか?

深見 意思決定は最終的には阿部が行いますが、私の役割はその決定事項をビジネスに落とし込み、実行に移すことです。例えば、復興支援ファンドや未来創生プロジェクトなども、阿部のビジョンをどう具体的な形にしていくかが重要なポイントでした。決断力と同時に、プロダクトに対する妥協のない姿勢を維持することも大切です。

ーーなるほど、具体的にはどのような点を重視されるのでしょうか。

深見 私は営業マンですので、何とかしてディールを成立させたいと考えることもありますが、阿部はよく「断ってこい」と言います。 そういうこだわりが今のスパークスを作っているのだと思います。 プロダクトに妥協しないということですね。

No.2の思い描いている貴社の未来構想について

ーー近年、注力されている取り組みについて教えてください。

深見 最近、私たちが注力しているのは「日本ものづくりファンド」です。このファンドは、国内の製造業を支援するバイアウトファンドで、最初の投資案件としてIJTTに関わっています。IJTTはトラックの部品やエンジンを製造する会社で、私自身も会長として経営に携わっています。このファンドには、トヨタ自動車様やメガバンク各行様も投資家として参加しており、非常に大規模なプロジェクトです。

ーー非常に意義深いプロジェクトですね。IJTTに多くの時間を費やされているのですか?

深見 はい、ほとんどの時間をIJTTに注いでいます。この会社は親会社のサポートに頼らず、自らの力で立ち上がる必要があります。現場が自ら改善し、より良い製品を生み出す力を持つことが求められているのです。

ZUU onlineのユーザー並びにその他投資家へ一言

ーー最後に、ZUU onlineの読者や投資家の方々に何か一言お願いします。

深見 今、日本ではNISAをはじめとする投資ブームが起きていますが、私たちは「未来は誰にもわからない」という考えを常に持っています。絶対に儲かるという話を信じてはいけませんが、長期的な時間軸で投資で成功することができるという信念も持っております。投資で成功するには、良い経営者とその企業が独自で築いたキャッシュを生み出す力を見極める必要があると思います。そのためには、株主になってみたいと思う企業を徹底的に調べるということが必要です。

例えば、小売業であれば実際にお店に行ってみる、サービスを受けてみるということです。製造業では工場を見るのは難しいかもしれませんが、インターネットで会社について調べることはできます。 投資家の皆様には、しっかりとした情報収集を行い、その企業を理解した上で投資をしていただきたいと思います。

氏名
深見 正敏(ふかみ まさとし)
社名
スパークス・グループ株式会社
役職
取締役会長

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